あのIMFが日本に賃上げを要求
いやいや、IMFといっても今はインダストリオールになったかつての国際金属労連じゃないですよ。
悪名高きインターナショナル・マネタリー・ファンド。
構造改革の名の下に賃金をむりやり引きずり下ろさせることを至上命題としてきた(はずの)あの国際通貨基金です。
そのマネタリーな方のIMFが、こともあろうに、日本に賃上げを求めようとしているという、ブルームバーグの記事。和文と英文両方あります。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-14/OBSADF6TTDS801(IMFが日本に求める急進的賃金戦略、70年代の米所得政策とは真逆)
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-08-14/imf-s-radical-wage-plan-for-japan-turns-nixon-policy-on-its-head(IMF Wants Japan to Boost Wages Using Nixon Strategy in Reverse )
・・・所得政策と呼ばれるこうした措置は、多くのエコノミストが嫌う賃金設定への政府の直接的介入の一種だ。しかし、IMFが今の日本に望むのは、1970年代に米国の指導者が行った給与や物価の上昇抑制を目指すものではなく、良心に訴え、税制優遇措置を講じ、最後の手段としてペナルティーもちらつかせて企業に大幅な賃上げを促し、物価上昇を後押しすることだ。
・・・It’s called an incomes policy -- and it involves the kind of direct government intervention in the setting of wages that many economists now abhor.
But rather than employing it to try to contain salary and price pressures -- as U.S. leaders did in the 1970s -- the IMF wants Japan to use moral suasion, tax breaks and, as a last resort, penalties to prod companies into granting bigger pay gains and thus promote higher inflation.
賃上げしない企業にはペナルティを科せ、と、IMFが言い出すというこのアリスのワンダーランド。
英文記事の後半部分は和文記事に載っていないので、最後近くのところをちょっと引用しておきます。
・・・The idea is “to shame highly profitable companies into giving more wage increases,” Everaert said.
If that doesn’t work, Japan could broaden and enlarge an existing tax incentive program related to pay, he said.
Blanchard, now a senior fellow at the Peterson Institute, said that a wage-focused strategy is preferable to the launch of helicopter money because it targets what’s ailing the country.
“Japan needs inflation, not an increase in aggregate demand,” he said.
・・・アイディアとしては、「とても儲かっている会社にもっと賃金を上げるように辱めることだ」とエフェラールトはいう。
もしそれでも効かなければ日本は賃金にかかわる既存の優遇税制をもっと拡大すべきだ、ともいう。
ブランシャールは、賃金に焦点を絞った戦略は、この国を苦しめているものをターゲットにしているので、ヘリコプターマネーなんかよりも望ましいという。
「日本に必要なのはインフレだ、総需要の拡大じゃない」と。
(追記)
下記 pyonpyonさんのコメントの指摘に従い、訳を訂正しました。
« ドイツ連銀、年金制度維持のため定年69歳引き上げを政府に提言 | トップページ | 小林美希『ルポ看護の質』 »
南欧やアイスランド等とのお達しとの違いは、日本政府には金はないけど大企業にはブタ積み余剰金はあるからそれを配れと・・・ヘリマネ使わなくてとりあえずそれやれよって・・・要は国家財政に脆弱性を持つ国への処方箋は財政健全化、IMFは不動です。インフレに持って行かないといつ発散するかわからん爆弾国債の恐怖は、でもインフレだけだと債務面しか貢献せず債権面はいよいよ萎縮しちゃうから、民間分配をせよ!とのお達しです。三面等価原則のどの部分に政策介入するかで、日本にはコレってことでしょう。南欧どころじゃないですものね、世界第3位の経済規模ですし、米国にとっちゃ中国と違ってお利口さんの債権者ですから、最後はワシントンが困っちゃう。
投稿: kohchan | 2016年8月16日 (火) 14時38分
今年3月に、ある業界誌に掲載された、IMF副専務理事だった篠原尚之氏のごく短い文章に「企業内部留保への課税」なんて言葉がhttp://www.camri.or.jp/annai/shoseki/gekkan/2016/pdf/201603-1.pdf
投稿: 500drachmas | 2016年8月17日 (水) 08時43分
ははあ、なるほどねえ。
フローですでに課税されストックにまでなんて二重課税だろ!とロックさんら個の財産権・所有権に都合よく親和する変なリベラルやリバタリアン(こっちは日本にはおりませんけど)には悪いけど、アイディアとしてそれを崩す方法論としては、ストックの保有時間(○○年計上の余剰金は○○年を経て同額までが滞留している場合には社会損失と考えその利息をのぞく単年度計上原資ベースに○○%の課税を。しかし年次計上利益(フロー)課税を逓減することで旺盛な企業投資意欲を税会計制度側からプッシュする、なんてことにでもすればですねえ。資産への考え方ですよね。いずれにしろ市場交換で得たものですから、利己でもあれば利他でもあるということを時間で整理し直したらどうかなあと。その点ではピケティ本は確かに非現実的ですもんね。それと中小企業優遇も大企業との取引価格交渉力を法にてその非対称性を取り除けるならばなるべく優遇税制なんて政治的悪法はやめて競争社会がニュートラルになるアイディアを政治は競ってほしいですね。でもそもそもキリスト文化を無謬的に出発点とすることがいろいろな弊害を生んでいるのでしょう。
以前にコメントで使用しましたが、IMFのワシントン仲間、前FRB議長のベンちゃんが「戦火の塹壕の中では無神論者はいなくなり、経済危機に際しては教条主義者はいなくなることを学んだ」と。さすがベン!ちなみにその前の金本位制主義者でランドファンで知られるリバタリアンのグリンスパンちゃんは講演料を「よかったら金でお願いします」といっているやらいないやら(笑)。貨幣経済の脆弱制を知っているんですねえ。そこにいきますと師ジャネット・イエレン先生はエラい。
投稿: kohchan | 2016年8月17日 (水) 11時08分
>ブランシャールは、賃金に焦点を絞った戦略は、病んでいる国をターゲットにするヘリコプターマネーなんかよりも望ましいという。
この部分は英文記事中の
Blanchard, now a senior fellow at the Peterson Institute, said that a wage-focused strategy is preferable to the launch of helicopter money because it targets what’s ailing the country
に対応していると思いますが、解釈間違いがあります。最後の"because it targets what’s ailing the country"は「それ[=賃金に焦点を当てた戦略]はこの国を苦しめているものをターゲットにしているので」という意味です。
