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2016年10月31日 (月)

荒木尚志『労働法 第3版』

L14488 荒木尚志さんの教科書『労働法 第3版』(有斐閣)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641144880

近頃は労働法の教科書は2年おきに改訂というのがおおくなりましたが、荒木さんはもう少しゆったりと構えて、初版から第2版まで約4年、第2版から第3版までほぼ3年半というペースです。

労働立法の展開と労働関係の特質を踏まえた労働法体系書。最先端の学説状況と裁判例の的確な分析に基づき安定した解釈論を提示するとともに,今後の労働法政策をも展望。立法・判例の展開のめざましい非典型雇用の章については,比較法研究も踏まえて大幅改訂。

さて、第3版では最後の「第27章 雇用システムの変化と雇用・労働政策の課題」にこんな一節が・・・。

・・・戦後の混乱期を脱した日本では、1950年代後半から高度成長期に入り、良質の労働力を確保したいという企業の要求と、雇用喪失のリスクを避け安定的な雇用保障を享受したいという労働者の要求が合致し、また「解雇権濫用法理」という合理性のない解雇を権利濫用として制限する判例法理の展開も相まって、いわゆる「終身雇用制」といわれる長期雇用慣行が形成された。長期雇用慣行の下では、労働者が一企業内で昇進を重ねてキャリアを展開する内部労働市場が生まれ、雇用関係に関わる諸制度が内部労働市場に適合的な形で展開することになる。例えば、採用については、特定の職務ポストに欠員が生じた場合に、その必要な技能を持った者を雇い入れるといういわゆるジョブ型採用ではなく、定年までの雇用保障を前提に、職務内容を特定せず特定の技能も要求することなく雇い入れる新卒定期採用が行われた。また、教育訓練についても企業外部の訓練機関に依拠するのではなく、雇用した正規従業員を柔軟に配置転換およびOJTを通じて企業自身が育成訓練した。賃金についても、かつては年功賃金制度、その後は、勤続年数と職務遂行能力の蓄積を基準とする、つまり職務(仕事)ではなく人に着目した賃金制度たる職能資格制度が普及した。近時、欧米型のジョブ型雇用と対比してメンバーシップ型雇用と呼ばれているが(2)、まさにそうした特色を持った長期雇用システムが定着していった。・・・・

(2) 濱口桂一郎『新しい労働社会-雇用システムの再構築へ』(2009年)は、日本の雇用システムと諸外国の雇用システムの違いをメンバーシップ型とジョブ型という名称を与えて鮮やかに整理し、こうした名称が一般にも政策論においても使用されるようになっている。

とのことです。

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