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2016年10月12日 (水)

ラーメンに人の親指

朝日新聞の記事ですが、

http://www.asahi.com/articles/ASJBD64L0JBDUTPB01S.html (ラーメンに人の親指?混入 静岡の幸楽苑、保健所が指導)

ラーメンチェーン「幸楽苑」の静岡市清水区の店舗で提供されたラーメンに、人の親指の一部とみられる異物が混入していたことが12日、わかった。・・・

いや、総毛立つような恐ろしい話です。

同社や市保健所の説明によると、混入があったのは幸楽苑の静岡清水インター店。9月10日昼ごろ、店内にいた女性客が、子どもが食べていたラーメンのスープに人の指のような異物が入っているのに気付き、店に伝えたという。

ラーメンスープに人の指。現代の怪談。でもね、本当に恐ろしいのはそれに続くこのパラグラフなんです。

市保健所が女性客の届けを受けて現物を確認したところ、長さ約7~8ミリ、幅約1センチで、爪のついた指の先とみられるものだった。パート従業員がスライサーでチャーシューをスライスした際に右手の親指を切り、調理過程で混入したという。保健所はほかに混入がないかの確認や、調理器具の消毒などをするよう指導した。従業員に感染症などの疑いはないという。

とにかく気になるのは、「ほかに混入がないか」「調理器具の消毒」「従業員に感染症」という心配だけ。

徹底して消費者目線の心配だけ。変な異物を喰わされかけた消費者の目線だけ。

それが今日のリベラルな(と称されている)新聞の記事のスタンス。

その長さ約7~8ミリ、幅約1センチの右手の親指を切断したパート従業員は大丈夫なのか、手当はきちんとなされたのか、パートだからといって労災の処理はいい加減にやってないだろうな、等々の労働者目線の関心はものの見事にすっぽりと抜け落ちている。

見事に。

まあ、この記事を見て、葉山嘉樹の「セメント樽の中の手紙」を思い出したりする人間は今どき希少種なんでしょうけど。

http://www.aozora.gr.jp/cards/000031/files/228_21664.html

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コメント

労働問題関係者からすれば、労働者と会社は「身内ではない」のかもしれないが、

外から見れば、看板を背負ってる以上は会社も労働者も「身内」なので、身内の心配より他人様に迷惑を掛けるなよというのはおかしくない。

それに、従業員が指斬ったことよりも感染症の抑止を行うことのほうが重要なのは、予想し得る被害の大きさから見ても会社経営から見ても当然。客に責任は無いですし、それで感染症が出たなんてことになったら潰れますよ。

これは労働者の人権と矛盾しません。身内のことは身内でやってくださいという話で、他人に被害が生じるときに声高に言う必要はないということ。

程度は全く異なるが、公害を起こしている企業の労働者の人権問題を騒ぎ立てる必要は全くない。他人さまに迷惑掛けないというのが日本人だけでなく人類の基本的な道徳として存在するのだから、まず他人に迷惑掛けたらどうするかを問題にすべき。従業員は外から見れば身内なのだから、身内の問題は身内で処理してください。

>この記事を見て、葉山嘉樹の「セメント樽の中の手紙」を思い出したりする人間は今どき希少種なんでしょうけど。

主人公の労働者が”セメント樽の中の手紙”を読んだ後の最後の場面が、これまた感傷に流れずに、身もふたもないんだよなぁ。(それこそ消費者目線がちゃんちゃらおかしい)

>「へべれけに酔っ払いてえなあ。そうして何もかも打ち壊して見てえなあ」と怒鳴った。/「へべれけになって暴れられて堪るもんですか、子供たちをどうします」/細君がそう云った。/彼は、細君の大きな腹の中に七人目の子供を見た。

「従業員は身内」とは驚愕。
どちらにとっても身内じゃないでしょ。

保健所は、保健所ができる範囲のことをやったにすぎません。労働災害については監督署がやるわけですが、そのことを記者が知らなかっただけです。まあ聞かれても個別案件の中身については答えないと思いますが。

「従業員は身内」ですか。ああ怖い。

「身内」ってどういう意味ですかね。

私は「しにみず」を取ってくれる人のことだと理解しているので、会社と従業員がそんな関係だなんて思いませんがね。外から見ても思いませんがね。

>ちょ さん

日本の一部大企業の正規労働者は明らかに企業の「身内」です。

単なる労働取引でしかないなら、公費投入や法的整理や経営破綻でクビになります。

しかし日本の(日本だけじゃないけど)一部の大企業正社員は公費投入されても簡単にクビにできません。それどころか破綻して経営再生中でも賃金削減が強く規制されています。

