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2016年10月31日 (月)

従業員主権の人本主義の光と影@WEB労政時報

51drrfrj9vl__sl500_sx353_bo12042032WEB労政時報に「従業員主権の人本主義の光と影」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=591

 今回は法政策のこまごましたディテールから少し距離をとり、近年の日本の労働法政策がなかなか解決できない問題の根源にあるもの――私が「メンバーシップ型」と呼ぶ労働社会の在り方――の哲学的基礎を成す、ある社会的イデオロギーについて考えてみたいと思います。それは、一橋大学名誉教授で現在は東京理科大学教授を務める伊丹敬之氏の「人本主義企業」論ないし「従業員主権企業」論です。
 
 1987年に伊丹氏が著した『人本主義企業』(筑摩書房)は、企業を(商法の言葉通りに)お金を出している人のものだとする「資本主義」に対して、現実の日本社会でそう考えられているように企業で働いている人のものだとする「人本主義」という鮮烈な概念を提示することで話題を呼びました。当時は日本経済のパフォーマンスが世界中で高く評価されていた時代であり、彼の議論は結果によってその素晴らしさがあらかじめ保証されている日本的経営の原理を、日本国の法律の明文の規定に反する現実社会の「常識」と同じイデオロギーのレベルで比較し、その優秀性を弁証するものとして受け取られたのでしょう。 ・・・・・
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コメント

今となっては懐かしい響きのある「人本主義」「従業員主権」…。遅まきながら、労政時報Hamachan本コラムより大事な箇所を引用させていただきます。

「…しかしここで重要なのは、「人本主義」とか「従業員主権」といういかにも労働者に優しい言葉をまぶすことによって、さはありながら利益が一致しているばかりでいるわけではない企業と労働者の対立する部分を制度的に表出するメカニズムが働かなくなってしまいかねない、という日本の問題点であるように思われます。

株主の利益ばかりを優先するのではなく、従業員の正当な利益を会社の機構の中でいかに実現するのかという問題意識自体は、日本でもドイツでも共通するものだったのかもしれませんが、利害の共通する部分と対立する部分をきちんと制度的に分けて法制的に対応したドイツのやり方を、全て曖昧模糊たる慣習の中で行なってきた日本のやり方に依拠して単純に批判できるものなのかは、改めて考え直してみる値打ちがありそうです。」

現時点での伊丹教授のご意見をぜひ聞いてみたいものですね。

投稿: 海上周也 | 2016年11月14日 (月) 17時40分

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