投稿: pyonpyon | 2016年8月17日 (水) 20時32分
>「とても儲かっている会社にもっと賃金を上げるように辱めることだ」
>「日本に必要なのはインフレだ、総需要の拡大じゃない」
儲けた企業が儲けで賃金を上げても(製品価格は上げなくてよいので、直接には)インフレにならないと思います。それよりも儲かっていない企業でも賃金を上げた分を製品価格に転嫁できるようにすれば、賃金も上がるしインフレにもなって一石二鳥だと思います(オイルショック時の物価上昇とその後の賃金上昇によるインフレへの対策の大騒ぎを考えると隔世の感がありますが)。
消費税引き上げの際に中小企業が消費税分を転嫁できるように色々と仕組みを作ったと思いますが、最低賃金を大幅(200円程度)に引き上げその分を転嫁できるように同様の仕組みを作れば低所得層への支援にもなると思います。
投稿: Alberich | 2016年8月19日 (金) 00時39分
IMFが要求する日本の構造改革
アベノミクスは、デフレからの脱却を目指して経済対策を繰り出してきたが、デフレからの脱却を果たせないでいる。
さらなる金融緩和政策あるいは財政政策の深化が期待される中で、IMFは過激ともいえる賃金上昇政策を提言している。
IMFの提言は、日本がヘリコプターマネー政策に走ることへの警戒、あるいは円安誘導政策に走ることへの警戒を表明したものともいえる。(筆者は、さらなる金融緩和政策あるいは財政政策の余地もあると考えるが)
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内部留保は2通りの言い方がされ、議論の混乱がある。整理をしよう。一つはフローとしての内部留保(フロー)で、もう一つはストックとしての内部留保(ストック)である。
法人企業統計において、内部留保(フロー)は当期純利益から配当金(株主配当金、経営者の報酬)を除いた額として定義されている。平成26年度の全産業(金融・保険を含む)の内部留保は28.6兆円であり、このうち金融・保険業の内部留保は4.2兆円である。
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報道などによる「2014年度末時点で企業全体の内部留保は354兆円である」は、内部留保(ストック)の意味で使われている。内部留保(ストック)は、企業の金融資産の一部をなし、法人企業統計の利益剰余金に相当する。
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内部留保の擁護者は、内部留保は企業の資産の一部なのだから、そこから「内部留保を賃上げに回せ」という議論はおかしいという。
しかし、内部留保(フロー)の蓄積が内部留保(ストック)であり、内部留保(フロー)は賃金や配当も払ったあとの余ったお金なのだから賃上げに回すことは可能である。まして、内部留保(ストック)がたっぷりあるのだから、年度毎の業績の変動にかかわらず賃金を平滑化する意味で内部留保(ストック)を使うことにおかしなことはない。
また、「内部留保は海外投資やM&A」に使われている(・・だから有効活用されている)という議論もある。しかし、この議論もおかしい。企業の資産の一部として、海外投資やM&Aがカウントされ、それとは別に354兆円の利益剰余金(内部留保)がある。「内部留保は運転資金として必要である」という議論もあるが、そんなに多額の運転資金は必要ではない。
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「内部留保は株主のお金である」という議論がある。確かに、内部留保は余ったお金であるのだから、経営者の判断で自由に使えるお金ではない。その運用については、株主に相談をする必要がある。
ただし、企業のステークホルダーは株主だけではなく、従業員、顧客、取引先・・・を含むものだとすると、内部留保は本来マルチステークホルダーに帰属するものである。
内部留保をすべて賃金や株主、あるいはマルチステークホルダーに還元しろと要求するものではないが、程度の問題であろう。
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日本の内部留保を、米国およびフランスと比べる。
SNA(国民経済計算)のデータで内部留保を比べる。法人企業統計の内部留保(フロー)とSNAの純貸出(+)/純借入(-)は概念的にほぼ対応する。平成26年度末における非金融法人企業の純貸出(+)/純借入(-)は24.3兆円であり、金融法人企業の純貸出(+)/純借入(-)は3.0兆円である。ほぼ、法人企業統計のデータと一致する。
GDP比で日本、フランス、米国の純貸出(+)/純借入(-)を比べる。
非金融法人企業:日本(5.0%)、フランス(-2.4%)、米国(-0.1%)
金融法人企業:日本(0.6%)、フランス(0.2%)、米国(1.6%)
フランスと米国では非金融法人企業の内部留保(フロー)マイナスである。国際標準では内部留保は使いきる、足りない資金は外から調達すればよいという考え方である。
日本においても、内部留保27.3兆円を使えば、デフレから脱却ができる。平成26年度の国の税収54兆円の約半分に相当する。
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次にGDP比で日本、フランス、米国の利益余剰金を比べる。
SNAで定める貸借対照表(バランスシート)において、金融資産および金融負債は、現金・預金、貸出・借入、株式以外の債券(国債等)、株式・出資金、金融派生商品、保険・年金準備金、その他金融資産・負債からなる。
企業の金融資産のうち、現金・預金、貸出、株式以外の債券は利益余剰金に近い資産であり、これらの合算をSNAにおける利益余剰金として、法人企業統計における内部留保(ストック)と対応させて考える(乱暴な議論ではあるが)。
実際、このようにして算出した2014年末の利益余剰金は336兆円であり、法人企業統計における利益余剰金=内部留保(ストック)354兆円と近い値である。また、2000年~2014年にかけての時系列で比べても両者はパラレルである。
これで、利益余剰金の国際比較ができる。非金融企業部門の利益余剰金をGDP比で、あるいは非金融部門の金融資産に対する割合で比較する。
2012年における非金融部門の利益余剰金(GDP比):
日本(65%)、フランス(8%)、米国(13%)であり、
2012年における非金融部門の利益余剰金(金融資産に対する割合):
日本(34%)、フランス(24%)、米国(11%)である。
日本における非金融部門の利益余剰金が極めて大きいことがわかる。すなわち、GDPの65%相当が利益余剰金として蓄積(累計で)されていることになる。これにプラスして、海外投資やM&Aで海外に資産を持つ。海外投資はGDPの増加には寄与しない。これでは、国内で循環するお金の量は減るはずである。
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IMFは日本における構造改革の必要性を唱えているが、正に企業の内部留保にこそ構造改革のメスを入れなければならない。
「政府は企業の経営に口出しするな」、「日本は企業経営を政府や日銀の指令で縛る統制経済ではない」・・・・・の大合唱が聞こえてきそうである。でも、市場経済を企業経営者に任せておいて構造改革ができるとでもいうのか。
政府こそ、構造改革の音頭をとって断行していかなければならない。
投稿: hiro | 2016年8月19日 (金) 23時34分
hiroさんのコメントは参考になります。
やっぱり問題は生産セクターの脆弱化、つまり出ていくべきところには出て行っているわけで、組織体問題よりも技術革新力の低下=設備投資よりも研究投資をコスト化してしまって怠ってきたツケかもしれませんし、それが最近のデュアルユースの勃興を政府が後押しする政策に表れているのかもしれません。それが科学(大学研究費の選択と集中)経済徴兵制なる興味深い言葉の起源でもあるのでしょう。
おしりに火が付いたようで、賛否はあれど本気度は見え始めてますよね。
