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2016年7月19日 (火)

同一労働同一賃金の実現に向けて@経団連

経団連が満を持して(?)「同一労働同一賃金の実現に向けて」という提言を公表しています。

http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/053.html

http://www.keidanren.or.jp/policy/2016/053_honbun.pdf

日本と西欧の賃金制度や雇用慣行がいかに違うかというところから説き起こし、欧州型ではなく「日本型」同一労働同一賃金原則を目指すべきと論じています。

賃金制度や雇用慣行についての事実認識はほぼ正確と言って良いと思います。この問題を論じる時に、うかつに「いやあ、欧米も日本に似てきてるんだよ」みたいな表層的な議論に乗っかると、とんでもない話になりかねませんから、ここは適切です。

その上で、その論じる非正規従業員の総合的な待遇改善の策がどう評価されるかは、これからの議論の行方を注意深く観察していきたいと思います。

この提言を書いた方は、おそらく将来の姿としては、「おわりに」で述べられている

・・・①勤務地および職種が限定され ない「就社型従業員」には「将来の仕事・役割・貢献度の発揮期待」を加味し て処遇する一方、②自らの希望により、職種を限定して専門性を高めていく、 「就職型従業員」は「現在の仕事・役割・貢献度」で処遇する、という考え方 が広がっていくことも考えられる

という姿をあるべき姿と思い描いているのではないかと想像されますが、現段階ではあくまでも、

・・・現場の混乱 を避けるべく現時点でのわが国の雇用慣行に十分に留意した日本型同一労働同 一賃金のあり方についてまとめた

というスタンスでこの提言をまとめたということなのでしょう。

今後、連合はじめ労働団体や他の関係者がどのような反応をするか、注目されます。

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コメント

経団連報告書、このタイミングで出してきましたか…。翌日の今日(7/20)は3月より進めてきた厚労省開催「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」の最終回、第7回会合日。議題は経団連ヒアリング。周到に準備されたレポート、「日本型同一労働同一賃金」と銘打ち現状を是とすることで現行の「正社員」を前提とする雇用慣行を変えさせまいという強い意志を感じさせますね…。報告書31頁 図表3「欧州と日本の人事制度の違い」のとおり、経団連の言うところの日本型とはやはり「製造業」を典型とする複数部門間ローテーションによる人材育成をベースにした大企業の雇用モデルですが、そうでない産業や規模への目配りや洞察も必要でしょうね。すると日本型か欧州型かではなく、両者併存という整理の仕方ができるはずです。

分配問題ですか。一部明るい方向性と見えなくもないのでしょうが、コーポラティスト(政治と企業の互恵関係とここはご理解ください)の微調整になりそうではありませんかねえ。
報道ですでに趣旨は確認しておりましたが、70年代から80年代に続く経済環境の激変による対応として、日本ではコーポラティスト(こちらは企業と労組ですね)たちは雇用・賃金調整やその形態の分散化で成長見込みもなく、積みあがった負債減らしに邁進してきた日本企業の変化なき「今」には、コーポラティストたちは(ここでは政府・中央銀行・企業ですね)日銀頼りの国債・株価大作戦で政府も企業もこれ以外には超短期とはいえ脱出方法論を持ちえなかったとすれば、企業収益はおのずと決定論的に決まっており(成長しませんから)その人件費総枠もそれに従属するわけですから大した結論にはなりますまいねえ。コーポラティストの一員=労組(数的少数派ですね)の視線が株主資本主義よろしく足元に留まるのか、それとも巨視的未来創造に成長するのかは興味深いところですね。後者選択はほぼ絶望的でしょうか。コーポラティストには政府、中央銀行以外のセクターのまえには「大」がつきますから。相似現象として昨日の日経夕刊(7.19)に”介護離職ゼロ企業動く”の記事を紹介しておきます。学生諸君がなぜ規模の経済(大企業)を選択するのか?医学部がなぜ今日の超高偏差値学生クラブとなっているのかも根っこは同じですよねえ。でもですね、ひ弱で初年度からメンターが必要なんです、上記のいずれのセクターにも。それにまた”対策”と銘打ちメンタルヘルス等々上から目線の支え合う社会づくりと言われてもその分野にいるものとしてもな~んか明るい説得力を感じませんでねえ。

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