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2016年7月26日 (火)

早川英男『金融政策の「誤解」』

41edvkecfml_sx336_bo1204203200_ ある方から、この本の中でhamachanの議論がかなり引用されていると教えられていたので、たまたまそのことを思い出し本屋で手に取りました。

http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766423563/

▼緩和一辺倒の政策手段から、いかに脱却するか

黒田東彦日銀総裁が遂行する「異次元緩和」政策は、目標に掲げたインフレ率2%の達成・維持と経済停滞からの脱却に至らないまま、「マイナス金利」という奥の手を導入した。この先の政策運営に暗雲が漂い始めているなか、日銀きっての論客と言われた筆者が、日銀を退職後、ついに沈黙を破って持論を開陳する注目の書!

日銀は何ができて、何ができないのか ――

という風に、基本的にはいわゆるリフレ派批判の本です。例の「りふれは」の汚らしい怪しげな振る舞いを批判した本ではなく、まっとうな「リフレ派」の議論を経済学の土俵で批判している本ですのでお間違えのないよう。

なので、通常は私とはフィールドが違うので、私が本屋で手に取ることはない種類の本なのですが、ある方から言われていたのを思いだしてぱらぱらとめくってみると、「第4章 デフレ・マインドとの闘い」の「2 「日本的雇用」とデフレ・マインド」の中に、「メンバーシップ型雇用の呪縛」という項があって、まさに私の議論が引用されておりました。

端的に言うと、人手不足になっても労働組合が賃上げに及び腰なのはメンバーシップ型雇用の呪縛によるものだという議論です。

振り返ってみると、本ブログでも過去に何回か早川さんの書いたものを紹介していました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-2ce5.html (富士通総研早川英男氏の「今こそ「日本的雇用」を変えよう」)

読んでいくと、どこかで見たような記述がいっぱい出てきます。

というか、こういうのを見ると金子良事さんあたりはまた「hamachanの影響力おそるべし」とか云ってからかうんでしょうけど。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2015/09/34-7fa3.html (富士通総研早川英男氏の「今こそ「日本的雇用」を変えよう」(3)(4))

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コメント

早川氏の先エントリ「今こそ「日本的雇用」を変えよう」エッセイ等々政策レファレンス・ポイントとなるものを書かれますね。
たとえば遺伝子とゲノムを同じと思われておられる本やその影響下にある諸氏が多く見受けられますが、遺伝子はミクロ、ゲノムはそれより大きなくくりのいわばマクロです。
何を言いたいかといえば、還元されたミクロ基礎づけによりマクロ説明とするオッカム方法論とは違い、社会問題はその構成員一人ひとりで属性が同じでもそれをそのままマクロに転換してしまっても、毎度でウンザリされるでしょうが、”見えるものも見えないものにしてしまう”と同じ轍を踏む、そして新たな問題を生んでしまう恒常性をもつものとおもわれます。したがって各関連セクター(金融も雇用も問題ありで、こう変えるのだ!と社会提言されるには)を一気に相対的マクロ化したロードマップ提案が不可欠ではとも思っております。
はまちゃん先生のシグナルが早川さんに届いたということは、単体ミクロの息吹がシンクロすればマクロフィールドでも現象化する可能性を実証したこととなり、あとはそれをいかに実社会においての総合仮説を期待したいものです。本を読まないことには早川さんのセクター解釈がどうかはわかりませんが。
ちなみに日銀批判の早川エッセイは3法則のマジシャンI氏もご推奨でした。

投稿: kohchan | 2016年7月27日 (水) 08時03分

一考察として、早川さんの「今こそ「日本的雇用」を変えよう」を雇用終了後に還元し考察するとその後のライフマインドも変化する可能性を秘めますね。
たとえば早川氏ご指摘(私もですが)OJTによる「そこでしか生息できない会社人間への行動変容アプローチ」での労働移動を想定しない”終身一企業会社人間”は退職を迎え、唯一知り抜いた会社文化圏から放り出されたとたんに巷の笑い話として流行った”ぬれ落ち葉”と化しましたね。いや、もっと頑固な近所迷惑な過去にすがり自己防衛の身を生きがいとする迷惑者としてコミュニティからもあるいは家庭内でも疎んぜられます。しかし労働移動を是とした多様性ある社会システムがあれば、リタイヤ年齢は個々に別としてその後も人間本来の”社会性”を齢とともに磨き上げた高齢者として地域貢献できる素地を持てる可能性がありますね。
存外に、これが少子化・高齢化を悲観から楽観にと社会制度を変えることができ得る社会選択へのメンタル・アプローチ方法論として進化する可能性をふと考えてしまいました。

投稿: kohchan | 2016年7月28日 (木) 08時10分

やっとのことで本エントリの書籍をオーバーしまして、なるほど特異な日本企業の雇用環境の時間軸(成功体験時代から今日に至る経緯は、私流に云えば、変化を怖がってダンゴ虫が丸まってじっとしているような笑)を重要な要因の一つとしてあげられておりました。
また、FRB等のフォワードガイダンスと黒田総裁のコミュニケーション力に、これまた相違の深さ(前者は丁寧に予想を織り込ませ、後者は”びっくり大作戦”=結果的に言葉の余白に文化等に違いかありますので致し方ない部分もあると思いますが、日本市場はもはや黒田日銀に不信感をもっており、完全に”信用創造”を失敗しておりますねえ)は致命的な感じがいたします。フォワードガイダンス方法論は私も3年ほど前より事前に講義進行および予告=落としどころのシナリオ、を面白おかしく書いた紙媒体を40~50頁にまとめ渡しておりますが、そうしないと学部生も理解不能か興味を失いかねない危険がありそうと、余計な時間を使っておりますので、早川氏の論は大いにわかりました。小幡績さんもコミュニケーション力に言及しており、ゼミ幹事を彼が引き受けていることへの感謝まであり、ゼミシンクロの一つだだなあと妙に感心いたしました。存外に日本組織を時代遅れと書き綴る内容と、この連綿を創造するゼミ愛にやや腰は引け、”神風”が一カ所出てくる場面では、完全にひっくりかえりましたが・・・このいわば”頭と心”の相違こそ私の分野で一番読んでみて得をしたなあと・・・誰も思わないでしょうが、人間そのものが現れている違った方向性からも読めますので、オススメです。
ただ、ややもすると課題に対してアプローチにあちこち手を出されておられる割にボリュームが足りない感もあり、私は以下の書籍を同時に読まれることをご案内しておきます。

「真説 経済・金融の仕組み 最近の政策議論、ここがオカシイ」横山昭雄著 日本評論社2015.9

増刷本になっておりまして、編集を通じて新版にちょびっと小生の意見を入れていただいた(文言の使用法です)経緯もありますが、それはそれとして偶然であった良本でございました。こちらは本格派です。

残念ながら、こちらには、はまちゃん先生は登場しません(笑)。
専門でもないのに暇な奴(ではないのですが)とお笑いいただき、双方を読まれる利益は大きいですよと結ばさせていただきます。

はまちゃん先生、ごめんなさい、私用で。

投稿: kohchan | 2016年9月 5日 (月) 14時49分

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