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坂野潤治さんの名文句炸裂

Toshimondai 本ブログで何回かその著書を紹介してきた日本近代史家の坂野潤治さんが、雑誌『都市問題』で名文句を炸裂させています。「立憲は帝国を抑える」というタイトルですが、いやそういう中身じゃない。言葉の正しい意味でのソーシャル派の欠如に大変な危機感を抱いているのです。

聞き手は山口二郎さんですが、とても追っついていない感じです。

・・・そうです。政費を減らして減税しろという主張が通っても、当時の労働者や小作農は税金など払っていなかった。今の日本共産党は、消費税をゼロにして、法人税を上げて所得税の累進課税を強化すれば大丈夫と、できっこないことを言っている。そうではなくて消費税は上げて底辺を引き上げるのだという話はどこにも通らない。これは不思議だな。

僕が安保ぼけとか平和主義ぼけの護憲派が嫌いだという理由の一つはそこにある。戦争をやめて増税をやめれば世の中が幸せになるという、その考え方になんとしても納得いかない。

・・・立憲デモクラシーの責任もあると僕は思う。9条守れを言っていればいいのだと思っている人たちについて、ずいぶん前から批判してきた。社会保障の充実などの贅沢な話ではなく、救貧ネットワークをやらないとダメじゃないかと思い始めたのは最近だけれど、これは本当に聞き手がいない。

最後の台詞はこれです。

・・・戦中の日本では確かに精神右翼が猛威をふるった。しかし、それが内閣を握ったのは1939年1月から8月までの短期間に過ぎなかったし、在野時代の主張も貫けなかった(平沼騏一郎内閣)。精神右翼だけを相手にしていると、権力はとれない。権力をとれなければ戦争は阻止できないし、格差是正もできないよ。

何たら会議の脅威ばかりを騒ぎ立てるどこかの方への皮肉でしょうか。

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コメント

消費税を上げて底辺を引き上げるんだという話は民進党が言ってますが、権力を取れるどころか消えそうです。長期的には消費税上げも必要かも知れませんが、どんな状況であれとにかく消費税増税がないからダメだという議論だとすると、支持できないです。

投稿: ありす | 2016年9月13日 (火) 07時41分

そうですねえ。その通りですものねえ。
税への拒絶心を世界の冠たるものにした史実というか、少なくとも高度経済成長時期(池田政権の課税と減税によるミドル層づくりと消費経済大国へ通ずる大衆政治をちょこっと書き連ねたこともありますが、懐かしの東西冷戦というかイデオリギー論争なんて”外”にしかなかった帰結のような、キャッチとしては”日本の政治で違いが判るのは政党名だけ”なのかなあ?あとは後ろにいる組織や支持者の階層…これも資本論時代のように単純ではありませんから。
でも、”それ”を真に理解し権力をとれば”それ”が実現される保証はあるのか?はたまた、権力と取ってから考えてもよいのか?前者は直感的にはありそうな感じですが、後者は1993および2009で経験済みでダメだこりゃでしょ。
こうした思考実験にもならない学問?こそあまり意味なきものだと思いますね。
史実は学ぶべきであり、実証以外に膨らませて語られると、妄想好きな、…そうです。以下に語られている組織や人の報酬系ニューロン発火を促すだけだと思います。でもシナプスで何故かつながっておらんのですよ。ですから広がらんし、小さく結束力高い見える化可能ないわばダンバー理論(150ではないですよ、ここで使い単位は)で説明できる範疇での結社の帰結だということでしょうねえ。
ですから、なんらかの殻を破らないとなんも始まりませんね。内部としては今は理想的な居心地の良さですしね。
そういう意味で、鳥越さんですったもんだはいいけど、野党統一は指一歩分でも前に進んだ可能性を認められるとの説明もあながち誤りではないと思われます。
潰したのは結局は昨今喧しい俳優とその母親に関わる日本社会がもつ性向と一緒のようで、今党首選をやってる政党候補者もあっという間に先祖がえりな発言してますねえ。可能性を感じます?政敵の最近の異常な支持率向上を実証と見れば、これは時間軸では後付けとなりますが知る人は知っていたヒラリーの健康問題発火で世界政治情勢はまさにカオスですよ。だから内的には安定を大衆は何よりも求めているのでしょう。
高等教育や労働等々の各ジャンル・エントリも、それを「資本」として見る場合、市場経済に親和させるべきか、あるいは贈与経済に親和させるべきかで存外にシンプルな話ができると思うのですが、ずっと惑わせてますよねえ(笑)。
はまちゃん先生は「だから私の本読んでね」が一番リアリティありそうなブログ・パブリシティだったりして(笑)。

