合同・一般労組全国協議会の「同一価値労働同一賃金論」批判
労働問題を追いかけていますと、ときにびっくりするようなものにぶち当たったりします。
合同・一般労組全国協議会という団体のサイトに、6月8日付でアップされている「「同一価値労働同一賃金論」批判」というかなり長大な論文は、タイトル通り同一価値労働同一賃金論を批判しているんですが、その切りつける刃の相手が何というかあたるをさいわいという感じで、いろんな意味で大変興味深いものがあります。
http://www.godoroso-zenkokukyou.org/grz/?p=4304
冒頭、例の『選択』の怪文書風の記事から始まりますが、議論自体はなんと終戦直後の電産型賃金体系を賞賛するところから始まります。
第1章 電産型賃金体系の歴史的意味
第1節 賃金とは何か?
第2節 電産型賃金体系=差別賃金の原型としての批判は正しいのか?
第3節 電産型賃金体系の革命性
ここで批判されているのは木下武男さん。電産型賃金体系を批判しているがけしからん、これこそ革命的なんだ、と。ここまではまだ理論的批判なんですが、そこからあらぬ方向に・・・
第2章 同一価値労働同一賃金論との対決
第1節 合同・一般労働組合全国協議会かUAゼンセンかの闘いに突入!
第2節 『日本の性差別賃金 同一価値労働同一賃金原則の可能性』森ます美著 有斐閣 2005年6月10日初版第1刷)の論理
第3節 同一価値労働同一賃金原則と欧米のペイ・エクイティ運動
第4節 UAゼンセンの「賃金論」と非正規雇用に対する論理
第5節 『前衛』6月号-同一価値労働同一賃金論の推進者=日本共産党
最後の台詞はこれです。いやいや何というか・・・。
・・・・しかし電産型賃金体系含め電産の労働運動は戦後革命期の歴史的闘いとして厳然として存在し、今日でもその闘いは生きて継承されている。遠藤公嗣のいうように「過去のものとなった賃金体系」でもないし、電産の闘いは国鉄闘争という形で生きているのだ。戦後革命として果たせなかった電産労働者の闘いを革命の現実性の中で開花させようではないか。
(追記)
ここまで電産型賃金体系を「革命的」と賞賛するのであれば、是非とも、革命精神の始祖として呉海軍工廠の伍堂卓雄海軍大将を礼賛し、併せて戦時体制下の皇国勤労観をこそ革命的勤労観として称揚していただきたいと思うのは私だけでしょうか?
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