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2016年11月 9日 (水)

トランプとサンダース

と言うわけで、結局アメリカ大統領選はトランプの勝利となったようです。

改めて考えてみると、アメリカ国民の不満はマスコミ報道以上に大きいものがあったということで、それが民主党ではサンダース現象、共和党ではトランプ現象という形を取ったけれども、民主党はなまじヒラリー・クリントンが強すぎてサンダースが負けたけれども、共和党は主流派がばらばらだったおかげでトランプが勝ち、結局そっちに流れた、という理解で良いのでしょうか。

同じ不満派といってもより粗野で野卑で粗暴で排外的な方になってしまった感はありますが、それも運命ということなのでしょう。

ということで、ここで改めて6月にお送りいただいた『バーニー・サンダース自伝』を思い返しておきます。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2016/06/post-bdb8.html (『バーニー・サンダース自伝』)

223380 『バーニー・サンダース自伝』(大月書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b223380.html

いちおう、民主党の候補者選でヒラリー・クリントンの勝ちを認めたあとの出版になりましたが、このアメリカ希有の「民主的社会主義者」のマニフェスト本として、読まれる値打ちのある本であることは間違いないと思います。

「革命の準備はいいか?」――庶民や弱者に味方し、大胆な経済政策と政治改革を掲げて全米の若者を夢中にしているサンダース。草の根の民主主義にこだわり、無所属をつらぬいてきた「民主的社会主義者」のユニークな政治家人生を記した自伝。

版元もかなり力が入っていると見えて、ここに無料サンプル版をアップしています。

http://www.otsukishoten.co.jp/files/_sanders_sample.pdf

実を言うと、これは今回の大統領選に向けたマニフェスト本ではなくて、今から20年近く前に出た「Outsider in the House」(下院のはぐれもの)を、タイトルに「White」を付け加えて「Outsider in the White House」(ホワイトハウスのはぐれもの)にして、まえがきと解説を加えて出版したものです。なので、本体部分は20年前の話なのですが、サンダースさんが一貫して変わらないことがよくわかります。

訳者まえがき――バーニー・サンダースとは何者か? 何が彼を押し上げたのか?

謝辞

まえがき(2015年の追記)

序章

1 あなたはどこかで始めるべきだ

2 ひとつの市での社会主義

3 長い行進はすすむ

4 手に入れたいくつかの勝利

5 悪玉を仕立て上げる議会

6 ヴァーモントじゅうを歩きまわって

7 最後のひと押し

8 私たちはここからどこへ行くのか?

あとがき:大統領選挙のはぐれ者(ジョン・ニコルス)

正直言って、社会民主主義勢力が大きなシェアを占めているヨーロッパに比べて、アメリカの政治ってあんまり面白そうでないという感じでちゃんと勉強してこなかったのですが、もう一遍じっくりと時間を取って勉強し直した方が良いかなと思い始めています。

(追記)

考えてみれば、民主党の中でサンダースがやろうとしたことは、長らく「ソーシャル」がなかったアメリカにおいて、「リベラル」を食い破って正真正銘の「ソーシャル」が表面に出ようとしてついに果たせなかったということであるのに対して、トランプのやろうとしたことは、「ネオリベ」と「コンサバティブ」の牙城のはずの共和党のただ中に、大変歪んだかたちではあるけれども、ある種の「ソーシャル」を求める声の嵐を巻き起こしたことにあるのかも知れません。

それがトランプであるという点に、同じように「ソーシャル」志向が歪んだかたちで噴出する例えばフランスの国民戦線などと比べても、アメリカという国の特殊性がよく表れているのでしょうけど。

(再追記)

そのクリントンに負けたサンダースが、クリントンに勝ったトランプに向けて、こう語っています。

http://www.sanders.senate.gov/newsroom/press-releases/sanders-statement-on-trump

“Donald Trump tapped into the anger of a declining middle class that is sick and tired of establishment economics, establishment politics and the establishment media.  People are tired of working longer hours for lower wages, of seeing decent paying jobs go to China and other low-wage countries, of billionaires not paying any federal income taxes and of not being able to afford a college education for their kids - all while the very rich become much richer.