投稿: kohchan | 2016年8月20日 (土) 06時48分
内部留保の国際比較
前回、内部留保(フロー)を日米仏で比較したが、さらに英独を加える
2014年末の内部留保(フロー)をSNAの純貸出(+)/純借入(-)で比較する。
非金融法人企業の内部留保(GDP比):
日(5.0)、米(-0.1)、仏(-2.4)、独(3.0)、英(1.9)
金融機関の内部留保(GDP比):
日(0.6)、米(1.6)、仏(0.1)、独(-0.2)、英(-1.0)
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SNAのバランスシートにおいて、企業の金融資産のうち、現金・預金、貸出、株式以外の債券の合算で利益余剰金=内部留保(ストック)の比較をする。
非金融法人企業の利益余剰(GDP比、2012年末):
日(65)、米(13)、仏(8)、独(34)、英(51)
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前回のコメントでSNAの純貸出(+)/純借入(-)が内部留保(フロー)に対応することを述べたが、制度部門ごとの純貸出(+)/純借入(-)のGDP比を2014年末における日米仏独英のデータで比較する。
日:企業(5.61)、政府(-6.18)、家計(1.17)、海外(-0.50)
米:企業(1.54)、政府(-4.92)、家計(2.29)、海外(2.41)
仏:企業(-2.49)、政府(-3.36)、家計(3.22)、海外(3.24)
独:企業(2.83)、政府(0.29)、家計(4.70)、海外(-7.81)
英:企業(0.88)、政府(-5.58)、家計(0.02)、海外(4.69)
純貸出(+)/純借入(-)は各部門の資金過不足をあらわす。海外部門の資金過不足は、海外からみた日本の資金過不足を表し、符号を反転したものは日本からみた海外の資金過不足を表す。日本とドイツは海外の資金過不足がマイナスであるが、日本およびドイツは海外部門の収支がプラスである。特にドイツの海外部門の収支は大きい。
政府部門の資金過不足は財政収支を表す。周知のように、日本政府の財政赤字は最悪である。ドイツの財政収支は黒字である。
企業部門の資金過不足(フローの内部留保)を比べると、日本企業の内部留保は飛びぬけて高い。この統計では、非金融法人部門と金融部門を合わせて企業部門としているが、フランスと米国の非金融法人部門の内部留保はマイナスである。家計の資金余剰を企業が調達し、企業が稼ぐという姿が自然である。家計は資金余剰部門(資金過不足がプラス)、企業は資金の不足部門(資金過不足がマイナス)である。実際、海外の収支=0、政府の収支=0の場合、次の等式が成り立つ。
家計の資金過不足+企業の資金過不足=0
家計部門の資金余剰を比べると、日本の家計は英国についで小さい。日本では、「家計がお金を使わないで貯め込んでいる」とよくいわれるが、日本の家計はお金を貯め込むほどの余裕はないことを示す。「企業の資金余剰>家計の資金余剰」が際立っている特殊な国は、日本だけである。
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日本企業の内部留保(フロー)が際立っていることは明らかである。日本企業の内部留保について、これを擁護する意見がマスコミ、経済界、学者の間で圧倒的である。(これを問題にするのは2chぐらいかもしれない。)
内部留保の代表的な擁護論を紹介しよう。
1.「日本企業は内部留保の1.6倍も設備投資をしている」
法人企業統計では40兆円の設備投資をしているとしているが、減価償却を含めた額である。ほとんどが原価償却であり、新規の設備投資額はわずかである。
2.「内部留保は現金ではない」
世間は企業が内部留保354兆円を現金で貯蓄していると誤解しているのではないか、と勘繰っているが、誰もそんなふうに思っていない。内部留保(ストック)の問題よりも、内部留保(フロー)が多額なのが問題なのである。
3.「内部留保は資金の調達方法である」
確かに内部留保(フロー)はストックに回り、資金の調達に使われる。ただし、外部から資金を調達しこれを投資に使うのが自然な姿である。内部留保(フロー)がストックに蓄積され、そこから資金調達することもあるだろう。しかし、内部留保(フロー)の多寡による。国際比較においても、日本の内部留保(フロー)の大きさは際立っている。
4.「内部留保を取り崩して賃上げに使うのはもってのほかである。」
内部留保(ストック)を取り崩して賃上げに使えとはいっていない。内部留保(フロー)が余るならば、その分を賃上げに使ってもよいのではないかということである。
5.「不測の事態に備えて、内部留保を蓄積しておく」
その主張に誤りはないが、程度の問題である。国際比較によると、日本企業の内部留保は際立って大きい。日本だけが企業の内部留保を必要とする特殊な状況にあるとは思えない。
6.「企業は海外投資を積極的に行っている」
企業は内部留保(フロー)を蓄積し、それを原資の一部に加えて海外投資を行っている。ただ、海外投資は企業の利益になるかもしれないが、利益が国民に還元されるわけではない。海外で得た利益に対して日本で税金を徴収できるわけでもない。また、GDP(国内総生産)の増加につながるわけでもない。むしろ、海外に工場を作って生産拠点を移せば、国内の雇用は失われる。
7.「利益を見込めないところに企業は設備投資をしない。」
この擁護論はもっともである。日本の人口は減っている。経済成長はストップしたままである。このような日本に投資はできない・・・もっともである。しかし、すべての企業経営者が同じような考え方をしたとすると、デフレからの脱却はかなわない。
ミクロ(経営者目線)での最適が、マクロ(日本経済)での最適にはならない。合成の誤謬である。マクロ(日本経済)での最適を求めるためには、マクロからの政策が必要である。ミクロの最適を求めて、全体(マクロ)が沈没すれば元も子もないだろう。
ミクロ(経営者目線)にまかせたままでは構造改革はできないわけで、そこに政府の介入余地がある。
先の国際比較で示したように、日本経済の資源の分配は歪んでいる。財政によるのか、税制のよるのか、コーポレートガバナンスによるのか、政府は構造改革を断行し、家計にお金を回し、家計を豊かにすることで、経済成長(マクロ)を実現する必要がある。
経済が成長すれば、デフレ脱却も視界に入り、円安、企業業績の向上、賃金上昇のスパイラルも見えてくる。
8.「国際競争力を高めるためには、経済環境のイコールフィッティングが必要」
経団連は、国際競争力を高めるためには、経済環境のイコールフィッティングが必要であると主張している。具体的には、法人実効税率の引き下げ、規制改革、労働規制の緩和、・・・を上げている。
これで、国内の設備投資は3年間で10兆円増えるとしている。しかし、従来の生産サイドの構造改革路線をさらに促進しようという提言である。
企業の競争力強化にリソースを集中してきた結果が、国際比較で示した日本企業の内部留保である。企業が儲けても、それが経済の好循環につながらないということが失われた20年の経験である。小泉・竹中路線の構造改革路線から、IMFが提唱する構造改革路線にスイッチしなければならない。
投稿: hiro | 2016年8月24日 (水) 16時23分
も
うバカをみるでけで辞めようと想いながら。
1.の減価償却の見立ては正しい。
2.のストックとフローの時間軸の違いも正しいし、会計学の問題であるから正しい。
3.は正に日本企業の本音を語っている。
4.はまさに3面等価原則
5.はその通り。が、金融グローバル化した今日、日銀は”時”に備える部分預金制度の強化を図った。
6.経常収支黒字は会計上の物語であり内経済には関係ないので正しい。
7.人口減少とはいえ、それも年1%程度の大消費国家であるので、内経済でそのトレンドは何かを考えると答えは出るので正しい。
8.これこそ反省なき国民性の指摘であり正しい。
hiroさん、つい私の表記の正否は別にして反応しました。
楽しいね、こういうの。イライラしてるから。
投稿: kohchan | 2016年8月24日 (水) 18時28分
長期的な経済の停滞
日銀は政策決定会合で新たな金融緩和の枠組みを決めた。量の緩和から金利目標に重点を置く新たな金融緩和の枠組みである。
