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2016年12月15日 (木)

働き方に関する政策決定プロセス有識者会議 報告書

昨日、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の報告書が公表されています。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000145867.pdf

注目の労政審の見直しについては、既に新聞等で報じられているように、三者構成ではない有識者による「労働政策基本部会」を設置することが一つのポイントです。

しかし、働き方やそれに伴う課題が多様化する中、旧来の労使の枠組に当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った方がよいと考えられる。
これを踏まえ、基本的な課題については新たな部会(「労働政策基本部会(仮称)」(以下「基本部会」という。))を本審の下に設置し議論することとする。
基本部会は、公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成するものとし、課題に応じて高い識見を有する者を選任する。この中には、企業や労働者の実情を熟知した者も含めるものとする。委員は有識者として個人の識見に基づき自由闊達な議論を行うものとし、また、そのような者を選任する。基本部会においては、委員からの課題の提起を受けて議論を始めることもあり得る。
また、ほとんどすべての法律の制定・改正を労政審で議論するということは、我が国が批准しているILO 条約で要請されているものを除くと法制度の実効性を確保する等の観点から慣行的に行われているものであるので、他の会議等から提言された課題については、課題の性質や議論の状況等を勘案しつつ、慣行を見直し、柔軟な対応を行う。

三者構成の例外であってもあくまでも労政審の枠組の中で行うということですね。実は今までも三者構成の審議会の議論の前段階として個別の有識者による研究会等による検討が行われることが多く、それの総合版という位置づけかもしれません。むしろ、規制改革会議や産業競争力会議など官邸主導になればなるほど、その部分がすっ飛ばされて、形式的な審議会の議論だけになる傾向もあったので、ちゃんと労働問題が分かった有識者によって「基本的な課題」を議論するステージを作るという趣旨ともとれます。

もう一つは、多様な意見の反映というところで、

分科会・部会及び本審の労使の委員の選任に当たっては、産業構造、就業構造等にできる限り配慮する(例えば、多様な年齢や雇用形態、商業・サービス業、医療・福祉、IT 関係等の委員を増やす。)。また、分科会、部会においては、課題によって、多様な意見、利害を反映させるため、労使団体の代表以外の臨時委員あるいは専門委員を臨時的に任命する。委員の任命で反映しきれない部分については、ヒアリング等を活用する。
あわせて、多様な意見・利害を反映させる観点から、情報通信技術の発展に応じてテレビ会議等に関する機器を整備しつつ、地方人材の登用を促進する。また、必要に応じて地方視察やホームページ等を通じた国民からの意見募集も積極的に活用する。

ここはこれ以上踏み込んでいませんが、どういうルートで委員を選任するのかは注目する必要があるでしょう。

ちなみに連合はさっそく談話を発表しています。

https://www.jtuc-rengo.or.jp/news/article_detail.php?id=866

雇用や労働に関する政策は、職場実態を熟知した労使が知恵を出し合い、議論・決定することが不可欠である。労使を抜きにしたプロセスで策定された政策は職場実態から乖離し、職場に根付かない。また、労使に政府または公益代表を加えた三者が政策決定プロセスに関与する「三者構成原則」はグローバルスタンダードでもある。報告書では「ほとんどすべての法律の制定・改正を労政審で議論する(中略)慣行を見直し、柔軟な対応を行う」ことも提起されているが、労政審の重要性とその根底にある「三者構成原則」は不変である。労政審で中長期的な課題を積極的に議論することは言うに及ばず、社会の多様な課題解決を進めるためにマクロな政策決定の場に労働者・労働組合の代表が参加し合意形成することこそ必要な方策である。

と原則論を述べた上で、

連合は、性別や年齢、雇用形態、企業規模、業種などにかかわらず、すべての働く者を代表するとの決意と覚悟をもって労政審の議論に臨んでおり、その姿勢は何ら揺らぐところはない。連合は引き続き非正規雇用労働者の組織化や未組織労働者の声を把握する活動を展開し、すべての働く者の代表として「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けて積極的に議論に参画していく。

と述べています。いや、「決意と覚悟」はそうなんですが、足下でどれだけ「すべての働く者を代表」できているのか、というのがそもそもの問題であるんですよね。自信を持ってそう言える産別は数えるくらいしかないのが実情でもあるので。

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