“To the degree that Mr. Trump is serious about pursuing policies that improve the lives of working families in this country, I and other progressives are prepared to work with him. To the degree that he pursues racist, sexist, xenophobic and anti-environment policies, we will vigorously oppose him.”

ドナルド・トランプは、エスタブリッシュメント経済、エスタブリッシュメント政治、エスタブリッシュメントメディアに倦み疲れた没落しつつある中間層の怒りを利用した。人々は低賃金で長時間労働することに、実入りのいい仕事が中国や他の低賃金国にいってしまうことに、億万長者が連邦所得税をちっとも払わず子供たちが大学教育を受けられるようにしようとしないことに、要は富豪がますます肥え太ることに、倦み疲れているのだ。

トランプ氏がこの国の勤労者家族の生活を改善する政策を追及することに真剣である程度に応じて、私と他の進歩的な人々は彼と協力する用意がある。彼が人種差別的、性差別的、排外主義的、反環境的政策を追及する程度に応じて、我々は彼に激しく反対するであろう。

まさにそういうことですね。

(おまけ)

https://twitter.com/kurokawashigeru/status/796916674091884545

コメント欄は、元記事の重要なところ何も読み取らずに、難しそうだけども鈍感なコメントが繰り返されている。

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雑件」カテゴリの記事

コメント

年収200万円以下から700万円超までの所得者で、上に行くほどトランプに投票する割合が高かったことはハッキリ統計として出ているのですが…(特に、最下層では過半数がクリントン、700万円超のミドル層ではトランプと完全に傾向が明らかになってます)

そしてトランプに投票した中間層というのは「税金をもっと払っていい(or払わせてもいい)」というサンダースの社会保障・税金感覚とは逆なんですね。

この投票結果から、「貧しい階層が大きな政府を求めてトランプに入れた」というのが間違いと分かる。

そういう分析って「リベラルは弱者に冷たい」という浜口さんの歴史観とは合致するのだけど、統計としてはそういう結果ではないので。私としては「リベラルと自己決定と自己責任は切り離せない」と思うので冷たい社会上等なんですが、オバマとか、オバマ政権に入っていたクリントンとか、フランスの社会党とかも「社会的じゃない」と言うなら、それこそマジもんの共産主義とか統制経済以外何やっても評価しないんですかね。

高学歴リベラルが批判者を土人と呼んで蔑視したのも頷ける(事実に基づいた批判は良いですが、さすがに共和党よりも弱者切り捨てだの新自由主義だのという側にカテゴライズされたら、クリントン支持者もキレますわな)

投稿: 阿波 | 2016年11月10日 (木) 18時49分

ソーシャルでもリベラルでもいいんですが、きちんと社会保障で革新的な実績をあげた人をぼろ糞に叩いて、派手な政策を並べただけの今まで党員ですらなかった人を持ち上げるっていうのは、ソーシャル側が今回やったことはもうメチャクチャだ。こんな無責任なことばっかりやってたら人がいなくなりますよ。内部でコツコツやってきた人がアウトサイダーに搔き回されるのは見苦しかった。

投稿: 阿波 | 2016年11月10日 (木) 18時59分

トランプの勝利はアメリカ政治史的にみて、それほどイレギュラーなことだろうか?

トランプも、副大統領候補のペンスも若いころは民主党支持だった。そんな彼らを伝統的な民主党支持層である白人労働者層が支持したのだから、古き良き時代の民主党の復活と見るべきではなかろうか。

冷戦が終結し、特にビル・クリントン以後の民主党はリベサヨ的なものに変質した。それを象徴するヒラリーにノーが突きつけられたのだろう。オバマの勝利が公民権運動に象徴される古き良き民主党の理想の達成であったのなら、ヒラリーの敗北は変質した民主党の行き詰まりを意味するのだろう。

ただ、かつて起こったような民主と共和の支持層の入れ替わりにまでつながるのかはよく分からないが。

トランプ政権の帰趨は経済次第だろう。公共事業の推進を訴えているが、確かにこれを実現できれば経済は回復し、労働者層の不満をある程度解消できる。経済さえよければ、マイノリティの社会統合も進む。極端な政策を採らずとも、安定的な政権運営が可能となるだろう。

70年代以降の世界経済はほぼ10年のスパンで破綻を繰り返しているが、リーマンショックからそろそろ危険な時期に入りつつある。もし大不況に突入した場合、トランプが機動的な経済政策を打てれば、まさにニューディールの再現であって、トランプは歴史に残る大統領となるだろう。

