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2016年5月30日 (月)

人材ビジネスによる退職勧奨@WEB労政時報

WEB労政時報に「人材ビジネスによる退職勧奨」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=537

 今年2月22日、朝日新聞が一面トップで「リストラ誘発しかねない再就職助成金」という記事を載せ、「人材会社が、企業にリストラ方法をアドバイスし、助成金が使われる退職者の再就職支援で利益を得るなどしている」ことを批判し、厚生労働省が労働移動支援助成金の支給要件を厳格化する予定であることを報じました。同日の国会質疑では、塩崎厚労相が「人材会社の関与は『趣旨に反する』」と答弁し、4月から助成金の申請書に退職者自身が退職強要を受けなかったことを確認する欄を設ける考えを示しました。
 その後3月14日には、厚労省職業安定局長名で日本人材紹介事業協会会長宛てに「企業が行う退職勧奨に関して職業紹介事業者が提供するサービスに係る留意点について」(職発0314第2)が出され、再就職支援を行う職業紹介事業者による、企業の労働者に対する退職強要の実施、退職強要・・・・・

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コメント

先日のNHKクローズアップ現代でこの問題がブラックな問題として取り上げられていましたね(リストラ請負人的なサポートを行う再就職支援会社による助成金制度の悪用…)。さっそく労政時報WEBで本記事を拝見させていただきましたが、いつになくHamachanご自身のスタンスが明快に読者に伝わってくるせいか、読後感は爽快です!

「・・・このように、人材ビジネスによる退職勧奨に対してはマスコミ報道をきっかけに急速に厳格化の政策が採られましたが、この一連の経緯を見ていると、いまさらながらジョブ型労働社会の常識に基づいて作られた雇用政策が、メンバーシップ型労働社会に持ち込まれると奇怪な化学反応を起こしてしまう―という事態に"嘆息"をつかざるを得ません。」 

ここは、僕であれば"嘆息"どころか「現状を憂うあまり抱えたアタマがしばし上がりません…」くらいに表現させていただきます…。

「・・・今回問題となった労働移動支援助成金とは、リストラに対する欧米的な捉え方を前提にそれまでの雇用調整助成金型の「ひたする雇用維持だけをめざす」政策から、会社側の理由による雇用変動を外部労働市場を通じていまく処理していこうという、それ自体としては何らおかしくないヨーロッパでもごく普通に見られる政策思想で作られたものであるわけです。しかし、肝心の会社側がジョブ型ではなく"メンバーシップ型にどっぷり浸かったまま"で制度を活用しようとすると、会社側の理由ではなく、本人が「ローパフォーマーだからお前の責任だ」と言わんばかりの(情緒的なわけのわからない)文脈で使われていってしまうという事態になるのでしょう。・・・しかし、こういう筋道がきちんと腑に落ちるように「わかる」ためには、そもそも最初に「職」があり、しかる後にそれに就けるために「ヒト」を採用するーというジョブ型感覚がなければなりません。「メンバーシップ感覚」にどっぷりと浸かった人であればあるほど、それが全然わからないのです。…マスコミ報道では表層しか見えませんが、ここに露呈しているのはまさにジョブ型感覚とメンバーシップ感覚の「壮絶なズレ」そのものだというべきでしょう。」

まさしく同感です。そして、この「壮絶なズレ」を日々目の当たりにしている僕ら一人ひとりが、いま、そこで働いているこの日本の雇用社会を「よりよく」していくために、何ができるのか?・・・これは僕たち自身にとって、そして若い世代にとってはなおさら極めて切実な課題でしょう。

本来、日本の雇用政策は「ジョブ型」(世界の標準形)を狙ってデザインされていたはずです。私見では、いまある「労働契約法」に、少しずつ改善を加えながらあるべき方向にシフトしていくのが望ましいと考えますが、いかがでしょうか?(労契法を「小さく生んで大きく育てる」イメージ...)

ご感想ありがとうございます。
この辺の「ずれ」を一つ一つ説明していくのが、わたくしの務めなんだろうな、と持っています。

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