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2016年5月25日 (水)

和田肇『労働法の復権』

07124 和田肇さんの新著『労働法の復権 雇用の危機に抗して』(日本評論社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7124.html

雇用の危機に対して、労働法学がどのような処方箋を提案すべきかを説く。労働時間法制、非正規雇用問題などを中心に検討する。

前著『人権保障と労働法』に比べても、更にいっそう時論的性格を強め、とりわけ近年の規制緩和的な法政策に対して、舌鋒鋭く批判を加えています。その鋭い切り口に快感を感じる方も少なくないと思われます。

批判の対象はきわめて広汎に渡り、その中には私のジョブ型正社員論も含まれています。

ただ、正直言って、その批判の趣旨はよくわかる一方で、いささかの違和感も感じるところもあります。

和田さんは、ジョブ型正社員論に対して「正社員の階層化を意味し、ジョブ型正社員という美名の元で新たな身分状態が出現する」と批判されるのですが、とはいえ、一方で日本型の無限定正社員の姿には批判的で、その理想とする「標準的労働関係」の姿は、実を言えばジョブ型正社員に近いのです。

これまでも書いてきたように、ジョブ型正社員ないし限定正社員論には、ローパー社員の解雇をし易くしたいといういささか筋違いの議論と話が混じり合っている面もあり、議論に懸念を感じること自体には理解できる面もあるのですが、単なる批判は少なくとも日本の文脈においては、無限定型正社員になることを良いことだと主張していることになってしまいかねない面があることも考慮する必要があるのではないかと思います。

序論 雇用社会の持続可能性と労働法

第1章 二つの危機と雇用社会

 第1節 リーマン・ショックと雇用社会

 第2節 3・11大震災等と雇用社会

第2章 アベノミクスと雇用改革

 第1節 成長戦略としての雇用改革

 第2節 労働時間の法政策

 第3節 労働者派遣法の政策と基本原理

第3章 ディーセント・ワークの実現に向けて

 第1節 雇用形態と労働者像の多様化とは

 第2節 標準的労働関係モデルの再構築

 第3節 非正規雇用と均等待遇

第4章 労働組合の未来

第5章 良質な労働と持続可能な雇用社会

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