守旧的復古的経営者の言う「従業員は家族。だから労組は黙れ」は、独占系・インフラ系の大企業正社員では事実。

企業との特権的集団を形成し利益を得ていたのだから、企業と「闘う」などチャンチャラおかしい、外部から見れば特権ギルド集団です。

「労働を提供するだけで、労基法に守られる存在にすぎない」ような労働者なら、なぜ特定企業の正規労働者のみ、税金で手厚く守られるのでしょうか。根拠がありません。

>「身内」ってどういう意味ですかね。

まさに「メンバーシップ」でしょう。

もっとも、ラーメン店のパート従業員が、一部大企業の正社員のようにメンバーシップを与えられているという実例はあまり聞きませんが。

そういうメンバーシップ扱いしていない労働者を都合のいい時だけ「身内」と称して労働者としての正当な扱いをしない正当化根拠にしたがるのが、典型的なブラック企業のロジックでしょう。

もちろん、念のため申し上げておきますが、このラーメン店がそうだなどとはこれっぽっちも言っていません。このラーメン店はこのパート従業員が『身内』だなどとおかしなことを言っていませんから。言っているのは別の方です。


「これが是非は別に、いわゆるメンバーシップ型の負の面を帰結的現象として説明可能とするメディア特性のひとつでしょうね」と…朝日はそこまで書き、読売は触れなかったけどとわざわざコメントしてもなあ、と昨日逡巡しておったらば、はまちゃん先生にやられた(笑)。それも深夜に…誰もコメントしないのにしびれを切らしたかのように…(笑)。
微視的に考えると阿波さんのコメントは説得力を持ちますね。

企業と身内をもっと生物学における「集団的思考」=(ダーウィンの偉業のひとつですが)。これが日本において高度経済成長時代に顕著に現れていたのがいわゆる懐かしの企業城下町、それにより町とその周辺全体の発展も遂げてきた巨視的な企業と身内のベタなメンバーシップ事例であろうともいます。
企業城下町では正規労働者と家族やその下請け労働者の家族だけではなく、行政機関や保育にはじまり下級から中等教育機関までのそのサービスを受ける(買う)ほぼすべてともいえる人々(高齢者も含め)は意識下に深くメンバーシップ雇用の行き着く先とも思える帰属意識を行政はじめ、子供たちから現役に留まらず、退職者に至るまで強く規範的に思考させる絶対的な力があったように思われますし、その町の衰退はあれども、未だにそうした意識はその町に暮らす人々には存在しているようです。つまり町ぐるみで企業を核に、住民が衛星として暮らしをたてる”身内=メンバーシップ”の集団的思考が説明として成り立つ現象としてありました。
ですからなかなか手強いですね。ぐるみで成功体験をDNAに持ってしまっているとしたら。

新聞記事の内容は、一般の人が関係する(直面する)可能性に依存する部分があると思うので、このような記事も仕方がないと思います。
以前に、工場の事故で労働者が亡くなったという記事より牛丼のサラダに蛙が入っていたという記事の方がずっと大きかった記憶があります。今回も労働者が勤務中に指を切断してもラーメンに入っていなかったら記事にもならなかったと思います。
労働者が勤務中に負傷したり死亡する事は、交通事故や犯罪と同じく、あってはならない事ですが、根絶は困難なので発生した場合の対応が予め決められていて、それに基づいて対応されている場合は(交通事故や犯罪をすべて報道するのではないのと同じく)記事にならないということではないでしょうか?
記事になるのは決められた対応自体に問題があったり、対応どうりに処置されていない場合だと思います。

私も自宅で指の先2ミリほど包丁で切り落としたことがありますが、むちゃくちゃ出血するわけです。今回のがはそれ以上なので、すぐ病院へ行かせる規模の事故だったと想像できます。動力機械の操作を誤ってそれなりの規模の労災事故が発生したわけですから、機械を止め、原因究明と再発防止措置を考えるべきであったと思われます。その過程で作業の手順や導線を見直しておれば、チャーシューの容器のことにも気づくことができた可能性が高い。それを見落としていたとすれば、労災事故処理に手落ちがあったのではないか・・・といった点まで広げて取材すれば、もっと膨らみのある記事になったかも。
こんな大事件になっちゃって、事故にあったパートさん、大丈夫かなあ。

