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日本型雇用と日本型大学の歪み@『POSSE』32号その他

9784906708314_200先日お知らせしておいた『POSSE』32号が届きました。特集は「絶望の国の不幸な奨学金」です。

http://www.npoposse.jp/magazine/no32.html

◆特集「絶望の国の不幸な奨学金」

「15分でわかる奨学金問題」本誌編集部

「憲法から考える奨学金と大学進学」木村草太(首都大学東京教授)

「支援による搾取」渋谷望(日本女子大学教授)

「経済的徴兵制と「奨学金」問題にどのように取り組むか」大内裕和(中京大学教授)×布施祐仁(ジャーナリスト)

「日本型雇用と日本型大学の歪み」濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構統括研究員)

「「行政改革」が葬り去った「奨学金制度」」岡村稔(日本学生支援機構労働組合書記長)

「選別主義を強化する? 給付型奨学金をめぐる議論の陥穽」佐藤滋(東北学院大学准教授)

「奨学金裁判から見えてきた実態」POSSE事務局

「教育費負担の困難とファイナンシャルプランナー」渡辺寛人(東京大学大学院修士課程在籍)

「新しい発想で社会運動を刷新せよ」宇都宮健児(弁護士)×渡辺寛人(ブラックバイトユニオン代表)

この中に私も寄稿しています。題して「日本型雇用と日本型大学の歪み」。若干他の論者と異なるスタンスから論じているところもあり、じっくり読み比べていただけると面白いと思います。

 本誌『POSSE』の今号の特集は奨学金問題です。また過去数号にわたって本誌はブラックバイト問題を特集してきました。この二つの問題は、今野晴貴さんや大内裕和さんの本によって近年大きく取り上げられてきたトピックですが、どちらも現代日本の大学や大学生の経済的社会的なありようと密接に関わっています。本稿では、さまざまな個別具体的な論点ではなく、そうした問題を引き起こしている社会システムとその変容に焦点を当てて、ややマクロ的な議論をしておきたいと思います。

1 日本型雇用システムと雇用政策の変転

2 日本型雇用適合的教育システムと教育政策の変転

3 日本型雇用の収縮に取り残される教育

4 職業訓練の視角からものごとを考え直す

・・・・・日本型雇用に基づく親負担主義に支えられていた幻想のアカデミズムは今やネオリベラリズムの冷たい風に晒されて、有利子奨学金とブラックバイトという形で学生たちを搾取することによってようやく生き延びようとしているようです。そのようなビジネスモデルがいつまで持続可能であるのか、そろそろ大学人たちも考え直した方がいい時期が来ているようです。

で、ですね。待望の(?)坂倉編集長のシン・ゴジラ論「「ゴジラ対日本人」の系譜」ですが、そこはさすがに労働問題雑誌のPOSSE、ここに着目します。

・・・だが、庵野監督の答えは違った。人類はゴジラに勝つ。それは大変地味に聞こえる「仕事を真面目にする人たちの力」によるものであった。・・・

とはいえ、「真面目に働く人たち」であれば無条件に信頼できるというわけではない。本作において坂倉さんが注目するのは、エヴァンゲリオンのテーマ曲が流れる中で活躍する巨大不明生物特設災害対策本部の面々です。曰く:

・・・では、このチームの意味するものはなんだろうか。それは「出世と関係ない」自律的に働ける人間たちの集団であるということだ。巨災対に集められたのは、劇中の表現を借りれば、「骨太」で「首を斜めに振らない」「出世に無縁なはぐれ者、一匹狼、変わり者、オタク、問題児、鼻つまみ者、厄介者、学会の異端児、そういった人間の集まり」だ。メンバーの一人、尾頭環境省課長補佐(市川実日子)は閣僚が集まる席でも臆することなく鋭い持論を述べ、反論する。

彼ら自身がもともと組織の中で出世を意識しないタイプの人間であるというだけではない。この枠組みでは発足早々、メンバーが何をしようと「人事査定とは関係ない」といちいち明言される。人事査定と切り離されるということは、やはり出世と無関係ということだ。査定に響くことを恐れて上司や組織に気を配り、自分が正しいと思う意見を言えず、社会正義に反する命令にも従わざるを得ない。そんな日本を象徴する労働規範の悪習を絶ちきって機能する集団・組織であるということが保障されているわけだ。・・・

というわけで、坂倉さんが本作のメッセージとして受け取ったのは、

・・・失敗や批判を恐れずに、自らの経験や能力、職業倫理に頼って思考し、仲間と議論し行動することができる自律的な職業人とその集団こそを、本作は「真面目に働く人」の核心として描いているのではないだろうか。このような職業倫理に基づく労働こそ、日本社会に広く求められるものであり、3・11の危機に対する本作の「回答」の根幹なのではないだろうか。

「真面目に働く」とはどういうことか。集団志向型の「真面目さ」と職務志向型の「真面目さ」という観点から論じていくと、それこそいっぱい議論のネタが芋づる式に出てきそうです。

ちなみに「編集長の部屋」でも、「公開初日深夜1時の最速上映で新宿IMAXに見に行きましたからね」云々とご託を並べています。

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