日本にとってもっとも重要なのはトランプの対外政策だろう。選挙中訴えていたように在外米軍の撤退を本格的に行えば、世界的なパワーバランスは不安定化する。軍事的衝突は避けられまい。だが、アメリカにとっては戦争特需となる。戦前のアメリカ経済が本格的に成長軌道に乗ったのは第二次大戦の勃発によってであった。戦争によって破壊されたヨーロッパや日本の復興を支援する過程で、アメリカは世界のリーダーとなったのだ。アメリカを偉大な国に復活させるというトランプのスローガンと彼の対外政策は案外整合性が取れているのだ。意図せずに、だろうが。

トランプの経済政策、対外政策はアメリカ国民にとってはしごく合理的である。かようなリーダーを選んだアメリカの民主主義は偉大といわざるを得ない。他国民にとっては迷惑な部分があるが。

今後世界経済の不安定化が進んだ場合、各国が協調して積極的な経済政策を実行することが肝要である。そこにトランプをきちんと取り込むことができるかが、今後の世界の命運を左右するだろう。

投稿: 通りすがり2号 | 2016年11月10日 (木) 21時39分

比較的高所得な階層がトランプに入れたっていうのは一種の自己防衛と見ることは出来ないんでしょうか。
ここ十数年のグローバリズムとリベラル指向によって従来の中間層が一気に貧困へと落ちていったのを彼らは知っていて「次に搾取され見捨てられるのは俺達だ」という危機感を持ったのではないでしょうか。
それとPC棒でぶん殴られて云々という話も元々最下層に属する人にとっては殴られようが殴られまいが失うものが少なく本音が言いやすかったのに比べて、中間層はより上位のエリートリベラルからぶん殴られると今の地位を失う危険が大きく非常に閉塞感に満ちた日常を送っていたものと想像します。それ故なおも綺麗事を並べるクリントンよりももっとストレートな物言いで本音をぶちまけたトランプに支持が集まったんじゃないでしょうか。

投稿: 毛沢山 | 2016年11月11日 (金) 03時22分

>ここ十数年のグローバリズムとリベラル指向によって従来の中間層が一気に貧困へと落ちていった


リベラル政策によって「中間層が没落した」という事実はないです。リベラル政策は、男女平等・人種平等・法の下の平等・自己決定権などです。

「白人・男性」であることの既得権のみによって中間層に居た一部の人は没落したかもしれませんが、「特権によって中間層であることを維持させろ」という差別主義者に配慮する意味が分からない。

とにかく、市場経済の「被害者」を「差別主義を奉じる大きな政府派=国家社会主義者」が救済するという神話は徹底的に否定されなければならない。

投稿: 阿波 | 2016年11月11日 (金) 10時08分

で、その素晴らしいリベラルはなぜ負けたのですか
負けを認めらずに精神論に走った者がどうなるか、ご存じないわけがあるまい

投稿: 通りすがり3号 | 2016年11月12日 (土) 02時20分

阿波殿

>「白人・男性」であることの既得権のみによって中間層に居た一部の人は没落したかもしれませんが、「特権によって中間層であることを維持させろ」という差別主義者に配慮する意味が分からない。

トランプ氏は”「白人・男性」であることの既得権のみによって中間層に居たが既得権を失って没落した”人達に配慮する(?)発言
(イスラム教徒や移民や女性を蔑視し、安い輸入品の制限を公約等)によって、従来は民主党支持の州でも勝って大統領になれたのだと思います。
そういう人達にも選挙権はあるので、”あなたたちの苦境に配慮する意味が分からない”と言われたら対立候補に投票すると思います。
トランプ氏に対して共和党の主流(金持ちの代表と思われている)が反発した事も”トランプ氏は従来の共和党候補と違う(金持ちの見方ではない)”と思われたのだと思います。

投稿: Alberich | 2016年11月12日 (土) 11時08分

阿波さん
> 年収200万円以下から700万円超までの所得者で、上に行くほどトランプに投票する割合が高かったことはハッキリ統計として出ているのですが…(特に、最下層では過半数がクリントン、700万円超のミドル層ではトランプと完全に傾向が明らかになってます)

