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2016年5月26日 (木)

欧米の労働組合は中国への市場経済国認定に反対

Japan_g7今日から伊勢志摩サミットですが、日本以外の欧米各国の労働組合がこんな声明を出していました。

https://www.etuc.org/press/afl-cio-clc-etuc-statement-granting-market-economy-status-china

The American Federation of Labor and Congress of Industrial Organizations (AFL-CIO), the Canadian Labour Congress (CLC) and the European Trade Union Confederation (ETUC) strongly reject the granting of Market Economy (MES) to China.

アメリカ労働総同盟産別会議、カナダ労組会議及び欧州労連は、中国に市場経済国の地位を与えることに強く反対する。

中国がWTOに加盟して15年、年末にこのまま自動的に市場経済国の地位を与えるか否かをめぐっていろいろと対立が深まってきているようですが、米欧の労働組合はこの問題にかなり強い姿勢を示しているようです。

労働組合の関心事からすると、中国の労働問題は懸念すべきことが多く、

China does not uphold the principle of fair competition in its trading relationships. Moreover, interference in trade union affairs – indeed state control of trade union organisations – and the lack of free collective bargaining should be raised in this context with the Chinese authorities jointly by the EU and the US. Granting MES to China would remove any incentive for China to move from a state-led economy to a social market economy, to respect labour standards and to create a global level playing field.

中国は通商関係における公正競争の原則を維持していない。さらに、労働組合問題への干渉-実際国家による労働組合組織のコントロール-と自由な団体交渉の欠如は、この文脈で中国当局によってEUや米国とともに取り上げられるべきである。中国に市場経済国の地位を与えることは、中国が国家主導経済から社会的市場経済に移行し、労働基準を尊重し、グローバルな公平な土俵を作るインセンティブを失わせることになる。

Trade liberalisation can never be a goal in itself and without any conditions. Trade policy should be based on the principles of fair and balanced trade: creating added value, reinforcing labour standards and human rights, promoting sustainable development, improving living standards and working conditions for all.

貿易自由化はそれ自体が無条件に目的ではあり得ない。通商政策は、付加価値を生み出し、労働基準と人権を強化し、持続可能な発展を促進し、万人の生活水準と労働条件を改善する、公正でバランスのとれた貿易に立脚しなければならない。

日本の労働組合はこれに加わっていないという点も含めて、いろんな意味で世界の労働状況を考える素材になります。

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コメント

安易かつ硬直した反自由貿易の提言に加わらないことで、逆に日本の労組の見識が示されたと思ってます。
提言の内容は、欧米左派の決まり切った話ばかりで、とりたてて話題にする価値はない。

逆ではないですか?

自由貿易という理念自体は否定しないが、中国における労働運動や労働基準の問題はきちんと異議を申し立てるというのは、それこそ労働組合のあるべき姿であり、正しい意味での「左派」でしょう。

そういう本来いうべきこと(だけ)には口をつぐむどこかの国のリベラル左派の方が、世界標準から見たら奇妙に映るのではないですか。

独・英・豪のリベラル派も親中親露ですし特に先進国基準から離れているわけではないと思います。濱口さんは批判的ですが日本の左派(民主左派・社民のことか?)が欧米のそれよりレベルが低いということはないと思います。今人気のコービンやサンダースなんか相当酷い。

政治状況は各国で違うのだから日本のリベラル及び労働勢力が欧州と捻じれてもいいと思うんですよ。とりあえずメルケルやキャメロンから学んで財政規律を重視し消費税増税を推進し、政府の肥大化は否定しつつ中福祉を目指すのはどうだろうか。

そもそも、「親中親露」などと、ものごとを国家単位でしか考えられないという時点で、左派もくそもない気がしますが。

その国の政府がどうあれ、労働者がどういう目に遭っているかに関心が集中するのが本来の左派だと思いますが、それに一番遠いのが現状のようです。

>そもそも、「親中親露」などと、ものごとを国家単位でしか考えられないという時点で、左派もくそもない気がしますが。

まず目的は国内労働者の権利向上だと思います。そもそも、普遍的に全ての国の人権問題を公平平等に批判する組織はないですし、「なぜ中国について批判しないのか?」は個別の問題を世界規模に相対化してまともな議論をできなくするための日本の右派のお決まりの文句。

これだか多様化しているのだからインターナショナルのように変に国際的に基準を作る意味を感じない。

はまちゃん先生の”左派もくそもない”のくそはいけません。どうも気品高きエントリ文とコメントへの反応(反射ではありませんよ)に何ともいえない差異を禁じ得ません。
ただ、あああさんを何も存じませんが、”多様化しているのだから”と仰るのですから、インターナショナルなる国際基準もなければ仰るように個別化(分化から細分化へ)なのですから同時に国内基準=労組もないのが新自由主義(悪い意味で使っておりません)の好き嫌いは関係なき解釈です。ニュートン力学の絶対時間をアインシュタインが相対性理論(相対時間)で壊したとした謝って進歩したとしてきた科学主義の進歩信仰解釈と同じで、アインシュタインはニュートンを包括しただけのものです。分野違いとお笑いの方々も多いとは存じますが、私の稚拙な感想を述べさせていただくならば、理論対立ではない物語を主とする政治対立で生産性は何もないと感じられます。ご両人にご無礼申し上げました。

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