2年で2%の物価上昇という短期の目標から、達成するまで金融緩和を続けるという持久戦に備えての方向転換である。
金融緩和政策だけでは限界があり、財政政策および成長戦略の合わせ技が必要であるということを再確認したということである。
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一方、米国ではFRBが9月の追加緩和を見送った。雇用も安定的に推移する中で、当初は年4回の追加利上げを見込んでいたが、これまでの3回は空振りに終わり、年末の追加緩和も実施できるのかどうかも危ぶまれている。
米国をはじめとする先進国において、異例の金融緩和政策を実施してきたにもかかわらず、経済成長は低位にとどまっている。インフレ率は伸び悩み、実質金利(名目金利-予想インフレ率)はゼロを下回っている。
米国のサマーズ元財務長官は長期停滞論を唱え、長く続く低成長・低インフレから回復するためには時間がかかるのではないかと指摘している。
サマーズは金融危機以降、需給ギャップ(名目)は10%近くまで広がったが、未だに4.5%もあると指摘している。また、米国の中立金利(実質均衡金利)がマイナス2~3%くらいにあり、実質金利を中立金利以下に下げることは難しい。
サマーズの長期停滞論によると、世界経済は投資より貯蓄が好まれ、慢性的な貯蓄過剰にあるという。貯蓄過剰は中立金利を押し下げ、需給ギャップのマイナスは経済成長を妨げる。
サマーズは、長期にわたる経済の停滞は、需要側に問題があるとし、需要を創出する政策すなわち財政支出拡大や輸出促進策を提言している。
「元米国財務長官ラリー・サマーズ氏が長期停滞論とは何かを語る」
http://www.globalmacroresearch.org/jp/archives/2489
サマーズの長期停滞論-世界的な貯蓄と投資の不均衡とその影響-
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/research/r140901us.pdf
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OECDの統計より、我が国の需給ギャップ(実質)および潜在成長率を時系列で米国と比較した。グラフでは表示できないので1990年、2000年、2014年における潜在成長率および需給ギャップを日米で比較する(Economic Outlook 2016)。
需給ギャップ=(実質GDP-潜在GDP)÷潜在GDP(%表示)
(日本)
潜在成長率:(1990) 3.70%、(2000) 1.20% 、(2014) 0.35%
需給ギャップ:(1990) 6.13%、(2000) -3.75% 、(2014)-0.55%
(米国)
潜在成長率:(1990) 3.40%、(2000) 3.30% 、(2014) 1.68%
需給ギャップ:(1990)-0.05%、(2000) 2.38% 、(2014)-2.78%
日本では、1990年代初頭にバブルが崩壊し、潜在成長率が急激に低下した。日米の潜在成長率は1990年初頭には差がなかったものの、2000年には2%以上の差がつき、2015年においてもその差はほとんど縮まっていない。
2000年代以降、日米両国の潜在成長率は低下し続け、とりわけ金融危機後の2009年には大きく下落している。
米国の潜在GDPは、1990~2014年の間ほぼ直線的に成長しているのに対して、日本の潜在GDPは上から押さえつけられるように下に弧を描きながら成長している。金融危機後、両国の実質GDPは大きく落ち込んだが、その後の回復は緩慢で2014年の米国の需給ギャップが-2.78%(実質)と大きく残っているのに対して、日本の需給ギャップが-0.55%まで回復しているのは、日本の潜在GDPは上から押さえつけられているからである。
1990年代、日本の潜在成長率が大きく落ち込んだのはバブルの崩壊で、資産価格が暴落し、3つの過剰(企業の過剰投資、過剰債務、過剰雇用)を抱えたためである。このため、資本投入、労働投入、およびTFP(全要素生産性)のすべてが減少し、潜在成長率の低下につながった。
投資は抑制され、企業の利益は負債の返済あるいは貯蓄に向かった。また、企業は従業員を削減し、非正規雇用を増やして人件費を抑制した。このような企業行動は、民間経済を縮小し、景気を下支えする政府の財政赤字を増加させた。
2000年代の前半、3つの過剰は解消され、新興国経済の成長もあって、日本経済は持ち直しの兆しを見せたが、金融危機をはさんで、投資の抑制、超過貯蓄、人件費の抑制は続いている。
国内経済の低迷は、デフレ(あるいはディスインフレ)を持続させ、円高を進行させた。円高の進行は、企業の余剰資金を海外投資に向かわせた。成長が期待できない国内市場よりも、成長が期待できる海外への投資に向かわせたのである。
アベノミクスによる金融緩和で円安になり、企業は利潤を大幅に増やしたが、従業員の賃上げは微増に留まる。企業は余剰資金を、内部留保あるいは海外投資に振り向けた。
デフレから脱却するために求められているのは、企業の余剰資金を国内投資にあるいは人件費の上昇に向けることである。
投稿: hiro | 2016年9月29日 (木) 23時57分
kohchan さんの最初のコメントに納得しました。
なるほどなーIMFが本格的に、再分配の程度について特定の価値観を押し付けたわけではないんだな。
確かに、どのような再分配制度もデメリットがある。「年収低いので税金下さい」では納得されない(私も受け入れがたい)ので、最低賃金増を行うのが良いと思います。
「賃金ではなくベーカムか生保で生活保障して、最賃は廃止(OR緩和)しろ」と規制緩和改革派では言う人が多いですが、生保の基準緩和やベーカムは世論的にもインセンティブ保持の政策としても非現実的なので、雇用でやるしかない。
機会均等のため、起業や参入については身分や経営体への規制を大幅緩和・撤廃すべきと考えますが、雇用についての規制緩和論は雑なものが多い。
投稿: 阿波 | 2016年9月30日 (金) 09時26分
潜在成長率の低下=生産側にこそ問題山積なのですが、企業も外需モデルと内需モデル双方はマクロ経済上では機会費用関係みたいなもので、十把一絡げに内部留保を吐き出せ~は最早人の懐をのぞき込みその分配奪取勝ちどきゲームに生き残りをかける与野党揃い踏み翼賛的政治寓話です。できれば魅力的ですけど、株主訴訟なる後門の虎がお待ちですし、内投資は限られたセクターだけでしょう。
設備投資も異様に過剰であったものを地道に更新しているのがおおかたでしょうし、人口減少社会に向けては付加価値上昇が名目GDPを伸ばすのではなく、今程度に定常させるマクロ評価(国)からミクロ評価(一人)でみる時代になるのでしょうねえ。投資へといわゆるネガティヴ・レート(マイナス金利)も効きそうで、しかし所詮はチェーン化された世界経済の流動的諸変数をコントロールできないのですから、閉じた経済にする(できるわけはありませんが)しかないとなりましょうか。
トッドのエントリが最近ありましたが、彼のユーロ批判も根底には上記いたしました社会学的見地からも経済問題同様のディレンマを指摘しているように見受けられます。
これだけ国家を越えて資本が瞬時に移動可能な技術社会となっては、フィンテックとブロック・チェーン技術による「新しい統一された貨幣制度と各国セントラルバンクのリンケージ化」が解に一番近いように(オランダ、北欧はその準備段階のようですが)思われますが、個人資産を丸裸にされてしまう金融リヴァイアサン社会を結果善とするのか、批判はあれど現在の貨幣発行権を維持し、流動性の罠だろうがなんだろうが、最終手段である貨幣を握る限り個人で資産を守ることができるアナログを手放さないかということにつきるように思われます。日本だけは未だに企業、家計ともども現金主義(会計制度の話ではあらずです)ですもの。一番賢いのか、政府を信用していないのか判断は分かれるでしょうが事実ですからねえ。
むろん、それも突破される手口は史実でもアイディア満載で、結論としては、我々が賢く与えられたものは、お戻しすることでしか社会を紡ぐことは不可能であろうと思います。
トッドの警鐘の起源も彼の経歴からしてここにあるのかもしれませんねえ。
「ドイツ銀行大丈夫?危ないでしょ?