これが事実であれば、Calexitの連中は貧しい同胞を見捨てて脱出しようとしていることになります。
難民は受け入れ同胞は排除する、そんなリベラルなどいてたまるか。

投稿: 通りすがり3号 | 2016年11月13日 (日) 02時37分

定評あるアメリカ政治ウォッチャーの吉崎達彦氏が、
「溜池通信」の11月12日付けブログで以下のように指摘している。

○つまり今回の選挙結果は、「格差」がどうのこうのとか、「隠れトランプ票」がどうのこうのといった話ではないのです。単に民主党の支持者が家で寝ていただけのことなのです。それも前回比1割減で。それで納得が行ったのですが、今回は議会選挙でも民主党が伸び悩んだ。当初の予測では上院は民主党が多数となるはずだったのに。

○民主党支持者は、オバマさんを応援するほどにはヒラリーさんを応援したくはなかった。あるいはメール問題の影響を受けたのかもしれません。この選挙、直前になって民主党内に緩みが出たのでしょう。「相手がトランプなら、自分が投票しなくてもどうせ勝てる」と。そして民主党の幹部連中は、とっくに勝ったつもりになって新政権における自分のポストが気になっていた。「負けに不思議の負けなし」というやつです。

○古くから、「民主党支持者は候補者と恋に落ちる。共和党支持者は親が決めた結婚でも納得する」などと評されます(今回の場合、共和党は全然あてはまりませんが・・・)。ジミー・カーターとかビル・クリントンとかバラク・オバマとか、恋に落ちた候補者の時の民主党は強いです。でも、ウォルター・モンデールとかジョン・ケリーとかヒラリー・クリントンのときは弱い。今回もバーニー・サンダースに浮気しちゃいましたよね。

○逆に言えば、「トランプ現象」の原動力になった支持者はそんなに大勢いるわけではない。せいぜい数百万人といったところでしょう。それでも、有効投票数1億2000万票の選挙に影響を与えるには十分であった。州別でみると、なるほどペンシルバニア州とフロリダ州では共和党票が有意に増えている。が、畢竟その程度です。むしろオハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州などで民主党票が大きく減っている。そっちの方が問題は大きかったのではないか。

○開票から3日が過ぎましたので、そろそろ「印象論」は終わりにして、データに基礎を置いた議論をすべきだと思います。上記はほんの初歩、ということです。
(以上)

民主党陣営における、ヒラリーの不人気をもっと分析すべきなのかなと思いました。彼女に、「ソーシャル」感が足りなかったということでしょうか?

投稿: yunusu2011 | 2016年11月13日 (日) 07時23分

yunusu2011殿


>そろそろ「印象論」は終わりにして、データに基礎を置いた議論をすべきだと思います。

おっしゃる通りですが、データをどのように解釈するかが問題だと思います。
例えば
>つまり今回の選挙結果は、「格差」がどうのこうのとか、「隠れトランプ票」がどうのこうのといった話ではないのです。単に民主党の支持者が家で寝ていただけのことなのです。それも前回比1割減で。
>むしろオハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州などで民主党票が大きく減っている。
というデータに対して、民主党の支持者は単に家で寝ていたのか それとも トランプに入れたのかは 議論の余地があると思います。
新聞記事によると、オハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州等のいわゆるラストベルトでは”「白人・男性」であることの既得権のみによって中間層に居たが既得権を失って没落した”有権者には、従来の共和党候補は金持の代表に思えたので民主党に投票したがトランプは我々の事を考慮してくれそうなので今回はトランプに投票する という人が多数いたそうです。
今後は有権者における白人の割合が減少しヒスパニックの割合が増えるので、民主党や(従来の)共和党は先行きの明るいヒスパニックに向けた政策を重視してきたと思います。しかしトランプ氏は(先行きは暗いが)とりあえず最大多数の白人有権者を対象にしたのが今回の勝因だと思います。
”真ん中のアメリカが本当のアメリカだ!!”(トランプを支持したオハイオの溶接工の言葉)

投稿: Alberich | 2016年11月13日 (日) 16時40分

>Alberich さん

既得権(性別・人種による格差)によって中間層であった人に配慮することは、リベラリスト(自由と機会均等を重視する者)の思想的基盤を破壊することになるので無理でしょう。キリスト原理主義者が多様性を認めること以上に困難です。