投稿: kohchan | 2016年9月13日 (火) 07時56分

あれれ・・・。
ちょっと追記といいますか、誤解があるとややこしいので。誤植もありはいつものことですんません。
で、私の冒頭の「そうですねえ・・・」は坂野さんのご発言といいますか、見立てに対して、agreeということで、そのうえで高度経済成長から今に至る税政策と大衆政治のリンク=与党(自民党ということになりますか)により責任は重いと思っておりますし、またその対極とは幻想であった帰結が坂野さんの意見に現れているように理解しており、対立があったとしても双方が均衡していなくとも代表ある限り課税ありだったものを理由を付けてはエスケープしてきたものが今は変な言葉として痛税などとこれまた自分たちの歴史には目をつむり、要は次世代へのつけ回しと緊縮財政論者、今本ブログではりふれになりますか?に正当性を与えてしまう帰結でありましょうか。
それをふまえ、そのいわば病原生は我々の中にこそあり、そこが替わらないと・・・プランク、後年それを使ったサミュエルソン「葬式により・・・変わる」やはり世代サイクルは今ある理論なんぞを軽く乗り越える生物現象の偉大さを考えてしまいますね。
ですから、今には今の対応=消費増税は残念ながらも必要だと申し上げるしかないのです。
ぶっちゃけ、「入り口」か「出口」かの会計問題ですから。あとは防貧と救貧を社会=贈与経済=社会勘定として考えますと、その価値とはどこにあるのかはおのずとわかるのではないかと思われます。すべてを市場経済にとの考えであれば、りふれ?含め「俺の年金」に政治的には別でも実はしっかりとシンクロ=個人勘定大好きとされるのだろうと思われます。それで解となればよいのですが、欧州リベラルもそうではないと思われます。かといってやっぱりソーシャルだとわざわざ二分法するのもどうかなと。
だってこれはスミスさんの「道徳感情論」と「国富論」を巡る終わり無きアカデミズム社会で許されるもので、実物経済=我々の生活には影響しないものであるからこそ有益なのですから、もっと建設的なというか弁証法的でも何でもいいからやんないと、今生きている人の命に関わるものだぜ~、ってことを長々と申し上げました。
まいど、はまちゃん先生、どうもです。

投稿: kohchan | 2016年9月13日 (火) 14時51分

>救貧ネットワークをやらないとダメじゃないかと思い始めたのは最近だけれど、これは本当に聞き手がいない。

↑「下層階級に福祉やお金を配ったらいいじゃん」で解決が難しくなったから、聞き手が居ないのではないでしょうか。
労働者イコール貧困福祉問題だという時代ではなくなり、中間層が増え、「格差を是正しろ」と言っても、絶対的貧困ではないのでどの程度の格差がダメなのかの合意も取れない。

貧者救済そのものが否定的に見られつつある。これは当然で、種々の給付金や減税や福祉サービス無料の所得制限を考慮すると、低所得層~中間層の広範な年齢層で実質的限界税率が上昇し、「働いたら負け」の「逆差別」が起こっている。(有名なのは生保や103万の壁だが、保育料金とか医療介護料金とか社会保険料とか教育全般で言えることだ))

アメリカでは給付付き勤労税額控除のせいで、年収200~300万円あたりの限界税率が100%近くなっている。どの国であれ貧者救済は限界税率を異常に高め、逆差別や勤労意欲低下を招いてしまう。

「金が無いから税金で給付しろ」「金が無いから(特定階級の)福祉無料化しろ」が矛盾に晒されて難しくなってる。二週くらい遅れて貧者救済に疑問を感じず無邪気に格差批判をしている人は最低でも井出英作くらいは読んで欲しい。


>ありす さん
消費税増税拒否するということは、現役世代労働者階級や中流階級の所得税・住民税・社会保険料を大増税(具体的には、実効税率倍増&中流以上の限界税率3倍増以上くらい)せざるを得なくなります。
法人税や相続税を上げないという世襲的な上級国民と、所得税非課税の低所得者・年寄り・自営業者等が同盟して、中間層の中で努力して浮沈する給与所得者がめちゃくちゃ搾取されそうです。これは反労働者的な政策ですね。

所得税そのものが複雑化し過ぎ&徴収段階で不公平にならざるを得ない仕組みで、かつ高齢化しているのだから、現役世代労働者の利益からすれば政府規模に関係なく消費税を増税すべきだろ。

今は日本に限らず労働に対する税が先進国では重すぎる。

投稿: 阿波 | 2016年9月18日 (日) 11時41分

格差が問題だ問題だと言ってる人たちが良く分からない。労働の質に違いがあるのだから格差は当然ではないか?

それに、相対的貧困を無くすことが正義だと仮定して、じゃあどうやって無くすのか?