そこが発火したら南欧はペシャンコでいよいよきな臭くなるじゃないですか。だからユーロ・リンクはムリだって」と言いたいのかなあ。
投稿: kohchan | 2016年9月30日 (金) 12時05分
賃上げ実現の機運に期待
IMFはさらに踏み込んで、日本に対して賃上げを実現するよう提案してきた。
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国際通貨基金(IMF)は28日まとめた経済政策提言で、日本に継続的な賃金引き上げを促す官民ガイドラインの導入を求めた。日本の低インフレ・低成長は賃金の伸び悩みが一因と指摘し、全体的に賃金水準を押し上げる必要があるとした。財政悪化にも懸念を示し、段階的な消費税の増税も促した。
「日本は賃上げ指標導入を」IMF提言 段階的な消費増税も
日経新聞 9月30日
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM29H1X_Z20C16A9EAF000/
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これに呼応するかのように、経済財政諮問会議で賃上げ主導の物価上昇も提言された。経済財政諮問会議は、「賃上げ主導」で2%の物価目標を実現すべきと提言した。
金融政策だけではなく、積極的な賃上げで物価上昇を促す構図について、「レジームの転換か」と記者会見で問われた石原伸晃経済再生担当相は「民間議員(有識者)の発言だが、私も強くそう感じた」と語った。
日銀総括検証「有意義」 諮問会議、賃上げ主導の物価上昇も提言
東京 30日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/idJPL3N1C63MD?il=0
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デフレからの脱却を目指して、賃上げ実現の機運に期待したい。
投稿: hiro | 2016年10月 1日 (土) 00時07分
追記。
先のコメントにてフィンテック等の箇所でオランダを取り上げましたが、ただしくはデンマークでごさいます。ひっかりが半日以上過ぎてしか解決できない己に「どうしたもんじゃろのう」と問い、最近読んでご紹介もした「バカ田大学」で教えたほうがいいんじゃない!と家族からご指導いただき、ブチ切れました(笑)。
投稿: kohchan | 2016年10月 1日 (土) 08時13分
アベノミクス第二ステージ
安部首相は所信表明でアベノミクスを加速して、デフレからの脱却を目指す考えを表明した。アベノミクスの最新版では、その経済政策に関して、賃金と生産性を向上させるための労働市場改革、一億層活躍社会の実現を通して成長と分配の好循環目指すとしている。
非正規雇用者の格差是正、同一労働同一賃金を打ち出し、低所得者の賃金水準の底上げを狙っている。また、中小企業の下請け取引条件の改善に取り組むとしている点も注目される。
一方、経済界からは働き方改革の一環として打ち出された「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金」に対して警戒する意見もある。9月28日付の日経新聞は、次のように論じている。
「人口減の日本が成長を続けるには、低迷する潜在成長率や生産性の底上げが欠かせない。労働時間の長さではなく成果に賃金を払う脱時間給制度・・・解雇規制の緩和・・・こうした雇用改革は避けて通れない。だが国会審議や政府内の議論が停滞し、実現のメドは見えないままだ。」
経済界の代表的な見方である。20数年間繰り返されてきたお馴染みの議論である。
潜在成長率や生産性の底上げが欠かせないのは、先にデータで示したように事実である。一方、企業の内部留保は28.6兆円(平成26年度、企業法人統計)に達し、その年の一般会計税収54.0兆円(決算)の53%にする。
平成26年度のGDPの成長率は実質で▲0.55%(Economic Outlook 2016)に留まっている。潜在成長率あるいはGDPの成長率が低いにもかかわらず、企業は利潤を順調に伸ばし、当期純利益で8.9%(平成26年度、企業法人統計)も増やしている。経済成長の停滞する中で企業の内部留保が増加しているのが日本経済の特徴である。
利潤の成長とGDPの成長に乖離があるのは、利潤が内部留保として停滞し新たな経済成長に生かされていないことを示している。
中小企業白書(2016年版)は、大企業と中小企業、もしくは産業間で生産性に格差があることを指摘している。中小企業白書(第一部第3章)で、大企業と中小企業の生産性を業種ごとに国際比較している。
2013年の大企業製造業の労働生産性が60$/人・時間(購買力平価換算)であるのに対して、中小製造業の労働生産性は24.6$/人・時間に留まっている。国際比較で、日本と英国、フランス、ドイツの大企業と中小企業の労働生産性を比べている。日本の大企業製造業の生産性は、他国を大きく引き離してトップであるのに対して、日本の中小製造業は他国から大きく離されて最下位にある。
他の産業についても同様の比較をしているが、日本の中小企業は産業の如何にかかわらず労働生産性は25$/人・時間くらいにある。大企業については、製造業および運輸・情報通信業の労働生産性は他国を大きく引き離している。一方、中小卸売り・小売り業、中小運輸・情報通信業では最下位にある。日本では、産業の如何にかかわらず大企業と中小企業の生産性の落差が大きい。
特に大企業の運輸・情報通信業の労働生産性は75$/人・時間であるのに対して、中小企業では23.4$/人・時間に留まっている。製造業および運輸・情報通信業では、大企業の下請けで働くことが多く、中小企業と大企業の関係は一方的で、価格交渉の余地がないことを示す。非正規社員の賃金が低いのと同根の問題があるように思われる。
大企業と中小企業の分類の基準は、産業によって異なるが、製造業では資本金が3億円以上かつ従業員数が300人以上の企業を大企業と分類する。大企業の数は1万1千社くらいであるが、個人企業を除く中小企業の数は380万社ある。従業員数で比較すると、約3割が大企業で働き、残りの7割は中小企業あるいは個人企業で働いている。
日本の潜在成長率あるいは生産性が低い理由として、労働人口が減っている、設備投資が少ないということもあるが、働く人の7割を占める中小零細企業の生産性が低いままであることが潜在成長率の向上を阻害しているといえる。