将来、キリスト教徒やアングロサクソン系・アイルランド系の白人が減り、アフリカ系・ラテン系・ムスリムが増えると予想されるので、その時に共和党が「白人であることの既得権」に代わる土台を見つけなければ、民主党にまだチャンスはあります。

投稿: 阿波 | 2016年11月13日 (日) 20時53分

リベラル思想を掲げる以上、「格差の能力主義的な再編」は避けられない。人種的・性的な既得権を剥奪された側からすれば、「新自由主義」に見えるわけですね。

投稿: 阿波 | 2016年11月13日 (日) 20時57分

見えるも何も、リベラルからソーシャルを引くと阿波さんのようになるんですよ

投稿: 通りすがり3号 | 2016年11月14日 (月) 07時55分

阿波さんは結局クラスでしか見てないではありませんか。
個人を尊重しないリベラルなどいてたまるか。

投稿: 通りすがり3号 | 2016年11月14日 (月) 08時04分

>見えるも何も、リベラルからソーシャルを引くと阿波さんのようになるんですよ

私は「機会の平等無き格差是正はあり得ない」派なので、差別するソーシャルよりも機会均等な格差社会のほうがマシだと思ってます。

というか、「貧乏人が見捨てられたためにファシストに投票する」と言う人は、差別したいだけなんじゃないかと。


>阿波さんは結局クラスでしか見てないではありませんか。
>個人を尊重しないリベラルなどいてたまるか。

私は個人主義、かつ機会の平等を重視する者です。だから「人種」「性別」「宗教」で差別して平等な機会を奪うことが許せないんです。

人種・性の平等化の過程で、「能力以上の待遇を得ていた者」が貧しくなることはあるでしょう。逆に、「能力未満の待遇した得られなかった人が、差別解消で適切な処遇を受けれるようになった」ということでもあります。これは全く批判すべき現象ではありません。

投稿: 阿波 | 2016年11月14日 (月) 14時01分

>というか、「貧乏人が見捨てられたためにファシストに投票する」と言う人は、差別したいだけなんじゃないかと。

>私は個人主義、かつ機会の平等を重視する者です。だから「人種」「性別」「宗教」で差別して平等な機会を奪うことが許せないんです。

少なくともここでコメントしている方々は、トランプ支持者ではなくラストベルトの白人労働者も喜んで投票できたかも知れないサンダースの方がよかったんじゃないかと言っているだけだと思われますが、そういう人々を相手に「差別したいだけなんじゃないか」とか「「人種」「性別」「宗教」で差別して平等な機会を奪う」とか非難するのは、あたかもサンダースをトランプの同類だと言って叩いているようなもので、それではますます味方がいなくなるのは必定という感があります。(もちろん、サンダースでは逆に急進的すぎて逃げる票が多くて、結局勝てないというリアルな判断というのはありうるとは思います)

いずれにしても、味方を多くして多数派を形成してよい政策を実現するなどという下賤な枝葉末節よりも、実現可能性など度外視して唯一の正しい道をひたすら一人荒野に呼ばわるというあるべき正道を歩みたいというのは一つの生き方ではありますね。

投稿: hamachan | 2016年11月14日 (月) 17時03分

人権や立憲主義を語るのと、
人権や立憲主義「しか」語らない・重視しない(格差?貧困?労働者搾取?忘れてたよHAHAHA)というのは
異なる立場になってきます。
本人にも悪意がなくメディア的に見分けが付きにくい分、ある意味保守よりやっかいですね。

投稿: hukurou | 2016年11月15日 (火) 02時17分

>いずれにしても、味方を多くして多数派を形成してよい政策を実現するなどという下賤な枝葉末節よりも、実現可能性など度外視して唯一の正しい道をひたすら一人荒野に呼ばわるというあるべき正道を歩みたいというのは一つの生き方ではありますね。

子ブッシュの選挙参謀が、”(当選後に配慮すべき対象が減るので)なるべく少ない得票数で勝つのが良い”と言ったそうですが、阿波殿もそのよう("既得権を剥奪された事に抗議している人に配慮しなくても、それ以外の人の支持で政策を実現出来る")にお考えなのでしょうか

