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伍賀一道・脇田滋・森﨑巌編著『劣化する雇用』

14696伍賀一道・脇田滋・森﨑巌編著『劣化する雇用 ビジネス化する労働市場政策』(旬報社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/1096?osCsid=ubhfoob816sggmjfdn46qnrfg3

拡大する人材ビジネス、商品化する労働者
「失業なき労働移動」を謳う労働市場の変容と実態をとらえ、
労働市場政策のあるべき方向性を提言する

「労働市場政策のあり方研究会」の議論をまとめたものということで、他に後藤道夫、河村直樹、秋山正臣、藤田和恵、津川剛、中村和雄といった方々が執筆しています。

スタンスは人材ビジネスの拡大に対して雇用の劣化をもたらすとして警告を発する立場で、それはそれでありうると思います。むしろ、ILO始め、かつての世界共通のスタンスであったわけですから、そういう議論自体は不思議ではないと思います。

ただ、本書を読んでいって大変違和感を感じたのは、そういう人材ビジネス拡大とは一応別次元の、ジョブ・カードなどのいわゆる職業能力の見える化政策に対しても極めて懐疑的なスタンスをとっていることでした。

公的な技能検定に基づいて、労働者個人の職種と職業能力に基づいた労働市場という理念は、かつて高度成長期には高く掲げられていましたが、1970年代以降は企業中心の社内人材育成が中心となり、見捨てられていった、と言うことは繰り返し述べてきたところですが、どうも本書のスタンスからは、そういう公的な労働市場機構を確立するということにもあまり積極的でないようです。

雇用が劣化するのは人材ビジネスが悪いからだけなのか、日本型雇用システムを堅持していれば万事丸く収まるのか、という観点からすると、内部労働市場さえあればOKというはずはないのであって、正しい意味での外部労働市場政策の確立が必要だという議論が出てきてもいいと思うのですが、そういう積極的な方向性を指し示す面がいささか弱いように感じました。

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コメント

レビューに違和感があり、全くの門外漢ですが取り寄せてパラパラと読みましたが、特にⅠ・Ⅱ章は素人目にも違和感は余り感じませんでしたが、ブログ主の認知に依れば、Ⅲ章以後はレビュー後半のご指摘はそれもそうですがねというようなかんじです。
主と著者連の基本相違がある(のでしょう)とするならば、これからの労働市場を前者が行動変容アプローチ法に基づくようなよい意味での多様な開放性にその選好性が強く感じられる反面、後者はエンパワーメント・アプローチ法の以後の解釈にはお叱りの解釈ともなりましょうが、前者アプローチ法に潜む個人化=ともすると未達への差別帰結の危険性を懸念された前提での相違のように感じました。あくまで私個人に責任は帰結する解釈であることはお断りいたしますし、専門外を専門で解釈しているので「またバカがほざいて」で結構です。しかし一言言わせていただければ、それに所得依存しているかどうかがレビューの中立性にとってはクリティカル・ポイントといえることだけは査読の世界が秘匿性と無報酬に近い原則を危なっかしくも表層上建前とせざるをえないことからいえるのではと思います。

投稿: kohchan | 2016年7月31日 (日) 22時06分

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