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増田明利『ホープレス労働』

81lugvncrl 増田明利『ホープレス労働』(労働開発研究会)をお送りいただきました。

http://www.roudou-kk.co.jp/books/book-list/4031/

「中古品」扱いされ、逮捕すれすれの仕事をさせられ、そして、倹約、倹約、また倹約。

これでもまだあなたは

「リーマンショック前に比してもよくなっている」

「雇用情勢は着実に改善が進んでいる」

と信じますか?

統計では見えない雇用の実態を取材し、世に問う!

日本の今、希望のない雇用社会の現実。ホームレス、日雇い労働者などワーキングプアをめぐる問題をえぐる第一人者の最新刊!

ブラック企業、不払い残業、過重労働、パワハラ、追い出し部屋、所得格差、低所得、失業…

他人事ではない実態が、若者、女性、中高年、あらゆる労働者に迫りくる。

危機感を持つすべての人が読むべき一冊。

下にコピペした目次を見ればわかるように、大変幅広くいろんなホープレスな労働の実情をルポしています。

冒頭に出てくるのが、まさに今現在話題の偽装求人の話。

・・・大学4年生の大半を就活に費やし、卒業まで残り1ヶ月というところで内定をもらったのが新興のアパレルメーカー。

「これで卒業=無業者にならずに済んだという安堵があったんですが、とんでもないインチキ会社だったんです」

求人票の募集職種は営業事務等の一般事務職、完全週休二日制、、夏期休暇ありということだったんですが、これはおとり広告みたいなものだった。

「二週間の研修が終わったら販売に行ってくれということにされ、ショッピングモールに出店している店舗に回されたんです。・・・」

・・・

「一番困ったのは売れ残った商品を社員に無理矢理買わせることでした」

デザインもセンスも悪いからだれも買わないようなTシャツやジャケットなどを社員に押し売りするのだから質が悪い。

・・・

年末年度末になると押し売りの金額が大きくなり、手取りの給料の三分の一が不必要な商品の購入に回されていた。

この手のひどい話がこれでもか、これでもかとぎっしり詰め込まれています。

しかし、じつは本書を読んでいって一番びっくりしたのは、最後の金子雅臣さんとの対談で、さらっとこう語っているところです。

・・・私は普段不動産関係の会社で働いているんです。その会社での有休を使って、時々。

え?本業を持っていて、これだけ取材してるんですか?

一章 憂鬱な若者たち

一 早期退職その事情

残り物に福はない

給料は手取り9万円

建築士志望がファミレス店員

死にたくないから辞めました

二 就職先はブラック企業①

ケチの付き始めは不本意就職

残業は月100時間、休みは月3日

魔法の水で何でも治る?

逮捕されるかもという恐怖

三 電池が切れるまで

IT業界、裏の顔

タダ働きと健康被害

いつか使い捨てられるという不安

四 漂流世代の見えない明日

就活は0勝18敗

既卒者は中古品扱い

生涯賃金は正社員の3分の1

五 平成版・あゝ野麦峠

26歳、働きマンの一日

社員は定額使い放題

辞めても誰も困らない仕組み

六 就職先はブラック企業②

これが金貸し稼業です

仏さまは金の成る木

二章 非正規で働くということ、その事情と実情

一 派遣の貧格

涙の給与明細書

入口は内定切り

いざ、派遣社員

いつか派遣を卒業する日

二 男30歳、派遣の肖像

入り口はリーマンショック

派遣の立場、派遣の暮らし

絶えない気苦労

漠然とした不安

三 当節、出稼ぎ事情

大震災で会社消滅

派遣の仕事、派遣の暮らし

漠然とした不安

四 工場非正規の恨み節

現場は非正規で回っている

ボーナスは5000円

それをやったらお終いだけど

五 正社員からの脱落

それでは皆さんサヨウナラ

60社にアプローチするも再就職ならず

失業一年、オヤジフリーターに

六 高齢フリーターの絶望

入り口は「つい、うっかり」

漂流の始まり

俺、ヤバイのかも…。

甘くない現実

七 もしも夫が失業したら

困窮家庭への転落

やっと見つけたパート仕事

倹約、倹約、また倹約

三章 働き盛りの苦悩

一 もしも40代で会社を辞めたら

転職は博打と同じ

正社員復帰への遠い道のり

わたしが会社を辞めたわけ

辞めてはみたものの…。

二 お父さんは眠りたい

ワーキングプアへの転落

のしかかる教育費

ハローワークでこんにちは

三 上司が馬鹿で嫌になる

これが我が社の駄目管理職

課長、仕事してくださいよ!

