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2016年7月 1日 (金)

大内裕和『ブラックバイトに騙されるな!』

0994_detail大内裕和さんの『ブラックバイトに騙されるな!』(集英社)をお送りいただきました。ありがとうございます。「ブラックバイト」という言葉を世に広めた、というよりも、ブラックな学生アルバイトの実態を「発見」し世間に広めた、と言うべきでしょう、大内さんの単著です。

http://www.shueisha-cr.co.jp/CGI/book/detail.cgi/0994/

長時間労働に無理なシフト、罰金、売り上げノルマ、果ては自爆営業の強要まで――。まだ社会経験の浅い学生を都合のいい労働力として、過酷な条件で働かせる「ブラックバイト」。その問題点を浮き彫りにし、解決策までを提示する。

昨年、今野晴貴さんとの共著『ブラックバイト』(堀之内出版)を出し、今年はそれぞれ単著を世に問うています。

ブラックバイトの巧妙な手口とは? やめたくてもやめられないバイトから抜け出す方法、身を守る方法とは? 困っている本人に仲間・友人、大人たちは何ができるのか?
学生たちから直接相談を受け、早くからブラックバイトの問題提起を行ってきた第一人者による決定版。もはや知らないでは済まされない、若者をむしばむブラックバイトの実態が明らかになる!

『下流老人』『貧困世代』著者の藤田孝典氏、推薦!
「断言できる。これほどまで学生の生活について熟知している研究者はいない。
だから言える。学生よ! 親よ! いますぐブラックバイトに備えよ!」

この概念を作り出した大内さんが、どうしてこの「見えなかった現実」に気がついたのかを語る冒頭部分が興味深いです。

また、50歳間近という年齢層であることから、自分の経験に引っ張られてブラックバイトの現実が分からない中高年世代を念頭に置いて、噛んで含めるようにいかにアルバイトの現場が変わったのかを説明していく姿は、今野さんの本とはちょっとひと味違うところでしょうか。

はじめに
●1章 ブラックバイトってなんだ?
●2章 昔とまったく違う現代のバイト事情
●3章 働くことを義務づけられた学生たち
●4章 なぜ学生たちは進んで劣悪な職場にはまり込むのか
●5章 若者を食いものにする貧困ビジネス
●6章 ブラックバイトは日本社会を壊す!?
●7章 法律のプロが語る対応策はこれだ
●8章 学生としての自分をもっと大切に
●資料集 ブラックバイトに遭遇したら

私個人の問題関心からすると、家計補助的であるがゆえに責任も軽かったかつての気楽な学生アルバイトの前提条件であった日本型雇用システムが収縮し、その周辺部が家計補助的賃金で家計維持しなければならず、正社員的重責任を負わされながら非正規的軽処遇で働かされるという問題を発生させてきている一つの現れと言うことになります。この問題を突き詰めていくと、「学生であることを尊重しないアルバイト」の、その「学生であること」の社会的意味は何なのか?という問いにつながっていきます。

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コメント

逆説な物言いですが、「学生」の定義が高等教育在籍者とすれば、日本の初等中等教育水準は世界に誇れるレベルであるとの皮肉なる帰結に落ちつきますね。
社会的属性の意味づけも必須ですし、上記の帰結が正しいと仮説づけると、制度の優位性で片づけるだけでの解は同義反復でしかないでしょうね。
心許ない緒のレベルではありますが、日本人と他国とのジェネティクスレベルでの比較研究もその仮説解へのプロセスに不可欠でもあり可能な時代となっていることも認識しながら社会を考える思考方法論もそろそろ社会科学系が認めるべき時代ではないかと思われます。
ポテンシャルはどうかですが、そうしたものへのパフォーマンス度は高いから目を付けるのですよねえ、雇用側は。
こういう視点も必要要素ではないかなあと思います。
ですから心配なのです。本人たちが気づかぬ内に深入りしてしまうイニシエーションの在処がですね。

投稿: kohchan | 2016年7月 1日 (金) 21時35分

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