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2016年8月22日 (月)

公益通報者保護制度の見直し@WEB労政時報

WEB労政時報に「公益通報者保護制度の見直し」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=566

 消費者庁といえば、徳島に移転するとかしないという話ばかりが報道されていますが、実は労働関係者にとって大変気になる問題が今議論されています。昨年6月から、「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」が開催され、今年3月には第1次報告書が取りまとめられています。そしてその後、検討会の下に法律分野の学識者と実務家からなるワーキング・グループが設けられ、議論が進められているのです。これは、企業と労働者の関係に対して大きな影響を与えるものになる可能性があります。

 公益通報とはいわゆる「内部告発」のことです。2000年代始め頃、雪印や日本ハムなどで食品偽装事件が相次ぎ、また三菱自動車のリコール隠しなど消費者の信頼を裏切る企業不祥事が続発したことから、これらの犯罪行為や法令違反行為を知った内部労働者による公益通報を保護するために、2004年に公益通報者保護法が成立したのです。

 同法で「公益通報」とは、・・・

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コメント

Web労政時報の記事を拝見しました。2006年4月同法施行より早10年が経過したわけですね…。当時、牛肉産地偽装、自動車リコール隠し、警察の公金不正流用、建設業界の官製談合などの不祥事を背景に制定されたわけですが、最近でも大企業による不祥事が後を絶たないことからも凡そ察せる通り、この内部告発という仕組みがあまり機能していないのは明らかです。

本記事でもご指摘されている通り、「要件」に関する見直し(通報対象者の拡大、刑事罰以外の通報対象事実、切迫性の削除、各通報先への通報要件の見直しなど)及び不利益取扱い禁止の効果に関する議論は、人事労務関係者のみならず、広く組織で働くほぼ全ての社会人必須のトピックとなるかと。今後のWGの議論に注目していきましょう。「会社を取るか社会を取るか」ーといった人生を左右するかのギリギリの判断を各人に迫るような厳しい現行規定では、わざわざ「社会」を取る奇特な人なぞ少数派でしょうから…。

圧力に負けず組織の内外で正論がきちんと議論でき、個人の権利や安全が確実に守られるような気風(社会正義)を、次の世代にはしっかり残したいものです。

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