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労使関係の二元性

一時、ブラック企業の右代表とまで叩かれたワタミに労働組合ができたと報じられています。

http://www.asahi.com/articles/ASJ6J4WTSJ6JULFA016.html(ワタミに初の労働組合 「ブラック」批判受け)

Proxy_2 居酒屋チェーン大手のワタミで初めて労働組合が結成された。グループの正社員約2千人と、アルバイト約1万5千人の大半が入った。流通、繊維業界の労組を束ねるUAゼンセンが支援し、1月から結成の動きが進んでいた。ワタミによると、1984年の創業以来、企業別労組はなかったという。

5月16日、労組「ワタミメンバーズアライアンス」(組合員数約1万3千人)が結成され、入社すると同労組に加入することになる「ユニオンショップ協定」を労使で結んだ。

やはりUAゼンセンです。UAゼンセンの組織化戦略については、二宮誠さんの本や講演の紹介で本ブログでも何回か取り上げてきましたが、今回のワタミ組織化も、二宮さんの後輩による二宮流なのでしょう。

ワタミ側としては、労組否定の経営家族主義から、普通の労使協調主義へ変わらざるを得なかったということでもあります。

同社の経営陣はこれまで、「社員は家族だ」といった経営理念から労組に否定的だったが、長時間労働などで「ブラック企業」と批判され、業績も悪化。労務管理を見直してきた。

逆に言うと、ブラック企業の矛盾や問題点を糾弾するだけの前衛的運動では、そこで働く労働者をまるごと抱えるだけの受け皿にはなりにくいということでもありましょう。

UAゼンセンの強い産別指導下の企業別労使協調主義というのは、日本の労働運動が抱える危ういバランスを何とかうまくとるための、一つの知恵の姿なのだろうと思われます。つまり、日本の労働者にとっては、一方に経営目標に向けた親和、協力の従業員関係があり、他方に労働条件をめぐって利害対立の労働者対使用者の関係があり、その二つが絡み合って曖昧模糊たる状態で存在している中で、どちらかに傾きすぎると問題が生じてしまうのです。

この問題については、実はもうすぐ出る『月刊労委労協』6月号に寄稿した「集団的労使関係を考える」の中で、1963年に出た藤林敬三氏の『労使関係と労使協議制』(ダイヤモンド社)を引きながらいろいろと考察しているところです。

(追記)

ワタミの組合については、平壌じゃない『労働新聞』6月20日号にかなり詳しい記事が載っています。

初代委員長は亀本伸彦氏で、結成日は今年1月17日、5月16日はUAゼンセンが「躍進大会」と呼ぶ結成大会を横浜で開いた日ということです。

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コメント

新聞報道を観て一義的団結を組織化されたことは大変善いことでだなあと思っておりましたらすかさずのエントリでした。なにせ最大の問題は危機的な経営状態ですから、ネガティブ金利等により一度は助けた金融機関も余裕がなくなり次はなしでしょうし、そもそも資本フロー等財務がかなり逼迫した事業環境のご様子ですから、そちらの意味から労組結成は従業員の防衛線として、解釈されている労資協調の効用はさっぱりわかりませんが、独歩路線継続or経営移譲の二者選択を迫られること必至の経営・労働双方にとっても今しかなかったということでしょう。こういうときの産別という労組の集合形態?ははまちゃん先生文化論的解釈も含め機能を最適化してくれるといいなあとおもいます。相撲にたとえると、後すざりしながらの突っ張りって感じですけど。

投稿: kohchan | 2016年6月17日 (金) 15時53分

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