アベノミクスが、正社員と非正規社員の格差および大企業と中小企業の生産性の格差是正の方向に言及したことを評価する。しかし、経団連をはじめとする経済界はこのような動きに対して警戒をしている。
アベノミクスは「時間ではなく成果で」という労働時間規制改革から、「長時間残業を減らそう」という働き方改革へと、「国際競争力の強化」から「成長と分配の好循環」へと微妙にシフトしている。このようなシフトに対して、経済界は警戒をしている。
しかし、あのIMFが日本企業の手元資金が過剰、賃金が低すぎると警告している。IMFは「日本は被雇用者に対して雇用主の力が強くなり過ぎた」と述べ、労働者の賃金交渉能力が弱くなり過ぎたことを懸念している」と述べている。
「日本企業は手元資金が過剰、賃金は低すぎる-エフェラールト氏」
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-09-28/OE7V1B6KLVRU01
日本の場合、経済政策の策定にあたって、大企業の利益を代表する経済界の影響が著しく強いため、大企業に対して有利な裁定がなされる。労働者にとって、あるいは中小企業にとって大企業と交渉する代弁者がいないのである。強者と弱者の間で情報の非対称性が存在するため、市場原理による均衡のとれた裁定がなされないのである。
この不均衡こそ、経済的資源の効率的な配分を妨げ、消費市場の拡大を妨げ、潜在成長率が低迷する要因になる。正社員と非正規社員の賃金格差は一人あたり賃金の上昇を妨げ、大企業と中小企業の生産性の格差は日本全体の生産性の上昇を妨げる。
日本の長きにわたるデフレ(定義はいろいろあろうが)の原因として、格差の存在、そして格差の結果として発生する資金の余剰にあることを認識する必要がある。
投稿: hiro | 2016年10月 3日 (月) 10時43分
技術革新は資金と労働の余剰をもたらした
武者陵司氏は、技術革新は生産性を向上させ、その結果より少ない労働投入と資本投入で生産できるようになり、そのことで資金と労働の余剰が生じたと論じている。
武者陵司、「超過利潤時代の中央銀行の挑戦、マイナス金利の導入」
http://www.camri.or.jp/annai/shoseki/gekkan/2016/pdf/201603-8.pdf
世界中の中央銀行が前代未聞の金融緩和を推し進めている。それにもかかわらず、企業の利潤率は高まる一方で、利潤率と金利の乖離が広がっている。利潤率と金利の乖離は、資本と労働の余剰を助長し、デフレの危機を強めてしまう。
企業における労働と資本の生産性の顕著な向上が、労働と資本の余剰をもたらした。余剰資本がバブルの形成を助長することなく、持続性のある需要分野へと誘導する政策が望まれる。
金融緩和を維持しつつ、更なる財政政策や税制改正、所得分配是正などで需要を創造し、成長力を引上げる必要があると説いている。サマーズやクルーグマンの議論を引用しつつ、新たなケインズ政策を提言している。
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筆者のコメント
「技術的な革新が生産性を向上し、それが資本と労働の余剰を生んだ」という論点はユニークである。技術革新の不足が労働生産性の上昇を阻んでいるというのが、一般的な論説であるが、武者氏は逆のことを言っている。
確かに大企業は、ITや通信技術の飛躍的な発展のおかげで少ない資本投入および少ない労働投入で生産性を上げることができるようになった。
また、グローバル化で新興国に生産移管をすることで、資本投入および労働投入を抑えて生産性を上げることができるようになった。
一方、中小企業の生産性は低いままである。その結果、利潤率の増加と経済の成長率の間に乖離が生じた。
大企業は利益を伸ばし、資本と労働の余剰を生んだ。資本の余剰は内部留保の蓄積を促し、資金需要の低下は金利を低下させた。
また、労働の余剰は、非正規社員を増やし、賃金の上昇を抑制した。雇用者数は増えているが、低賃金で労働時間の短い非正規雇用が増えている。
ここで問題になるのは、技術革新およびグローバル化の恩恵に浴する企業は一部であるということである。技術革新およびグローバル化から取り残された企業との格差が広がった。
分かりやすい事例でいうなら、トヨタは16兆円の利益剰余金を持つ一方、介護従事者の低賃金が問題になっている。
望まれる政策は、大企業の内部留保を賃上げ、特に低所得者の所得の底上げに誘導する政策である。
内部留保を設備投資に活用しろという声もあるが、消費水準が低いところで無理な設備投資はできない。むしろ、賃上げを優先して消費水準を引き上げて行くことが望まれる。
投稿: hiro | 2016年10月 6日 (木) 14時54分
hiroさんの最後のフレーズはマクロではそうですよね。
とはいえ、サマーズも1900初頭でしかた?ハンセンの肩
に乗っかってるかをどれくらいの方がご認識されておられるのかがまずは怖いですよ。また、そうですねえ、とは供給セクター実状からして、はたして需要は創造できるのでしょうか?と疑問に思い、その需要とは何=誰が?なのかが日本のこうした議論(このブログだけでしたらよいのですが)の定義の曖昧さとそれを理解できない風のような白熱さを多数が知らなければ、いつかきた道、に通ずる余計なと非難されるでありましょうが危惧を禁じ得ません。
余剰資金は確かにあれど、誰に、どのような目的で、それは不完備契約を超えて社会のあらゆるステー久ホルダーを対象にするのか、いやそれは限定権益のステー久ホルダー
内でのお話なのかで、その帰結はいずれかに顔を換えた創造物となると思われ、それは誰を幸せにするのかの現状認識上の違いでしかないのではと感じます。
なぜ、日本がこれだけ頑張っていて、その果実が今はなく指示される永遠にあるような役割をまともに受け入れる必然があるのでしょう?
資本主義と民主主義が表裏一体として分権と集約のデュアル・ユース拡張が命題であるとすれば、グローバル化した体制にとっては、まさに日本は使い回しのよい役を割り当てられているのかとも思わずにはいられません。
機会均等を事後によって調整してきた雇用・社会制度を否定するのであればそれはそれでよし。その後のハレーションをそれで生活する各セクターに明示し説得できる政治条件=わたしたち、が備わっている=持っている、かどうかが分岐点であろうということは、2009年以降3年半ほどで、その素養はないと感性で大衆判断は現時点で解を得たのであろうと思います。
善し悪しはまた別ですよ。
それでも暴力的な政治問題も顕在化されずに、消費を繰り返している=られる今日をどのように考えるのかこそ必要ではないでしょうか?
