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2016年12月12日 (月)

『Works』139号

Worksリクルートワークス研究所の『Works』139号をお送りいただきました。

http://www.works-i.com/pdf/w_139.pdf

石原直子さん肝いりの「雇用再興」特集シリーズの3回目で、今回は「働く人の新しい“安心”を求めて」と題して、まずデンマークとオランダのフレクシキュリティモデルをじっくりと検討し、その後4人の識者の声を載せています。

はじめに

“長期雇用による安心”という一択からの脱却
個人が自由に、自律的に生きられる社会がある

●Section1 デンマークとオランダのフレキシキュリティからあらためて学ぶべきこと
1-1 デンマーク型フレキシキュリティは新しいチャレンジを可能にする
1-2 転職しても、挑戦しても大丈夫と思える理由
COLUMN 企業人事はこう見る 01 バング&オルフセン
COLUMN 企業人事はこう見る 02 ユスケ・バンク
1-3 オランダ型フレキシキュリティは働く時間を自律的に選択できる
1-4 なぜ「自分の都合で働く時間を選んでいい」と思えるのか COLUMN 企業人事はこう見る 03 NXP
COLUMN なぜ、デンマーク、オランダは幸福度が高いのか

●Section2 日本で新しい“安心”を提供するために考えるべきこと
2-1 ベーシック・インカムは人々の安心を高めるか/山森 亮氏(同志社大学経済学部 教授)
2-2 学びが必ず報われるように教育を変えられるか/冨山和彦氏(経営共創基盤 代表取締役CEO)
2-3 労働市場活性化のために解雇の柔軟化は有効か/鶴 光太郎氏(慶應義塾大学大学院商学研究科 教授)
2-4 パートタイム正社員は実現可能か/今野浩一郎氏(学習院大学経済学部経営学科 教授)

まとめ:フィクションを捨てマジョリティの安心を高める仕組みを/石原直子(本誌編集長)

鶴さんは例によって、日本で解雇が柔軟にできないのは規制のせいではなく無限定正社員が多いためだと、ちゃんと説明しています。

冨山さんも例によってG型、L型です。未だに、世の中のみんながエリートになれるかのごとき幻想を振りまくことでL型の働き方を貶しつける類の議論が横行していますが、そういう詐欺商法のお陰で食っている人にとっては、冨山さんみたいな議論は都合が悪いのでしょう。

特集の最後で石原直子さん曰く、

 経営共創基盤の冨山氏は、「国内の8割の人々がグローバルな活躍とは無縁に生きている、というのは世界中どの国でも同じ」と喝破する。このマジョリティの人々が安心して生を全うするにあたって、「大企業の(無限定)正社員にならなくては幸せになれない」という考え方は不必要である。冨山氏は、「それがフィクションであることに気づいていないのは、大企業の正社員だけ。それぞれの地元や地域に根ざして生きている人たちは、そもそもそんな虚構に巻き込まれることなく、幸せに生きている」とも指摘する。
 これは「日本型雇用の恩恵を受けられる人が限定されており、かつ、年々少なくなっている」という前提で語っている私たち編集部への警告でもある。

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コメント

以下、本論考で興味深かった箇所を念のため転記します。

「・・・.なぜオランダやデンマークでは「幸福度」が高いのか?
「社会的自由」とは、どんな行動を取っても社会が批判しない。価値観を押し付けられないということ。自分で「自分の生き方」を選択できるほうが確実に幸福度は高まります。幸福度が高い理由は、個人の生き方を尊重する文化と関係が高いのでしょう。」

思うに、前回の東京五輪の頃(「三丁目の夕日」の時代)は、会社=人事部に無限定異動の選択肢を丸投げし、会社の成長と自分を重ね、ほぼ全員が同じ夢(総中流意識)を強く実感できた結果、均質的な国民全体の一体感とも相まって幸福度がはるかに高かったのでしょう。

そして経済成長&人口ボーナス期を終えた今、日本人の「幸福の前提条件」が大きく変わりました。均質性から多様性へ、雇用の無限定性(制約のない何でもありの自由)から雇用の限定性(制約のある自由)へと振り子が大きく揺れ動いています。

企業の人事部ができることはけっして小さくないと思います。


ひと昔前に日本でも取り上げられた「オランダモデル」…。あれから十数年経ちましたね。そして今、日本人の働き方を再考するため、もう一度オランダモデルから学びなおそうという意欲的な特集です。念のため、要点を以下に記載します。

はじめに~「長期雇用による安心」という一択からの脱却

個人が自由に、自律的に生きられる社会がある

デンマークのFlexurityモデル

柔軟な労働市場・・・継続的な職業訓練・・・手厚いセーフティネット・・・アクティブな雇用政策

オランダの雇用政策といえば「ワークシェアリング」と「同一労働同一賃金」の2つ。

オランダでは、なぜ人々が安心して新しい挑戦ができるのか?
・社会保障が充実→ 生活や将来の心配がない
・同一労働同一賃金→ 働く時間の長短が損得につながらない
・パートとフルを行き来できる→ 「今」を大切にしていい
・男女の働き方に差がない→ 夫婦どちらかが働けば大丈夫
・学び続ける文化がある→ よりよい仕事に就けると期待できる
・みんな転職する→ 転職が不利にならない

日本で新しい「安心」を提供するために考えるべきことは?(日本のセキュリティは「企業内部」にしかない…)

・ベーシックインカム(BI)は人々の安心を高めるか?
(BIがもたらす「安心」は、人々を企業の外へ外へと動かし得る)

・「学び」が必ず報われるように教育を変えられるか?
(高等職業教育機関としての大学を増やすことで、誰もが必要な技能を身に付けられる社会へ)

・労働市場活性化のために解雇の柔軟化は有効か?
(限定正社員化や賃金システムの改造が労働市場の活性化の突破口になり得る)

・パートタイム正社員は実現可能か?
(限定正社員をプロとして処遇し、会社と個別的な契約を結ぶことでFlexibilityは向上する)

なぜオランダやデンマークでは「幸福度」が高いのか?(・・・社会的自由との関連性)


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