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『情報労連REPORT』11月号は第四次産業革命特集

1611_cover『情報労連REPORT』11月号が届きました、今号は大変意欲的な特集が組まれています。「第四次産業革命と労働運動 未来の働き方はどうなっている?」と題して、興味深い記事がいっぱい載っています。

http://ictj-report.joho.or.jp/special/

JILPTの山崎憲さんが「「インダストリー4.0」と労使関係 中小・請負問題に目を向けよ」というインタビューで概観していますが、

http://ictj-report.joho.or.jp/1611/sp02.html

とりわけUNI-Aproの小川陽子さんが、欧州サービス労組がクラウドワークという働き方に対してどう対応しようとしているのかを書かれたこの記事が注目です。

http://ictj-report.joho.or.jp/1611/sp04.html

前に本ブログでも若干取り上げましたが、欧州労組は結構この分野に積極的に取り組んでいます。

あと、法的側面は労働弁護士の管俊治さんが触れ、

http://ictj-report.joho.or.jp/1611/sp05.html

厚労省の懇談会に参加していた中野円佳さんも登場しています。

http://ictj-report.joho.or.jp/1611/sp06.html

特集以外では、常見陽平さんがやはり電通過労自殺事件を取り上げていますが、

http://ictj-report.joho.or.jp/1611/tsunemi.html

ここで特に是非お読みいただくよう注意を喚起しておきたいのは、三家本里実さんの「労働組合が裁量労働制の運用に規制力を発揮 業務量そのものの調整が今後の課題に」という見開きの記事です。

http://ictj-report.joho.or.jp/1611/topics03.html

・・・制度適用者の実際の労働時間は、多くの場合、上記のように想定された残業時間内におさまらず、労組には、「自分はそれ以上、働いている」といった不満が寄せられている。長時間残業が発生する要因には、本誌前号でも指摘したが、納期が短いことや、仕様変更による突発的な業務量の増大などが挙げられる。プロジェクトが「炎上」している場合には、人員を増やすといった対応も取られるが、そのことによって、むしろ業務量が増加するという話も聞かれた。そのプロジェクトについて何も把握していない人が、開発の途中で追加されたとしても、その人にプロジェクトの内容を教えるという追加の業務が発生し、加えて、その分、自身の業務遂行が滞ってしまうというのである。このように、みなし時間と実際の労働時間が乖離することは珍しくない。では、そのような事態に、労組はどのように対応しているのだろうか。

各組合の対応を、【表2】にまとめた。B組合とC組合では、制度導入時に、実際の労働時間がみなし労働時間を大きく上回るような場合に、裁量労働制の適用から当該労働者を除外する、という条件を定めている。

D組合では、36協定による制限から、制度適用者に業務の負担が偏ってしまうという事態が生じ、適用除外の条件を設けさせるに至った。つまり、労使交渉において、長時間労働の実態を突きつけたことで、制度運用の中身が変化したのである。

A組合の場合、他の組合のように、明確な基準を設けていないが、長時間労働が確認される場合には、制度の適用から当該労働者を外しているという。・・・

このような対応は、長時間労働をせざるをえない状況においては、裁量を発揮することができないと判断されるからであり、加えて、上記のような具体的な基準の設定にあたっては、「過労死ライン」が意識されていた。ここから、労組が裁量労働制による過労死防止に、重要な役割を果たしていることがわかる。

・・・

さらに、D組合では、プロジェクトの状況によっては、裁量的に働けない可能性が高いとして、制度の適用対象となる労働者の範囲を、大幅に狭めるという変更があった。これによって、新たに制度の対象となった者も、真に自身で時間を管理できる場合に限り、適用を受けることとなった。

このように、適用除外、そして適用範囲の変更という形で、みなし時間と実際の労働時間の間に大幅な乖離が見られる場合に、労組の関与によって、制度の適用を否定しうることがわかった。長時間労働を規制する主体として、労組が機能しているのである。

上記のように、働き方の実態から、制度適用の可否を判断するという対応は、非常に重要であり、かつ労使関係においてしか、このような柔軟な措置は実現しえないものである。

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コメント

本記事を拝読し、裁量労働者の長時間残業及び勤怠管理について、昔、外資系IT 企業で体験したことを思い出しました…。

労使協定で企画型裁量制が適用されているSE職種の方々(客先サイトで夜間や休日に機械設置やメンテ作業を行うことが常態)のバラバラな出退社時間を見て、日系超大手電気メーカーから来られた優秀な(はずの)日本法人社長が「これでは客が朝9時に電話をかけてきたら全く対応が出来ないではないか、風紀が乱れてる、どうにかしてくれ」と、現状でも回っているはずの部門の実態をよく見もせずになぜか機嫌を損ね、人事部にどうにかしてくれと頼み込んでくる始末…。

当時、私の上司である人事本部長も当部門担当の私もまだ外から来たばかりということもあり、押し切ろうとする社長にあまり強く進言出来ず、さりとて裁量労働者に対しあからさまな「9時出社のお達し」は出来まい。

さて、どうしたものか…?

落とし所は、当SE部門のマネジャー全員にだけ社長の拘る「9時出社」を徹底させ、一般の裁量労働者に対しては特段の事情がない限り10時までに「自主的」に出社して頂くよう「お願い」するという、今思えば限りなくブラックに近いグレーな対応を取ったのです。結局、その後すぐにその社長は交代したため、当部門の働き方は元の均衡状態に知らぬ間に戻っていたのですが…。

まあ一般社員からしてみれば、はた迷惑な社長と人事部門にきっと見えたでしょうね…。

投稿: 海上周也 | 2016年11月18日 (金) 08時56分

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