数少ない生き残り働くオバサンも納得の書
拙著『働く女子の運命』に、長年女性差別を身に沁みて経験されてきた「均等法直前世代」の女性が、じわじわくるアマゾンレビューを書かれています。
濱口先生のような東大卒・キャリア官僚も務められたエリート男性が、日本の働く女性が置かれている状況をかくも正確にとらえられ、わかりやすくフェアに著述されていることに非常に驚いた。私の偏見だが、この世代の男性は、「女は馬鹿でいい。家にいろ」が主流で、働く女を異物・色物としか見ていないオジサンがほとんどだからである。
というところから始まって、かつての経験をこれでもかこれでもかと書き連ねます。
私は、均等法直前世代である。
その頃の日本はひどかった(今もひどいが)。今のようにWEB経由ではなく、電話をかけて会社説明会に行き、面接、内定となるが、大手企業の求人票には堂々と「男子のみ」と記載されていた。
電話をかけ、某国立大の学生であるむねを告げると「はあ?国立大の女子?。うちはねっ、やる気のある女なんかいらないの!!!」と電話をたたききられたものである。
努力しても、女は報われないということを、私は22歳にして悟った。勉強にはなったが、頭にきた。
ブルース・スプリングスティーンのBorn in the USAではないが、はらわたが煮えくり返る思いで生きてきたのである。
・・・気が付くと、同期女性はほとんどいなくなってしまった。結婚、出産、育児。日本の会社は長時間「いる」ことを要求する。育児・家事をこなしながら、おっさん並みに会社にいろとは、土台無理な話である。
それでも頑張ったのは、
それでもやめなかったのは、周囲の男が、男というだけで優秀でもなんでもなく、ただ単に日本という男に甘い社会に守られて下駄をはかせてもらっているだけの存在だったからである。なにくそと思った。負けるものか。ここまで来たのは意地だけである。
ということです。
最後に、拙著に言及して、少しは恨みが晴れたと・・・。
いろいろぐちゃぐちゃ書いたが、濱口先生は、日本で女が真面目に働くことの困難さを豊富なデータを背景に見事に説明なさった。ありがとうございます。男性でも先生のような方がいるとわかって、長年の恨みつらみが少しは溶けました。
はい、ありがとうございます。コスタデルソルさんの恨みを晴らすのに少しでもお役に立てたとすれば嬉しいです。
もう一つ、愛知県豊田市で「自立を支援する社会保険労務士」をされている天野初音さんがそのブログで拙著を書評されています。
http://blog.livedoor.jp/hrconsultant/archives/65996648.html
今では普通のことですが、私の同世代で大学に行った女子は、10パーセントもいないくらいだったのでは?当時は短大が全盛期で、女の子は就職したければ、短大に行くという考えが一般的でした。それに反して大卒女子の就職は厳しく天気予報の"どしゃ降り"に例えられていました。均等法の1年前で、女子の総合職もなく、結婚したら退職するのが慣例で、女性社員は結婚までの「腰掛け」と言われ、バラの花束をもらって「おめでとう」と祝福され"寿退社"していく先輩をたくさん見てきました。仕事がしたいから、働きたいから長く勤めるのではなく、結婚できないから長く勤めると思われていた時代です。労働基準法は女性労働者の保護規定があり、残業時間も制限され深夜労働はできませんでした。
でも、そもそも女性の採用がなかったり、男性は定年が55なのに女性は30歳だったり、女性は結婚したら家事や育児があるから仕事がおろそかになると、大切な仕事は任されず、軽作業ばかりだったり、女性の賃金のピークが25歳でそれ以上長く働くと減給されたり、先輩達の苦しかった時代 から、徐々に働く環境が整ってきたのです。この本はそんな女性の労働の歴史が書かれています。・・・
こちらも「均等法直前世代」の女性の思いが伝わってきます。
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