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2017年1月26日 (木)

本寺大志/小窪久文/中嶋義文『マネジャー育成講座』

Bk00000452本寺大志、小窪久文、中嶋義文さんの共著『マネジャー育成講座 リーダーシップの磨き方、組織力の高め方』(経団連出版)を例によって讃井暢子さんよりお送りいただきました。いつもありがとうございます。

https://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/public/book/index.php?mode=show&seq=452&fl=1

 マネジャーの最大の責務は、企業のリソースである「ヒト」の持つ力や可能性を引き出すよう工夫して業績をあげることですが、だからといって強制的に部下たちを働かせるばかりでは、磨耗してしまいます。
 日本の企業は、「失われた20年」のなかで、若手人材の採用を抑えた企業も多く、職場のなかで後輩の面倒をみる経験などがないままに管理職となった人が増えています。そのため、意識して学び、管理職として成長していく必要が生じています。最初から管理職という人はいません。管理職としてのスキルやノウハウは学習、開発可能なものであり、実践経験を通じて管理職になっていくのです。
 本書では、そのような状況下にある今日の管理職に求められる、人と組織のマネジメント法を取り上げました。また、メンタルヘルス不調者への対応についても、精神科医がアドバイスします。
 組織業績に貢献し、部下と組織と自らを成長させたいと願う管理職の一助となる一冊です。

はじめの4章は、管理職になった人の心構え、振る舞い方みたいな話で、第5章は労働法と報酬の基礎知識、第6章はさらにメンタルヘルスの扱い方と、広い話題を取り上げています。

その第5章の3がパワハラの問題で、その冒頭に「指導とハラスメントの境界線」という項がありますが、そこの記述にこうあります。

・・・上司、部下それぞれにタイプが異なるので、指導とハラスメントの違いを杓子定規に決めることはできない。たとえば業務の進め方について、上司が「バカじゃないの」と部下に言った場合でも、この上司と部下の間で十分なコミュニケーションがあり、上司が部下の力量を評価し、部下も上司を尊敬していたら、この発言に対して、部下は自分の足りない点の指摘と受け止め、「あ、私の至らないところはその点でした」となるだろう。ところが、上司と部下が日頃からコミュニケーションが余りなく、上司は部下を頼りないと思い、部下は上司が一方的に仕事を押しつけてくると思っているなら、部下は「いくら上司であっても、人格をないがしろにする発言で受け入れられない」となるだろう。すなわち「精神的な攻撃」と受け止めてしまうのだ。

上司として部下を指導することは、まさしく管理職の仕事である。そのため、指示をするたびに、ハラスメントになるのではとびくびくするのもおかしな話である。しかし、上司が当たり前と思っていることの指摘や発言であっても、それが部下にどのような心情を引き起こすかに気付いていないなら、ハラスメントにつながるおそれがある。

この記述それ自体はその通りとは言えるのですが、実はもう一つその奥に問題があって、上司の側では「上司と部下の間で十分なコミュニケーションがあり、上司が部下の力量を評価し、部下も上司を尊敬してい」ると現状認識しているけれどもそれは部下に共有されておらず、同じ状況を部下の側は「上司と部下が日頃からコミュニケーションが余りなく、上司は部下を頼りないと思い、部下は上司が一方的に仕事を押しつけてくると思ってい」るという認識ギャップ状況というのは十分あり得るわけです。上司の側は、「これは状況によってはハラスメントになり得るけれども、俺たちの間ではそうはならない」と思っていても、部下の側では「これこそハラスメント」当家止められてしまうということもあり得るということも、頭の中に置いておく必要もありそうな気がします。

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