平社員は辛いよ

そして誰もいなくなる

四 脱サラの結末

元はアパレル会社の営業マン

成功は束の間の夢

廃業、別居、職探し

五 高学歴、低所得者の絶望

最終学歴は大学院卒

ジョブホッパーへの転落

学歴詐称で職探し

六 若手が馬鹿で嫌になる

ゆとり世代がやってきた

おまえは時限爆弾か

そして簡単に辞めていく

七 OLは見た

午後1時のオフィスで

男女平等は絵に描いた餅

それは「辞めろ」ということですか?

八 サラリーマン人類学講座

出世の基準は何ですか?

ゴマすりのすすめ

リストラされるにゃわけがある

九 新人君、いらっしゃい

会社は学校ではないということ

仕事を理解するということ

三年は黙って働け

十 どうするイクメン社員

パタハラは避けたいが

結果的にはキャリアロス

四章 好景気がやって来た?

一 アベノミクスでハッピー! ハッピー?①

高額商品から売れていく

節約疲れでプチ贅沢

ミニバブルが始まった

二 人手がない!①

求人三か月、応募ゼロ

派遣はそんなに悪いことですか?

就職難、それでも本音は大手志望。

三 アベノミクスでハッピー!  ハッピー?②

休日は月二日だけ

ベースアップは10年ぶり

仕事が捌ききれません

四 人手がない②

求むアルバイト

不人気業種は求人氷河期

職人不足は死活問題

五章 唇を噛みしめて、中高年世代の受難

一 リストラ狂騒曲

非情の通告

籍はあるのに席はなし

再就職支援のからくり

クビ切りした会社が求人していた

二 52歳の市場価値

3年目のハローワーク

デパートマン、バブルを語る

今日もリストラ、明日もリストラ

リストラの松竹梅

中高年、再就職の現実

三 嗚呼、中年エレジー

リーマンショックで会社消滅

45歳は高齢者

生活できない賃金

四 再就職支援の甘い罠

就活1年6か月、未だに無職

求人多数、完全サポートのお寒い現実

椅子取りゲームは終わらない

五 ネットカフェ難民の元経営者

1泊1480円、漂う孤独

こうして会社が潰れていった。

転がる石のように

六 副部長、介護退職の危機

葬儀場でのひとコマ

女房が鬼に見えたとき

休職か退職か

七 会社に行きたくないと思ったら

わたしはこれで気分転換しています

所詮わたしはサラリーマン

八 60歳の進路選択

『希望しないで下さい』で再雇用拒否

再雇用。去る人、残る人

60歳、警備員デビュー

対談 労働現場取材と雇用問題の現在

現場取材に深入りした理由

数字や統計で見えないものを伝える

非正規にケアがなさすぎる

若年層のとらえ方

現場から希望を見出せるか

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コメント

抒情詩的、詩的な「論」とは違い、我々が毎日車内や街中で、あるいは夜の享楽に興じているときにも確実に見かけていて、それでいて見ていない、見なければならない深部を実証で明らかにされているまさに労働開発研究会と称するに値する名目ではない実証の迫力をはまちゃん先生のエントリ内容に限っても能書き優先の輩とは違いワインバーグも求め「科学的研究アプローチをされておられるなあとわが身が恥ずかしくなります。ワインバーグ理論物理科学とは異種でありますが、私の幼少の思い出として昔の左翼運動ってこんな感じじゃなかったかと、自転車に乗って”nhkこころ旅”を本ブログで疑似体験させていただいた思いです。

投稿: kohchan | 2016年6月10日 (金) 07時34分

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