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2016年12月18日 (日)

欧州左翼は如何にして労働者階級を失ひしか

ここのところ、アメリカのトランプを題材にして論じられてきたことは、かなりの程度そのままヨーロッパでも言えるようです。ジョン・ロイド記者によるロイターの記事です。題して「欧州左翼は如何にして労働者階級を失ひしか」( How Europe’s left lost the working class)。

http://www.reuters.com/article/us-lloyd-left-commentary-idUSKBN13Y07B

ここでは冒頭の一節と最後の一節だけを引いておきますが、是非リンク先で読んでください。おそらく先進世界共通に直面する問題が摘出されています。

If parties of the left cannot appeal to the working class, what's their use? The 21st century may be the one in which the umbilical link between the main left parties and organized labor is broken in favor of a politics of identity, and a grasping after some form of direct democracy that translates desires and frustrations into instant policies. Lurking over this movement is the fear of such an unsustainable politics producing authoritarian leaders, especially if the economies of the Western states worsen.

もし左翼諸政党が労働者階級にアピールできないのであれば何の役に立つだろう?21世紀は主要左翼政党と組織労働運動の間の臍の緒で繋がった関係が壊れ、その代わりに好まれているのはアイデンティティの政治とそして欲望と不満を即席の政策に転換するいろんなかたちの直接民主主義への貪欲さだ。この動きの周りを彷徨くのは、とりわけ西欧諸国の経済が悪化するとともに、かかる持続不可能な政治が権威主義的な指導者を生み出すのではないかという恐怖である。

・・・Going global allowed the third-way leftists to enjoy real success -in the short term. But they were not magicians. Somebody had to lose in the competition against low wage, high tech economies not burdened with much democracy and with a rough way of handling strikes. The victims in this contest turned out to be Europe’s indigenous, unskilled and semi-skilled workers and their families. These were the people the left was supposed to protect; in fact, the left was perceived to have done the reverse. The anti-immigrant, anti-trade, anti-free market right now finds itself the repository of the hopes of men and women who see relief in their policies. That they are unlikely to get that relief will lead our societies into ever more stormy waters.

・・・グローバル化に乗っかることで第三の道型左翼は確かに成功した-短期的には。しかし彼らは魔術師ではなかった。誰かが低賃金との競争、民主主義やストライキの負担を負わないハイテク経済で敗者にならなければならなかった。この競争における犠牲者はヨーロッパの土着の未熟練ないし半熟練の労働者とその家族であることが明らかになった。彼らこそ左翼が守ると思われてきた人々だが、実際には、左翼はその逆をやってきたと思われている。反移民、反貿易、反自由市場の右翼は今や自らをその政策に救済を見る男女の希望の星と描き出している。彼らがその救済を得られそうもないことは、我々の社会をよりいっそうの波瀾万丈に導くであろう。

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コメント

だから、左翼ガーで自己正当化せずに、自分の意志と言葉で、反市場・反グローバル・反自由主義の右翼政策を主張すればいいじゃん。

なぜ、「左翼にも見捨てられた哀れな弱者」という枕詞をつけないと、自分の思想を言えないのだろうか?

恥ずかしい内容でなければ、堂々と言いなさい。

「左翼に見捨てられた哀れな弱者」が、「やむを得ず」反自由主義・反グローバル・反市場の「権威主義的でポピュリスティックな右翼」を支持せざるを得なかった。

という、逃げ道を用意しなければ、右翼思想を主張できないというのか?

恥ずかしいことをしていないと言うなら、自分の言葉で主張すればいい。

誰かのせいにしないと、何も言えないのか。

しかし、左翼は貧すれば貧するほど教条もしくは身内の論理に固執するようで、いやはや何とも絶望的…。しかし、やはり状況を冷静に分析すれば、むしろ左翼は必要とされ、正しくかつ現実的な左翼の生成はますます時代の要請のような….。
一番の問題は、人は左翼に生まれてくる訳ではなく、左翼になるということで、でも、左翼になるということは、ある意味トコトン損をする、少なくとも得をする立ち位置ではないので、成り手がいないということなんですね。
そしていたとしても…。
だから最近思うんです。左翼の衰退と劣化の問題は、もはや左翼にのみ責任と対策を帰す事柄に非ず、全社会的な問題であると。だから、左翼ではない人も左翼の必要性と在り方を論ずるべきかと。風呂敷広げすぎですね(笑)。
貴重な情報ありがとうございます。

六道の高みを目指す/目指させるのが最尤の答えに見えるのですけどね。 みな同じ人間じゃないですか。

阿波様。少し冷静になられてはいかがでしょうか。
命令口調で誰に対して、怒っていらっしゃるのでしょうか。
私は浅学ですので、議論の中身はわかりませんが、最近のすぐ喧嘩腰になる作法には違和感を禁じ得ません。冷静な議論を切に願います。

英、企業流出防止に全力=大幅減税や規制緩和も-EU離脱
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017011700825&g=int

グローバルなEUが実は市場原理の防波堤になっていた。あるいは、グローバルな「ルール」を否定してもグローバルな競争からは逃れられない(もっと厳しい競争にさらされる)ということ。

これは市場統合擁護派である欧州の伝統的左翼が正しかったことを示しているのではないだろうか?
(反グローバルのポピュリズムに安易に乗って旧左翼をネオリベ視した新興左翼は反省が必要だ)

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