欧州労連は会社役員会への労働者参加制を主張
下記「ドイツの労働者重役制はEU法違反!?」記事の冒頭で、欧州労連が「会社重役会における労働者代表が政治的アジェンダに戻りつつあるとき」と言っているのは、フランスやイギリスの政治的状況を指しているのですが,もう一つ、欧州労連自身が近年、再びEUレベルの指令で情報提供・協議だけでなく、それを確実にするために会社の重役会への労働者代表の参加を義務づけるべきだと主張していることが背景にあります。
今年6月の執行委員会で欧州労連は「情報提供、協議及び役員会レベルの代表権に関する新たなEU枠組みのための方向付け」というポジションペーパーを採択しています。
これによると、現行よりさらに強化した情報提供・協議の規定に加えて、この指令は役員会における労働者代表の制度を義務づけるべきとし、役員会の労働者代表は株主代表と権利義務に変わりのないフルメンバーとして参加し、労使協議会の委員と同様解雇や不利益取扱いから保護されます。機密事項に関しても株主代表と同等の権利と義務を有するべきであり、制限すべきではない。このポジションペーパーはエスカレーターアプローチと称して、企業規模に応じて労働者代表比率を変える仕組みを提案しています。具体的には、50-250人規模の小企業では2-3人の低比率で、250-1000人規模の中企業では役員会の3分の1とし、1000人以上規模の大企業では労使同数とするというものです。
世界全体が労働者志向、生産志向の資本主義から、投資家志向、金融志向の資本主義に滔滔と流れる中で、あえて一見古くさく見えかねない労働者の経営参加という政策を鮮明に打ち出してきており、どの程度影響力があるかどうかは分かりませんが、労働関係者としては注目していく必要があることは間違いないでしょう。
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