本ブログは諸課題にするどく切り込みむことを命題としておられますので、そうした性向に(はまちゃん先生を批判するコメントではありませんよ)まずはリテラシー力が問われるかと思います。とはいえ微細なお話で、バタフライ効果もないものと安心しております。
投稿: kohchan | 2016年10月 6日 (木) 18時38分
留保金課税
英国フィナンシャル・タイムズのチーフ・エコノミクス・コメンテーターを務めるマーティン・ウルフ氏は、世界的な長期停滞は特に企業の超過貯蓄によるところ大きいと論じている。本来、資金の借り手であるはずの企業が資金の貸し手に回り、企業の超過貯蓄を政府の財政赤字と家計の貯蓄減少が相殺している。
特に日本企業の超過貯蓄はGDPの8%にも達しているとし、日本が直面している長期のデフレを克服するためには、この問題に向き合うことなくして、本質的な議論にはならないとしている。
(注) 筆者は、前のコメントで2014年の企業の超過貯蓄を5.6%としたが、2013年は7.8%、2012年は8.0%である。
企業の投資が弱い理由として、社会の高齢化、グローバル化、および技術革新をあげている。技術革新およびグローバル化が資金余剰に繋がるという議論は、前回のコメントで紹介した武者氏の議論と同じである。技術革新あるいはグローバル化は、投資のコストおよび労働の投入を少なくてすむようにしたという議論である。その結果、資本の余剰および労働の余剰が発生している。
このように分析をした上で、超過貯蓄の対策として、留保利益に対する税率の引上げを投資および配当に対する税控除と併せて行うことを提案している。
Martin Wolf、「成長を阻害する企業の過剰貯蓄 - 高所得国は企業の留保利益への課税を強化すべきなのか?」、フィナンシャル・タイムズ
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45308
(原文)Martin Wolf, “Corporate surpluses are contributing to the saving glut”
http://www.ft.com/cms/s/0/b2df748e-8a3f-11e5-90de-f44762bf9896.html#axzz4LzAfsqA1
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内部留保は企業のあらゆる経費を差し引いて残った当期純利益から配当金(株主配当金、経営者の報酬)を引いて余った額である。内部留保の額が膨らんでいることから、留保金課税をしろという声が大きくなっている。しかし、留保金課税に対する経済界の反発は強い。
経団連の榊原会長は、大企業の内部留保に対して高まる批判に対して、次のように反論している。
「内部留保とは税金を支払ったあとの利益の剰余金であり、設備投資、研究開発投資、M&Aなどへの活用にも充てられ、すべてが現金の形で残っているわけではない。現金は当面の運転資金として1カ月半から2カ月程度の適正な範囲内に収まっており、決して過剰に積み上げられているわけではない。」
法人企業統計によると、2014年の利益余剰金が28.6兆円に対して、設備投資費は39.8兆円であるが37.6兆円が原価償却費である。新規の設備投資は僅か2.2兆円である。しかも、利益余剰金は設備投資費用を除いた後の額である。
海外投資あるいはM&Aは、金融資産(現金、貸出、株式、債券、・・・等)の姿を変えた投資である。研究開発投資はGDP(国内総生産)に寄与する投資であるが、海外投資はGDPに寄与する投資ではない。
「運転資金・・・」については、前にもコメントしたが、日本の利益余剰金336兆円は他国と比べて圧倒的に多い。IMFは日本企業の現金・預金の保有(2016年 4-6月)に242兆円に達しているとしている。日本企業だけが、これだけ多くの運転資金、あるいは将来不安に備えて内部留保を必要とする特殊な状況にあるとは思えない。
経団連の榊原会長の反論は事実を反映しているとはいえない。
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留保金課税に対する反対は強いが、反対する論拠として、2重課税の問題があるという。留保金課税は法人税を支払った後の内部留保にかかる税であり、法人税と留保金課税で2重課税になるという問題である。
ただ、個人が受け取る配当金に対しては課税される。また、子会社から受け取る配当についても資本金の比率によって受取配当金の益金不算入額を超える部分については課税される。配当金も企業が既に法人税を払った部分であり、配当金に対する課税も2重課税になる。我が国の税制が2重課税を否定しているわけではない。
米国では、留保金に対して課税する留保金課税(AET:Accumulated Earnings Tax)がある。純利益は法人税を支払った後の利益であり、そこから配当金が支払われ、配当金の受益者には課税される。純利益から配当金に回さないで内部留保した分については留保金課税(AET)が課される。
ただし、留保金課税(AET)は、内部留保が事業のために必要であると認められる場合に限り、回避することができる。この場合企業は「事業のための合理的必要性」を立証する必要がある。
AETは、配当金課税を回避するために行われる内部留保を防ぐための懲罰課税であるとともに、企業の過剰な内部留保を防ぐための懲罰課税である。
IRS(米国の国税庁)と企業の間で「事業のための合理的必要性」が問われる事例として、運転資金向けの留保金、事業計画向けの留保金、株式消却・減資のための留保金、等が挙げられる。企業に対して、なぜ内部留保が必要で、外部から資金を調達できたのではないのかと問われる。
米国の留保金課税制度については、次の資料を参照した。
石村耕治、「法人留保金課税制度の日米比較」
http://ci.nii.ac.jp/els/110009808392.pdf?id=ART0010310450&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1475585083&cp=
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米国では、内部留保に対して「事業のための合理的必要性」が立証されない限り、懲罰課税が課される。一方我が国では、「今のところ使い道はないが、将来の投資に備える」、「先行きに経済の不透明感がある」、等の理由で内部留保が蓄積される。
企業の利益は、従業員、社会、株主、会社自身の間で配分されるべきものである。従業員には賃金で、社会に対しては法人税で、株主には配当金で、会社自身には内部留保で支払われる。米国との比較でいうと、「事業のための合理的必要性」が立証される場合に限って、内部留保が認められるということである。
法人税率(基本税率)については、米国では累進税率構造(15~35%)になっていて、日本の大企業は最高税率の範疇に該当する。一方、日本の法人税率(基本税率)はフラットで資本金が1億円超の会社については課税所得に対して25.5%(平成24年)である。
日本で、企業の超過貯蓄が問題になっているのだとすると、利益の適正な配分を見直す必要がある。日本経済が経済の低迷から脱出するためには、どこに配分を増やすべきなのかを見定めるべきである。
賃金を上げて消費を活性化するのか、税制改正で超過貯蓄を吸収して財政政策で活用するのか、法人税に累進税率を適用し投資や賃上げに対して課税所得を控除するのか、株主への還元を増やし消費を活性化するのか、あるいは内部留保を活用して国内投資を増やすのか、議論の余地はある。
筆者は、これら選択肢の中で、消費拡大の優先度が高いと思う。いずれにしろ、企業が超過貯蓄を貯め込むのを放置するという選択肢はない。
マーティン・ウルフ氏が提言するように、超過貯蓄の対策として、留保利益に対する税率の引上げを投資および配当に対する税控除と併せて考えても良いのかもしれない。
投稿: hiro | 2016年10月 7日 (金) 11時42分
Kochanさんへ
Kochanさんの質問の意味を理解しているのかわからないですが、的外れな回答でしたら失礼します。
サマーズも1900初頭でしかた?>
サマーズ氏、米国の元財務長官で彼の唱えた「長期停滞論」は注目されています。先日も日銀で講演されたようです。
需要とは何=誰が?なのか>
消費者の需要です。日本人は家、車、家電、スマホ、最先端の製品・・・など、ゆき渡り豊ではないか、これ以上の何が必要なの?という論はよく耳にします。
日本人には、生活の豊かさが欠けています。生活の豊かさを享受する時間がないように思います。恋人と愛し合うこと、家族と旅行に行って楽しむこと、人を呼んで皆で集まること、自分の好きな時間を持つこと、創造性を発揮すること、家の内装にこだわること、・・・筆者の個人的な体験ですが、日本とフランスを比較すると大分違うような気がします。
生活を豊かにすることは、生活の質にこだわることであり、そのような需要が生まれるということで。その結果、消費者の需要に答えるサービスや商品がマーケットに提供されることになります。ここに、経済成長の余地があると考えています。
ところで、話はずれるかもしれませんが、女性の政治家が活躍しています。小池都知事、蓮舫民主党代表、メルケル首相、メイ首相、パククネ大統領、クリントン大統領候補・・・。女性政治家は生活者目線から政策を考えるという点で、男性の政治家と違うようにも思えます。女性の政治家の活躍を期待しています。
余剰資金は確かにあれど、誰に、どのような目的で、・・・>
余剰資金が誰のどのような目的のものであるのかが分からないところに問題があるのです。それは、家計に、国に、株主に、あるいは企業自身に分配されるべきものです。企業に業績を拡大する具体的なプロジェクトがあって投資に使うというものであればよいのですが、ただ「将来不安のために」とか「今は具体的なプロジェクトはないが、将来に備えて」・・・等のために企業が内部留保を持つことは許されるべきではないと考えます。企業の内部留保は、市中のお金の循環を吸収し、貨幣の流通速度を低下させるからです。また、企業は外部から資金を調達できるはずです。外部から資金を調達することで、信用が創造され、経済は成長します。
日本がこれだけ頑張っていて、その果実が今はなく・・・>
これこそ、筆者の疑問の原点でした。日本人は月あたり60時間、100時間の残業をして働きながら生産性においてはフランスの70%である。おかしな話です。どこか間違っているというのが疑問の原点です。その答えは、日本は「企業中心社会」にあるのではないかと思っています。何で個人の生活を犠牲にして会社に滅私奉公しないといけないのでしょう。
経済活動はもちろん生活の重要な一部分ではありますが、生活を豊かにするためのものです。主客が逆転しているようにも思えます。男も女も経済活動に従事し、30代でも独身が40%近くもあるという話も聞きます。正常だとは思えません。
グローバル化した体制にとってまさに日本は使いまわしの良い役・・・>
日本人自らが、生活者の立場を軽んじているからではないでしょうか。
機会均等を事後によってきた雇用・社会制度を・・・>
質問の趣旨がよくわからないのですが、・・・社会保障政策のことを仰っているのでしょうか?、政知的な立位置のことを仰っているのでしょうか?
