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『非正規労働者の組織化と労働組合機能に関する研究』

MaeuraJILPTの資料シリーズ No.174『非正規労働者の組織化と労働組合機能に関する研究』が公開されました。まとめたのは前浦穂高さんです。

http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2016/174.html

非正規労働者を組織化した労働組合が、組織化後に、非正規労働者に対して、どのような取り組みを行うのかを明らかにする。

調べたのは下記8組合ですが、

0174


主な事実発見は以下の通り。

第1に、非正規労働者の雇用の確保である。日本の労働組合は、組合員の雇用の確保を最優先してきた。非正規労働者を組織化すると、その機能が非正規労働者にも発揮される。ある組合は、パートタイマー組合員に対しても、事業所閉鎖の際の手続きを定め、労使で雇用を確保するために取り組むことになっている。ある組合は、会社から事業所閉鎖の提案を受けた際、労使で1,000人を超える組合員の個人面談を行い、出来る限り、組合員の希望に沿う形で雇用を守った。

第2に、処遇改善である。労働組合は、非正規労働者を組織化すると、非正規労働者の処遇改善に取り組む。その内容は、賃金制度の整備、賃上げ、福利厚生の適用等、多岐にわたる。

第3に、組織化活動の波及である。これは、グループ企業の労働組合に見られることであるが、グループ内の組合が非正規労働者の組織化に取り組むと、その経験がグループ内の他の組合に共有され、組織化活動がグループ内に波及していく。

前浦さんの考える政策的インプリケーションは次の通りで、現下の政治状況等を考えるとなかなか時宜に適していると言えましょう。

本稿では、均衡処遇が実現された状態を、「従業員区分間の処遇格差に対して、それぞれの従業員区分の労働者が概ね納得している状態」と考える。この定義に即して考えると、本稿で取り上げた労働組合は、全てではないが、非正規労働者の不満に耳を傾け、処遇改善に取り組む中で、本稿のいう均衡処遇を実現すると考えられる。

本稿のいう均衡処遇を実現するには、非正規労働者が組合運営に関与し、賃金制度を公開すること(組合内で賃金制度に関する情報を共有すること)が必要であり、その結果として、両者の賃金制度が接近していくことで、労働者の納得が得られるものと考えられる。

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