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2016年7月 5日 (火)

山極清子『女性活躍の推進』

Bk00000436_2例によって讃井暢子さんより、山極清子『女性活躍の推進-資生堂が実践するダイバーシティ経営と働き方改革』(経団連出版)をお送りいただきました。

https://www.keidanren-jigyoservice.or.jp/public/book/index.php?mode=show&seq=436&fl=1

市場の成熟化や少子高齢化、グローバル化が進展し、顧客ニーズが多様化するなかで企業が発展を続けるには、多様な人材を活用していくことが求められます。とりわけ人口が急速に減少していく今後は、女性社員を積極的に管理職そして役員に登用していくことが不可欠です。女性の活用により、企業内のパワーバランスを変え、組織変革を通じて生産性を向上させ、価値創造性を高めていくのです。そのためには、ジェンダー・ダイバーシティ施策とワーク・ライフ・バランス施策を組み合わせて進めることが欠かせません。本書では、資生堂でダイバーシティ経営に向けた意識改革・行動改革と女性の活躍推進を実践してきた著者が、その具体的取り組みを詳述します。
 各社の「女性活躍推進・次世代育成支援行動計画」実現に欠かせない一冊です。

これではあたかも、資生堂の経験に基づくハウツー本のようですが、いやいや、これは著者の博士論文「日本的雇用慣行を変える「ダイバーシティ経営」-女性管理職登用が経営パフォーマンスに与える影響」(2014年度、立教大学)をベースに一般向けに書き直したもので、本格的な論文です。

さいごの「おわりに」から、著者の山極さんがこの本を書かれた思いが伝わってくる一節を引用しておきましょう。

・・・今日、高成長モデルが破綻し、かつての日本的経営を構成していた年功序列賃金や終身雇用、男性片働き世帯を支える客観的条件はもはや存在しない。それでも男性はもっぱら仕事を担い、女性はフルタイムの従業員であっても家事や育児を担うという性別役割分担の状況は変わっていない。働き方・働かせ方においても、職務が明確になっておらず、労働時間の長さで評価される傾向があるため、長時間労働などの状況も続いている。

その結果、恒常的な長時間労働と固定的な性別役割分担とが対構造となって、日本的雇用慣行は温存されている。・・・こんなことで、日本の経済や社会が今後まともに維持発展できるとはとても思えない。

このような閉塞状況の中で、どうしたら女性活躍の阻害要因を取り除き、女性管理職登用が実現できるのか、筆者の思考の拠り所となったのが、アメリカの「ジェンダー・ダイバーシティ・マネジメント」という経営理念である。・・・

日本とアメリカでは労働環境も企業を取り巻く社会的条件も同じではないが、ジェンダー・ダイバーシティ・マネジメントの導入は、日本的雇用慣行を変革する経営手法として有効であるはずだ。なぜなら、これからの日本の企業経営には、従業員の多様性、とりわけ、これまで活かされてこなかった女性人材を企業組織の管理職、役員に積極的に登用して企業内のパワーバランスを変え、加えて組織変革を通じて時間当たりの生産性を向上させ、価値創造性を高めていくことにつながるからである。・・・

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コメント

まずもって、いつもすんません。
隙間チェックの片手間(物理上も)です。
エントリ応答として、猪木武徳先生著書の「増補・学校と工場二十世紀日本の人的資源」ちくま学芸文庫2016.6.10(手持ちで読書中でしたので)も本ブログ登場紹介諸本含め併せてお読みになれられたらいかがかなあと我がバカニューロン発火しました。

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