それでも暴力的な政治問題も顕在化されずに、消費を繰り返している日本をどのように考えるか・・・>
米国との安全保障があって、日本の安全が守られています。ただ、近年の東アジア情勢の不安定化、米国の孤立主義への回帰の懸念もあって、脅威を感じています。
投稿: hiro | 2016年10月 7日 (金) 12時02分
hiroさまへ
ご丁寧にありがとうございます。
あなた様のコメントは真摯で読んでいて楽しく存じます。まず、なにより熱い!です。
ラリー・サマーズの長期停滞論の元ネタはハンセンですという意味です。その意味では我々は先達の巨人の肩に乗っかているなあという意味です。
現状打開の解が、需要か供給かのいずれのセクターに重きを置くのかは、いわば因果律の成立同様インタラクション相関ですね。いずれが重きを置くのかはまさに日本に限って先進国トップランナーとして高齢層増大と少子によっての混合経済の限界性とその解決法あるいは破たんのサンプリングとしてその動向は注視の国と存じます。
余剰資金の使い方も、法人を名目とするか実物と観念的に考えるかは、まさに本ブログ上のリベラル概念の見方をまずは揃えないとサマーズやIMF、世銀等の概念をそのまま取り入れることは、クルーグマン(いい加減というか、これがまともなスタンスですが)が、日本に指摘してきた発言に🙇したダブルスタンダードを(当たり前なのです、これで)リテラシーをもって評価すべきではとも思います。
フランスは素敵ですよ。大好きです。強烈な鼻持ちならないところも。hiroさんの質問でこれだけ頑張っていて…のところはその通りと思います。あそこに住んでいたらそうなのです。でも、極東なのです。ですから解もまた方法を考える必要もありますよね。
グローバルに関しては、我々自らが…という側面もありましょうし、我々というよりhiroさんはお判りになられると存じますが、国と国民の単線型が日本、国と政府に補完組織があるかどうかが(仏はないと称されまして、その点では先にコメントで誤解を与える文言をいたしましたので仏は単純にそうではないとお断りいたしますが)本ブログの意義ではと思いお邪魔しております。はまちゃん先生にはご迷惑でしょう。
機会均等に関してはまさにブログ主近著のアナリシスであるジェンダー等、103問題を含めた主旨です。
最後に、安全保障があるから…は、日本があるから地勢的安全を保障する奇跡的保険会社と考えられる説明も、かの半島との歴史からも因果律っぽく寓話的にもお話しできると存じます。一方的に是はないし非もない実証知見を冷静に公知とすることにしかボーダー主義を認める限り生きるうえでのすべての安全保障リスクの解もないと存じます。
hiroさんのご反応に感謝申し上げ、移動しながらの未確認な些末なコメントをお詫び申し上げます。
投稿: kohchan | 2016年10月 7日 (金) 18時49分
大事なものを忘れておりました追記といたしまして。
私により末席が穢れかけてきております(笑)セクターは、古典的男尊女卑の世界でしたが、その構成に限りですが女性の進出は目覚ましく喜ばしくも、そのパラドクスとして生物的に人類社会的にも大変重要な出来事を、その帰結である社会がいまだ阻害要因としてマクロでもミクロ(わたくしのセクターです)でも未解決要素満載なフラクタル状態を証明し続けておりますが、hiroさんの女性への期待と展望はまさに同感です。といいますより、よく統計のウソを題材に使いますが、様々なジェンダー問題を、そのセクター説明に活用しております。
女性進出同様に、これまた女性天下であった別職種学専攻でも、当然その後の臨床においても男性に進出は前者と相関して眺めますと興味深いものでもあります。もっいえば、以前にもコメントいたしましたが、社会と学業の人的移動双方向制度や就業時期のランダム化とそのリスクヘッジの社会的整備等もhiroさんはご支持いただけるものと思います。
ただし、それが労働の移動として拡大解釈して何かに利用される危険性を慎重に見極める力も備えなければならないことも同意いただけるのではと思います。
早朝のかわゆい奴らからのメール返信時間を利用してのこれまた些末な追記で失礼いたしました。
これからも素敵なコメントをご期待申し上げます。
投稿: kohchan | 2016年10月 8日 (土) 07時08分
本エントリと一部の方のコメントに共鳴した形での自身のコメントと通じ、賃金と不完備契約上とのディレンマをコメント内にて僅かでしたがIMF提案に一面の疑義を綴らせていただきましたが、偶然にも本年のスウェーデン国立銀行賞(ノーベル経済学賞)受賞者が、完備契約=ホルムストロム、不完備契約=ハートの両先生同時受賞されたことに接し、また昨年の受賞者がアンガス・ディートン先生であったこともありこの問題解への世界的潮流を感じてしまう出来事でした。良い子の皆さんには昨年はディートンは読みなさいね、学問専攻上の先にある実践の場にて役立つからと薦め、今回も実践で向き合う方々とのあり方を契約とインフォーム・ド・コンセントと比して考える方法論として、完備・不完備契約を戯曲化して使っておりますので、今回もまた別セクターの方々も同じようなプレ・アダプテーション活用は可能であろうとお勧めいたします。
投稿: kohchan | 2016年10月12日 (水) 08時32分