投稿: Alberich | 2016年11月15日 (火) 11時36分

機会の平等論はそれなりに気をつける必要があるのかなとは思います。機会を平等にすればみな同じクオリティになるわけでもないので。どんな結果になっても何らかの救済があるようなのがソーシャルだと思っています。

たとえば機会の平等論者がどこまで生活保護の支給に寛容になれるのか、一度機会平等論者だけ集めて生活保護受給者の実例を見ながら議論してもらいたい気がします。

投稿: ありす | 2016年11月15日 (火) 18時44分

トランプ氏を支持した労働者を取材した記事を読むと、hamachan先生が昔書かれた
  "赤木智弘氏の新著"
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_c3f3.html
というエントリを思い出しました(ヒラリー・クリントン氏が福島瑞穂氏とダブって見えてしまいました)

赤木氏の

>>これまでの「弱者」概念というものが、「女性」「肌の色」「人種」「生まれた場所」などという、人間が自身の力であとから変えようのない「固有性に対する差別」による弱者を示しました。すなわち「平等を求める行為」というのは、そうした固有性によって人を差別しない社会を目指すと言うことです。
>>一方で、右肩上がり経済社会における「経済弱者」というのは、あくまでも一時的な格差で発生した弱者だと考えられます。つまり、「努力すればやがて報われるような一時的な弱者」と言うことです。そうした状況は、バブル崩壊後の低い経済成長の社会になってからは変化し、「努力をしても報われない弱者」、すなわちワーキングプアを生み出しました。
>>にもかかわらず、「固有性に対する差別」にこだわる左派の多くが、こうした状況を
ちゃんと把握しておらず、・・・
>>つまり、左派の人たちは。「固有性に対する差別」とたたかうことを強調するあまりに、「固有性でない差別」に対する理解が浅くなっています。

という主張に対して、
hamachan先生は以下のように述べられています。

>赤木さんにとっては、左派というのはいまの社民党みたいなものなのでしょうね。福島瑞穂さんみたいなのが「左派」の典型なのでしょうね。
>しかし、それは高度成長期以後のここ30年くらいのことに過ぎません。
>それまでの「左派」というのは、「固有性に対する差別」を問題にするのはブルジョア的であり、まさに「努力しても報われない弱者」働いても働いても貧しさから逃れられない労働者たちの権利を強化することこそが重要だと考えるような人々であったのです。リベラルじゃないオールド左翼ってのはそういうものだったのです。
>リベじゃないオールド左翼にとっては、「経済の強弱に於いて社会責任を付与」することは当然でした。当時の状況下では、これは、「女房子供の生活費まで含めて会社に賃金を要求する」こととニアリー・イコールでした。
>しかし、やがてそういうオールド左翼のおっさんたちが、保守オヤジとして指弾されるようになっていきます。彼らに「固有性に対する差別」に対する感性が乏しく、「左翼は女性差別的」と思われるようになったからです。


アメリカでも民主党は(かつては)労働組合が支持基盤なので、hamachan先生のおっしゃる”リベラルじゃないオールド左翼”の体質だったと思うのですが、日本の左翼と同じく「固有性に対する差別」をより問題にするようになったのでしょうか?

投稿: Alberich | 2016年11月15日 (火) 19時10分

>味方を多くして多数派を形成してよい政策を実現するなどという下賤な枝葉末節よりも、実現可能性など度外視して唯一の正しい道をひたすら一人荒野に呼ばわるというあるべき正道を歩みたいというのは一つの生き方ではありますね。

これ逆なんだよなぁ
「オバマの下で一定の福祉や金融規制などの政策、女性や人種の機会平等を地味ではあるけれども前進させてきた」ヒラリーを、実現可能性がほぼ無いに等しい極左的政策で若者を釣って、既存の党員が支持していたヒラリーを右翼・財界の犬と罵倒しまくったのがサンダース支持勢力なんですよ。

あと、「貧しい労働者がトランプに投票した」という間違った主張(実態は低所得労働者はほとんどヒラリーに投票)を批判しているんです。間違った認識は、国家社会主義者(大きな政府と差別を支持するネトウヨ)による「トランプは低所得労働者の味方」という虚偽の宣伝に力を与えることになる。

支持を得られるように地道に頑張るべきというのはその通りですが、それには正しい分析が必須です。少なくとも、「ヒラリーは貧乏人の敵と見做された故に落選した」と騙されると、そこから引き出される対策や教訓も的外れなものになります。

>アメリカでも民主党は(かつては)労働組合が支持基盤なので、hamachan先生のおっしゃる”リベラルじゃないオールド左翼”の体質だったと思うのですが、日本の左翼と同じく「固有性に対する差別」をより問題にするようになったのでしょうか?