労働の質が低い労働者に給料を上げることはできない(最低賃金上昇分だけしか上げられない)ですし、貧者限定で給付すれば努力や能力が否定されて「貧者より少し上の階層」が差別されてしまうし、中流層含めて配れば財源が無い。

絶対的貧困救済や教育機会付与は良いが、能力や努力に関わらず貧困にならない社会こそダメだろう。

格差や相対的貧困がある明るい社会を目指すべきです。

投稿: 阿波 | 2016年9月18日 (日) 11時47分

阿波さんへ
私は消費税増税断固拒否派ではありません。

投稿: ありす | 2016年9月18日 (日) 20時14分

社会保障制度や負担と分配のあり方をどう再設計し、貧困の削減と予防を実現していくかという問題を丁寧に議論しようとすると、いつも「結局消費増税派じゃないか」という筋違いの批判で腰の骨を折ろうとする人たちがいますね。民進党代表選は井手氏の理論を一夜漬けで勉強しただけという感はありましたが、「増税」以外の単語が全く耳に入らない人がいるとは驚きですね・・・。一部の経済学説に熱を上げるのは別に勝手ですが、人の議論をいつも「増税派」に押し込めて、肝心要の社会保障と負担・分配の議論については少しも理解しようとしない態度の人の議論に耳を傾けるほど心の広い人はいません。

投稿: いち社会的左派 | 2016年9月21日 (水) 01時11分

>いち社会的左派 さん

そもそも消費税そのものが左派の理論と合わない。左派が「格差是正・分配後の平等」を掲げる限り、「じゃあ所得税・法人税で金持ちから徴収しろ」という原理主義に対して抵抗できない。

「働いて稼ぐ者や現役世代だけが税金を搾取されるのは不公平だ」という新自由主義者の理論のほうが納得がいく。

投稿: 阿波 | 2016年9月21日 (水) 11時34分

>阿波さん

「そもそも消費税そのものが左派の理論と合わない」と言う人はやたらに多いので、敢えてコメントさせていただきますが、それは果たして誰の「理論」なのでしょうか。井手氏をはじめとして消費増税に理解を示す左派の学者はそれこそ大勢いますが、彼らの主張に理論がないと言い切るほど丁寧に検証されてきたのしょうか。人頭税のような極端なものはともかくとして、ある税制それ自体が左派的か右派的かなどというのは、実にナンセンスでしょう。ただし、現実に置かれている政治的な状況の中で、目前の消費増税策が相対的に左派か右派かというのはありえます。その点について言えば、若干ながら左派的であるというのが私の理解です。

投稿: いち社会的左派 | 2016年9月21日 (水) 13時54分

はまちゃん先生、交通整理したらどう?
坂野さんご発言のエントリ上の切り取りは責任あるでしょ?
建設的な応答ならば喜ばしいし、私もどうぞどうぞと知らない知識吸収を願っておりますが・・・ですがねえ。
これも選択バイアスが呼び込んだものでしょ?
無差別情報発信の益と損は、前者が来るも去るも自由はオープンな環境を提供する反面、後者は先般コメントいたしましたホメオパシー親和に未だ侵される社会のどうにも魅力的らしい一点突破型の強みなのです。呪術から一歩も抜け出ていない心理なんですから、そこは斟酌してくださらないと。
会計問題がなんでイデオローグ論争になっちゃうの?
松尾さんが「ほ~らね」って観てたらいいそうです。
入りと出が税の基本のお話で、消費税云々ピンポイントのミクロ話はその性向を知らないと(お互いが認識一意させているとの所与←やな都合よいある学問用語ですが、抽象化するには仕方ない科学の産物でもありますが)生産性を求められない可能性が高い”はまちゃんプロレス・バトルロイヤル”にしかならないと思うなあ。
実体験したから判りますから、難癖いちゃもんではないとおもわれますので、そろそろお開きでいかがですか?
やってほしいとすれば、消費税ってそもそも税としてどのような政治的経済的指向性があるのかを論じましょうよ。
多くの?無差別閲覧者がいらっしゃると思われる情報技術発展の福音を享受できる先達たち”巨人の肩”に乗っているだけの我々なのですから、後の世代になにを承継するかのお話の、やはり選別バイアスこそ問題であろうかと思います。

投稿: kohchan | 2016年9月21日 (水) 19時59分

本ブログでは、悪意ある誹謗中傷等でない限り、原則としてそのまま公開しています。

限度を超えたコメントは公開しないというやり方で対応しています。

読んでも意味のよくわからないコメントも少なからずありますが、それをいちいち「交通整理」するつもりは特にありません。

投稿: hamachan | 2016年9月21日 (水) 21時06分

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