労働組合は利益団体
なんだかまたぞろ、自民党の幹事長が連合の会長と会談したというニュースをネタに、労働組合を政治団体か思想団体か宗教団体かと取り違えた発想がネット上で拡散されているようですが、あまりのデジャブに、以前のエントリに書いた文章をそっくりそのまま自分でコピペする以外に何とも言いようがない感が半端ない・・・。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016102600979&g=pol
自民党の二階俊博幹事長は26日夜、東京都内のホテルで連合の神津里季生会長と会談し、政策面で意見交換していくことで一致した。会談は、先の新潟県知事選などで連合との関係がぎくしゃくしている民進党をけん制する狙いがあるとみられる。
連合は民進党最大の支持団体。同党の蓮舫代表が新潟県知事選で連合支援候補と対立する候補を応援したことから亀裂が生じた。連合は第2次安倍政権発足後の2013年3月、自民党と定期協議開催で一致したことがある。
コピペ元は、昨年安倍首相がUAゼンセンの逢見会長と会談したというニュースの時のこのエントリ。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/06/post-07d6.html
まあ、政治部の記者が政治面に書く記事ですから、どうしても政局がらみの政治家的目線になるのは仕方がないのかも知れませんが、ここはやはり、労働組合とは政治団体でもなければ思想団体でもなく宗教団体でもなく、労働者の利益を最大化し、不利益を最小化することを、ただそれのみを目的とする利益団体であるという、労使関係論の基本の「キ」に立ち返ってもらいたいところです。
労働者の利益のために白猫が役立つのであれば白猫を使うし、白猫が役に立たないのであれば黒猫を使う、というのは、労働組合を政治団体か思想団体と思い込んでいる人にとっては原理的に許しがたいことかも知れませんが、利益団体としての立場からすれば何ら不思議なことではありません。
政権と対決して労働者の利益が増大するのであればそういう行動を取るべきでしょうし、そうでないのであれば別のやり方を取るというのも、利益団体としては当然です。
問題はむしろその先です。
利益団体としての行動の評価は、それによってどれだけ利益を勝ち取ったかによって測られることになります。それだけの覚悟というか、裏返せば自信があるか。
逆に言えば、政権中枢と直接取引してそれだけの利益を勝ち取る自信がないような弱小団体は、下手に飛び込んで恥をかくよりも、外側でわぁわぁと騒いでいるだけの方が得であることも間違いありません。しかしそれは万年野党主義に安住することでもあります。
上の記事は政治部記者目線の記事なので、政治アクターにとっての有利不利という観点だけで書かれていますが、労使関係論的に言えば、労働組合の政治戦略としてのひとつの賭であるという観点が重要でしょう。
(追記)
同じことを、こんなに長々しく書かなくても、わずか140字のつぶやきで余すところなく語って見せている例:
https://twitter.com/2C1Pacific/status/791665991759441922
「連合の役割は終わった」と言っている"民主党時代に閣僚経験のある議員"先生は「連合の役割」を何だと理解しているのだろう? 労働組合にとって政治は手段に過ぎないのであって目的ではないよね、本来。
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どうせ重厚長大の独占利権大企業の利益のために取引するんでしょ。市場経済で競争している企業の労働者は連合脱退したほうがいいよ。
連合=税金で食ってる労働貴族の組合ですから。
そもそも組合員にアンケートも取らずに原発推進とかあり得ないし何の権利があって東電擁護してんだよ。
東電公害被害者は労働者ではない? まじ腹立った。
そんなだから新潟で嘲笑されて恥かくんだよ
投稿: 阿波 | 2016年10月30日 (日) 12時15分
経団連の政策要求だって極端なものは自民党でさえ無視しているのと同じく、連合(の一部の勢力)が掲げる政策でも非常識なものは無視してよい。
弱者である労働者の団体が悪いことするはずがない、という偏見は捨てないと。
極端な政策をゴリ押しし、選挙支援で露骨に圧力をかける連合と、一切逆らえない民進党の、ここ最近の挙動はかなり醜悪に見えている。それを理解しないと、お互い不幸になるだけ。
古い自民党とか東京都連とか富山市議会とか、そういう世間の常識と離れた異常集団になってはならない。
国民・市民の多数派である労働者の組織が世間の常識から外れたら運動はお終いだ。
投稿: 阿波 | 2016年10月30日 (日) 20時32分