季労はローパー社員特集!?
そろそろ『季刊労働法』の予告が出る頃かなとお考えの諸氏も多きことと存じますが、そろそろ出ました。なんとローパー社員特集だそうです。
http://www.roudou-kk.co.jp/books/quarterly/4591/
いや、正しくは「低成果労働者の人事処遇をめぐる諸問題」ですが、世間の俗語で言えばローパー社員という奴ですね。
「低成果労働者」の雇用をめぐる法的対応 九州大学名誉教授 野田 進
低成果労働者の解雇に関する最近の裁判例の動向 九州大学教授 山下 昇
低成果労働者に対する人事実務の対応 弁護士 杉原知佳
「公正人事指針」の意義と機能 韓国外国語大学法科大学院教授 李 鋌
公正人事指針 職務能力と成果中心の労働力運営のためのガイドブック 韓国外国語大学法科大学院教授 李 鋌
この中でとりわけ興味をそそられるのは李鋌さんによる韓国の公正人事指針なるものの紹介です。そろそろ退陣するらしい朴槿恵大統領の労働政策のレガシーとして、じっくり勉強したいと思います。
あと、論文も大御所による力作が並んでいます。
■論説■
企業組織の変動にかかる労働法制の問題点と整備課題 法政大学大学院客員教授 毛塚勝利
労働法のニューフロンティア?―高度ICT社会における自営的就労と労働法 神戸大学教授 大内伸哉
■研究論文■
フランチャイズ・システムにおける労働組合法上の使用者―店舗従業員に対するフランチャイザーの労組法上の使用者性― 同志社大学教授 土田道夫 京都府労働委員会 武内 匡
有期労働契約の雇止め規制:判例法理と労契法19条の解釈 専修大学教授 小宮文人
イギリス2016年労働組合法の成立 島根大学教授 鈴木 隆
台湾における解雇の金銭解決制度 世新大学副教授 李 玉春
大内さんの論文は、トピックとしては結構語られるこのテーマに対してどこまで本格的な労働法的な刃が食い込んでいるのか楽しみですし、その他の論文も食欲をそそりますね。
その他はこんなところですが、
■労働法の立法学 第45回■
船員の労働法政策 労働政策研究・研修機構主席統括研究員 濱口桂一郎
■アジアの労働法と労働問題 第27回■
2016年カンボジア労働組合法の日本語訳 大阪女学院大学教授 香川孝三
■文献研究労働法学 20回■
労働法が対象とする「労働者」概念 静岡大学准教授 本庄淳志
■判例研究■
海外勤務者に対する労働者災害補償保険法の適用 中央労働基準監督署長(日本運搬社)事件(東京高判平成28年4月27日判例集未掲載 ※原審:東京地判平成27年8月28日労経速2265号3頁) 日本学術振興会特別研究員(DC2) 早稲田大学大学院博士後期課程 林 健太郎
会社分割後の事業閉鎖を理由とする組合員の解雇と損害賠償請求 生コン製販会社経営者ら(会社分割)事件(大阪高判平27・12・11労判1135号29頁) 小樽商科大学准教授 南 健悟
■書評■
『労働契約成立の法構造 契約の成立場面における合意と法の接合』新屋敷恵美子著 評者 名古屋大学教授 和田 肇
『労働市場における労働者派遣法の現代的役割』本庄淳志著 評者 早稲田大学比較法研究所助手 鄒 庭雲
■キャリア法学への誘い 第7回■
能力開発促進の視座 法政大学名誉教授 諏訪康雄
●重要労働判例解説
降格・配転に異議を唱える労働者の就労拒否とカット分賃金請求の効力 ナカヤマ(配転命令無効確認等)事件(福井地判平28・1・15労判1132号5頁) 淑徳大学教授 辻村昌昭
精神障害の労災事後申請・認定と空白期間における稼得・所得保障 国・函館労基署長事件(札幌地判平27・3・6賃社1649/50号67頁) 社会保険労務士・駒澤大学非常勤講師 北岡大介
私の連載は船員です。陸上の労働法とは殆ど没交渉で発展してきたこの分野は、実は結構興味深いネタが満載です。
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