これ典型的な間違いで、「固有性に対する平等」が無ければ「結果の平等」も無いからね。
私は、「肌の色のために貧しい人」より「能力が無いせいで貧しい人」を優遇することは絶対にできない。そこはハッキリ優先順位をつけたい。「身分差別より能力格差のほうがけしからん」というのがオールド左翼ならそんなの要らんわ。

投稿: 阿波 | 2016年11月16日 (水) 16時36分

総得票数ではヒラリーの方が取ってますので多分「固定的な支持層」と「流動的な支持層」を分けて考える必要があると思います。

「流動的な支持層」である都度政策的に得をする側に投票するビジネスマン、「固定的な支持層(民主)」と思われていた旧工業地帯の票をトランプが取ったことに加え、「前回、オバマを支持した層」の何割かをヒラリーが取れなかった(これはオバマの責任も少なくない)と思われます。これらは全体から見ればあまり多くの割合はないかと思います。

おそらくトリガーは「固定的な支持層(民主)」と思われていた旧工業地帯の票でそこにはマスコミの意見が受け入れられなかったことにあると思います、「没落する人が取った」様に見えるのはそこがクローズアップされているだけ、ということにすぎないかと思います。
(あとは選挙制度のアヤもかなり大きいと考えますが、、、)

最後に1つ言うとオバマのときはバラク・オバマと言う人物への投票ですが、ドナルド・トランプという人物は「現状への不満」の依り代にしか過ぎない、ということでしょうか。

あ、あと一つ、エリザベス・ウォーレンなら代表選から圧勝してたろうなぁ、、、

投稿: Dursan | 2016年11月20日 (日) 06時37分

米国のエスタブリッシュメントが本当に恐れたのはサンダースであって、だからクリントンの不人気を考えれば本戦でトランプが勝つ可能性も認識しつつも、民主党の予備選段階でサンダース排除に動いたのだろうとわたしはみています。
サンダースは最近、"Our Revolution: A Future to Believe in "を上梓しましたが、1938年にアルビン・ハンセンらの影響下で当時のハーバードやタフツの若手のケインジアン(あのスウィージーも入ってます)"An Economic Program for American Democracy"を彷彿とさせるような改革政策を提起しています。
アメリカという国は"Common sense"のトーマス・ペインらの非妥協的リベラリズムを理念に持ちつつ革命に勝利してできた国家ですが、戦間期にはヘレン・ケラーやジャック・ロンドンも要した社会党が一定の支持をえていたこともあり、上記の1938年綱領(プログラム)も勘案すると、ソーシャルな伝統がまったくないとも言えないと思います。いずれにしても末期資本主義でリベラリズムが反動思想に転化してしまったかのごとき現状では、サンダースらのソーシャルな勢力が、ペイン的非妥協性をつらぬいて、革命に向かう希望も出てきたのかも知れませんね。

投稿: Hayachan | 2016年11月22日 (火) 07時14分

>Hayachanさん

リベラル反動、大いに結構。
機会の平等と自由主義を脅かす国家社会主義・差別勢力は極右・極左ともども撲滅していきたい。

投稿: 阿波 | 2016年11月22日 (火) 16時01分

Hayachanさん、

さて、それはどうでしょうか。
いささか結果からさかのぼって考えている嫌いがあるような。

実際、アメリカのマスコミでも、クリントン対トランプなら、いくらなんでもトランプになるはずはない、と皆読み間違えていたわけで、おそらく「サンダース対トランプでは、色物同士の対決になって、トランプになりかねない」から、『まっとうな』クリントンにした方がいいという『常識的』な考えにへたに導かれてしまった、というのが、実際のところだったのではないかと思います。

