非正規雇用の歴史と賃金思想@『大原社会問題研究所雑誌』1月号
『大原社会問題研究所雑誌』2017年1月号が「非正規雇用と生活保障」という特集を組んでおりまして、そこにわたくしが「非正規雇用の歴史と賃金思想」という論文を寄稿しております。
http://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/oz/contents/?id=2-001-0000019
【特集】非正規雇用と生活保障
特集にあたって野依智子
非正規雇用の歴史と賃金思想 濱口桂一郎
「家族賃金」観念の形成と歴史的意義 野依智子
非正規職シングル女性が直面する困難と社会的支援ニーズ 植野ルナ
恐らく読まれた方が若干疑念を感ずるのではないかと思われることについて、一言申し上げておきます。
この論文は、そのかなりの部分が『日本労働研究雑誌』2016年7月号に載せた「性別・年齢等の属性と日本の非典型労働政策」と重なっています。こちらも「性別・年齢と非典型雇用」という特集のために寄稿したものですが、その特集の趣旨が殆どダブっているのです。
実は、大原雑誌の依頼を受けたのはJIL雑誌の刊行の少し前で、もうすぐ同じような内容の論文が出るのですと申し上げたのですが、それでもよいから書いて欲しいということでしたので、できるだけデータを少しずつ変えたりして違う体裁にするよう努力して原稿を送ったという経緯があります。
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2016/07/pdf/004-013.pdf (性別・年齢等の属性と日本の非典型労働政策)
趣旨は同じような論文ですが、若干へぇへぇと思われるようなことも書き込んでいますので、年末年始の読書の一冊に含めていただければ幸いです。
はじめに
1 非正規雇用の歴史
(1) 戦前の臨時工
(2) 戦後の臨時工
(3) 主婦パート
(4) 学生アルバイト
(5) 派遣労働者
(6) 嘱託
(7) 契約社員
(8) フリーター
(9) ガテン系請負・派遣労働者
(10) 同一労働同一賃金の復活
2 賃金思想の展開
(1) 生活給思想の確立
(2) 職務給の唱道と失速
(3) 「能力」という万能の説明
(4) 「能力」と生活の整合とねじれ
おわりに
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コメント
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JILも大原誌も読んでおらず、本投稿の目次を読んでだけの脊髄反射なので、大した意味はありません。
かつて出稼ぎ労働者が季節労働者の主流だった時は、春になると農作業に帰っていく、つまり帰るところがある人たちだった。しかし農業も機械化が進み「3ちゃん農業」でもこなせるようになった&減反でそもそも農業収入が立ちいかなくなっていくと、そういった方々は帰るところがなくなり、通年の「出稼ぎ」労働者にならざるを得なかったんではないかなぁ、とか思いました。
投稿: ちょ | 2016年12月22日 (木) 23時37分