それ、ジョブ型じゃねえし
なんだかこれが話題になっているようですが、
http://anond.hatelabo.jp/20160826202909 (即日解雇された)
これにこういうコメントがあったので、いやそれはちょっと違うでしょ、と。
https://twitter.com/ohtsuka/status/769314437366886400
気の毒ではあるけれどメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に移っていく過程でよく見られる光景になるのだろうな。
そもそも、ジョブ型だから即日解雇が許されるなんてのがトンデモ系の誤解ですが、そこは別としても、本件そもそも入り口からして全然ジョブ型じゃねえし。
面接では、あくまで私は未経験でその事が不安でしたが、社長が「それは了解している。ただ、君のポートフォリオを見る限り、見込みがあると思った」と言ってくれ嬉しく思い、頑張ろうと思いました。
入社して最初の週は社長の方からも、ひと月ぐらいはゆっくり色々と覚えていってくれと言われました。
って、完璧にメンバーシップ型の入り口じゃん。
未経験でも「見込みがある」からと採用しといて、
「もう来なくていい。お疲れ様でした。会社都合だと君も次の職探し大変だろうから退職届書かせてあげる。書いたら帰って」
ってのは、これはもうまともなジョブでもメンバーシップでも何でもないでしょ。
つか、こういうのをこれからの「ジョブ型」だと宣伝してしまう人が出てきてしまうのだなあ、と。
念のため付け加えておくと、ホントのジョブ型ではこういう人は採用してもらえないので、こういう悲劇には起こりにくい代わりに、若者未熟練労働者の失業がたまるわけです。
さらについでにいうと、正面からの採用はジョブ型しかないので、未経験の若者のためにインターンシップとかトレイニーシップとかいうバイパスを設けて、無給や薄給でいろんな仕事をやらせながら徐々にスキルをつけさせて、やがては明確な職務記述書に基づいた正規採用に至るというコースがあるわけですね。
その意味では日本のメンバーシップ型正社員というのはジョブ型社会の見習い期間を職業生活の全期間に引き延ばしたようなもので、一種の幼型進化かもしれません。
それはともかく、こういうといいようですが、それを悪用して、インターンシップという名目で若者をいつまでも無給や薄給で便利に使おうというジョブ型社会ならではのブラック企業も後を絶たないわけです。
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メンバーシップ型は一種の幼型進化(ネオテニー)…。
「人間は性的に成熟したサルの胎児」とするLouis Bolkによるネオテニー理論によれば、類人猿の中でもとりわけ進化の速度を緩めて幼い個体のままの特徴を成人まで残した事実こそ、ヒトがヒトたる進化の高みに到達した唯一の説明だとする…。
Hamachan先生のご洞察どおり、仮に今のメンバーシップ型はジョブ型に至る一種の見習い期間(ネオテニー)と見立ててみると、慌てて成体(ジョブ型)へ変態せず、そこにいられるだけ長く幼体(メンバーシップ型)を保ち、「大人」への成長スピードを遅らせた方が進化上有利になるかも…という全く別の見方もできるかもしれません…。あくまでもアナロジーによる空想ですが。
投稿: 海上周也 | 2016年8月30日 (火) 07時32分