アメリカ国民の怒りのエネルギーの大きさを読み間違えていたのでしょう。

投稿: hamachan | 2016年11月22日 (火) 20時26分

社会実情データ図録
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/
に、アメリカ大統領選挙のデータ分析が、23日付けで、新規エントリーされている。

結論として、
「すなわち、トータルに見て、何が決定的だったかを判断すると、結局、民主主義の下では、人々は現政権の成果に満足することはあまりないことから、2期目の大統領が立候補する場合を除くと、現在とは反対の政党に政権が移るのが普通である点が最も大きな要因だったと思われる。これは「政権交代必然説」とでも呼べるだろう。」
だそうだ。
エビデンスに基づかない議論は「宴のあと」ではあるが、とてもむなしくみえる。

投稿: yunusu2011 | 2016年11月27日 (日) 18時09分

yunusu2011殿

>エビデンスに基づかない議論は「宴のあと」ではあるが、とてもむなしくみえる。

以前にも申し上げましたが、どのようなエビデンスを採用するかが問題だと思います。
例えば今回の選挙では”総得票数ではヒラリー氏が勝っていた”というエビデンスがあります。つまり”現政権の成果に満足”している人の方が多数だったわけで、その点から以下の結論には疑問があります。

>「すなわち、トータルに見て、何が決定的だったかを判断すると、結局、民主主義の下では、人々は現政権の成果に満足することはあまりないことから、2期目の大統領が立候補する場合を除くと、現在とは反対の政党に政権が移るのが普通である点が最も大きな要因だったと思われる。これは「政権交代必然説」とでも呼べるだろう。」


ヒラリー氏は総得票数では勝ちましたがラストベルトの民主党州で敗けたため選挙人の数で敗けました。
その意味で決定的だったのは「政権交代必然説」ではなくラストベルトの(これまで民主党を支持していた)有権者の動向だと思います。
yunusu2011殿が指摘されている記事では、ヒラリー氏がマイノリティや若者でも前回よりも支持を減らした事が原因の一つに挙げられています。しかしラストベルトではマイノリティや若者は少数派だと思うのであまり影響はなかったような気がします。マイノリティや若者の支持が前回並みに増えたとしてもラストベルト(で多数派)の白人中高年の支持が変わらなければ、勝った州の得票差が大きくなるだけでラストベルトでは勝てないままなので勝敗には影響しないと思います(その意味ではサンダース氏が候補でも負けたと思います)
トランプ氏は移民等を蔑視する発言をしてでも(従来は民主党を支持していた)白人中高年のプライドに配慮しラストベルトで支持を集めて当選しました。
女性の支持率が予想より低かったのもラストベルトでは女性である事より白人である事を優先する有権者が多かったからではないでしょうか?テレビ番組に出演したラストベルトの女性(白人、中流家庭の妻)は、子供が通っている大学が移民の学生の支援に多額の予算を使う事が不満でトランプ氏を支持すると言っていました。
今回の選挙で共和党は大きな金脈(ラストベルトの白人中高年)を見つけたと思います。マイノリティの多くは民主党支持者で民主党州に多いので、マイノリティ蔑視発言でマイノリティの票が逃げても今でも負けている州の負けが大きくなるだけで選挙人の数には影響しません。しかし蔑視発言でラストベルトの白人中高年の支持を集めて民主党州で勝てれば選挙人数では大きなプラスです。将来的には白人は少数派になるのでこの方法は長続きしませんし、国を白人とマイノリティに分断してしまいます。しかし党や国の将来よりも自分が大統領になる事を優先する候補者にとっては有効な方法だと思います。
既成勢力(党の有力者や共和党系マスコミ)から支持されず直前に女性スキャンダルも暴露され劣勢だったが従来注目されていなかった低所得白人中高年層の支持を集めラストベルトの民主党州で勝って大統領になったトランプ氏をみると、大名から全く支持されず直前に城の堀まで埋められた劣勢で牢人を率いて最後の突撃で家康の首を獲って勝った(史実では首を獲れずに負けてしまいましたが)真田幸村を思い出してしまいます。

ほとんどの人が勝つと思っていなかった大統領選に勝ったトランプ氏の今の状況は、夏の陣で勝ってしまった豊臣秀頼(or真田幸村)のようなものでしょうか(勝った後の事まで考えていなかった?)

投稿: Alberich | 2016年12月 1日 (木) 08時31分

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