Alberich さん

そう思います。
感染症のほうを重視するのは当然。

朝日・リベラル系が労働問題に無関心という変なレッテルはやめて欲しい。

非常識な労働者/組合には厳しいですがそれは常識を重視する普通の人の意見の代弁です。

ガチ左翼の私の両親(元・下っ端公務員で社会民主主義者)でさえ一部の組合の専横には怒ってますよ。

特権的だったり他人に迷惑を掛けた企業の労働組合が全労働者の代表ツラするのはおかしい。

新潟知事の件で連合(の上の人たち)が嘲笑や批判にさらされていますが、このままじゃ労働者のまともな要求(サビ残禁止や労働時間上限を要求)まで相手にされなくなる。

このままでは労働組合全体が悪者になってしまう。

公害加害企業関係者が権利を主張するとき、その権利が公序良俗に反しないか否かきちんと考えないといけない。

連合名義で原発推進するのは止めていただきたい。

パラサイトコメントは辞めますので一言。

無意味でした。それは以下に。

主とそれにリソナンスする代理人(純化コメント)の関係がアクターが変われど繰り返されるようなこの情報空間は進化を代理人が阻止するカトリシアン関係のように感じておりました。
ですから、予定説に基づくような決定論に親和するコメント様相が続きますとなんともいえない違和感を持っておりましたが、ある時の主のエントリでのフレーズ(神話の主への副詞でしたが)、またわたくしが無知としても紹介させていただきました佐藤優氏著書への反応(それも主も誰もが得る権利である創造への利益を個人に関し拒絶する姿勢)と、投稿者との非対称性を無視した専門教授に接し、シンパ諸氏はざまみろと溜飲を下げられたことでしょうし、であれば選別ではなくそのままどうぞとも思いましたが、それは主の所得源泉上のご事情がおありなのでしょう。とはいえおまえも専門ベタな空理をこれみよがしに掲載されるのをうぬぼれ
言ってたじゃないのといわれるでしょうから申します。この情報技術空間の廉価による主と従の多重関係社会。その専制力を多数ではない、必然のシンパ獲得一人勝ちできうる技術の利益。それは時として社会的問題意識を保持される人々の美味であり、社会支配や分配等々を議論課題に廉価に使用でき、ましてや消費者主権なる微部分の甘美にともすれば知性を持つ側として操作可能な、なるほど意図はなくとも受動側に意識が存在しない受動とすれば、こうした情報技術がそれを純化させ踊る姿をバーチャルならの無防備さに眼を背けた危険性もあろおうかと思いますし、わたくし一人でありましょうが本エントリの紹介コメント(先に朝日と読売を証しましたが)にその想像できうる様々な訪問者への議論誘発ではないことを感じました。フェアではないという意味ではなく、わたくしが期待していた場ではなかったという意味でございます。ですから、有益であることには間違いありません。
コメント欄を汚し、ご迷惑をおかけいたしました。

このラーメンチェーンがこの事故を受けて全店舗を27日に一斉休業するにしたそうです。

http://news.livedoor.com/article/detail/12177425/

ただし休業の理由は、”各店舗で従業員に、衛生管理などに関する再教育を実施する”ためだそうです。

ラーメンに入っていたのが髪の毛やゴキブリだったら従業員に衛生管理に関する教育の必要があると思いますが、今回の事故は従業員に衛生管理に対する配慮が欠けていたから起きたとは思えません。従業員に必要なのは衛生管理ではなく安全管理に関する教育ではないかと思います(多くの顧客もそう思うと思います)。

これはhamachan先生のご専門だと思いますが、今回の事故は労災でありこのラーメンチェーンは監督官庁に労災の発生状況と再発防止策を提出する必要があると思います。その内容を公表した方が顧客の安心につながると思うのですが。

揚げ足を取るようで申し訳ありませんが、

>従業員に感染症などの疑いはないという。

これは”指を切断した従業員は診察の結果(破傷風等の負傷を悪化させる)感染症はなかった”という事だと思うので、手当はされて命に別状はない ということを伝えたかったのではないでしょうか?
その意味で
>パート従業員は大丈夫なのか、手当はきちんとなされたのか、
という事は記事に記載されていると思います。

「身内」という言い方に反応したら、皆様から ごく当然のこと であるかのコメントをいただき、さらに衝撃を受けたのですが、自分の中のもんもんとしていた気持ちが言語化できたので、亀ながらレスします。
身内と言っていながら、怪我しても放置って、冷たくないですか。怪我しても放置するのが身内ですか。身内と言うなら、もっと心配してもいいんじゃないですか。
(報道されない限り、労災請求されなかったと思います。パート・アルバイトなら旦那さん・ご両親の健康保険の3割負担で治療させられたんじゃないでしょうか。)
hamachan先生が 身内 という言い方をせず メンバーシップ という言い回しを選んだことに敬意を表しますが、できれば、メンバーシップと身内は違う、と言っていただきたかったですね。残念です。

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