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海老原嗣生『お祈りメール来た、日本死ね』

Img_e0765991a9272e37151793eb14d8d45というわけで、さっそく海老原嗣生さんの『お祈りメール来た、日本死ね』(文春新書)が届きました。

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166611058

海老原さんも『雇用の常識』(ちくま文庫)のような総論型の本ととともに、特定のトピックにフォーカスした本もいろいろ出されていて、若者の就職問題を取り上げた本も、5,6年前に扶桑社信書から出された『若者はかわいそう論のウソ』や『就職、絶望期』以来になります。

いうまでもなく議論の大筋はその時の延長線上にありますが、今回の本はその間にとりわけフランスなどヨーロッパ諸国を実際に見てきて、その雇用の実情を目の当たりにしてきた経験がたっぷりと盛り込まれています。

そのかなりの部分はニッチモで出している『HRmics』誌上で書かれたことなので、海老原さんをずっとウォッチしている人にとってはそれほど目新しい情報ではないかも知れませんが、せいぜい新刊書籍で追いかけている人にとっては、結構有用な「そうだったのか!!」的知識が得られます。

第1章は日本のシューカツ100年史を端的にまとめていて、結構役に立ちますが、本書のコアは「第2章 やめられない止まらない日本型雇用」で欧米と比較した日本型雇用の特徴を概説したあと、「第3章 欧米型雇用の不都合な真実」で、その欧米型雇用のナマの姿をこれでもかこれでもかと読者に見せつけていくところでしょう。

そう、私の本もついつい「ジョブ型」と「メンバーシップ型」という対比でものを語る際に、前者についてはややもすれば通り一遍な紙の上の説明で済ませてしまっているきらいがありますが、その「ジョブ型」ってのは、実は(日本人が頭の先っぽで考えるような生やさしいものじゃなくって)こういうものなんだぜ、ってのを実例満載で解説し尽くそうとしているのが、本書の最大のセールスポイントでしょう。

「ジョブ型」という紙の上の言葉で理解したつもりになっていた普通の感覚の日本人が、いざそのナマの姿にぶち当たったときにどういう反応をするだろうか、

「給与は上がって当たり前。役職は上がって当たり前」(働く人)

「入ったときと同じ仕事をしてもらっていては困る。経験相応に難易度は上げる」(経営者)

という(欧米から見たら)非常識を常識化してしまっている人にとっては、「上を向いて歩かない」(これも海老原さんの絶妙の表現ですが)のが当たり前の社会は、堪えられないものであるに違いありません。

実は本書は、拙著『働く女子の運命』を担当していただいた文春新書編集部の高木知未さんが担当された本だそうです。

私と海老原さんの両方を手玉にとるとはなかなかの編集者です。

冗談はともかく、本書もそのブックタイトルにしても、中のチャプターのタイトルにしても、いかにもという感じに仕上がっておりますな。多くの人に読まれることを、お祈り申し上げます。

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