西川幸孝『マネジメントに活かす 歩合給制の実務』
西川幸孝さんから『マネジメントに活かす 歩合給制の実務』(日本法令)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.horei.co.jp/item/cgi-bin/itemDetail.cgi?itemcd=2472472
歩合給制の現状と歴史を概観し、現在の企業における歩合給制の実態や法的背景と問題点、今後の可能性を考察。裁判例や通達を掲げつつ実務へ役立てるためのポイントを示した書。
いやしかし、労働実務書は数あれど、歩合給だけを取り上げた本というのはあまり見たことがありません。いや、戦前から戦時中の賃金に関する本なんかだと、歩合給制というのが大きな分量を占めているんですが、戦後はあまり論じられなくなり、こういう本もほとんど類例がないように思います。
あとこの目次をみると、実務書ではありながら金子良事さんの『日本の賃金を歴史から考える』や私の本などからかなり引用されていて、研究書的な色彩もあります。
目 次 はじめに 1 第1章 歩合給制の現状と歴史 9 1 出来高払制とは 10 2 歩合給制に対する批判の論調 11 3 労働契約に関する法律定義 13 4 欧米における出来高払制 17 5 F.テーラーの取組みとそれ以降の展開 18 6 日本における出来高払制に関する歴史的経緯 19 7 近年の出来高払制の適用状況 21 8 雇用契約の2つの系譜 24 9 メンバーシップ型雇用 26 10 ジョブ型雇用 27 11 正社員、非正規社員の区分 29 第2章 歩合給制の法的側面 33 1 平均賃金の算定方法 34 2 残業代をどのように支払うか 35 3 年次有給休暇を取得した場合の賃金 37 4 出来高払制の保障給 39 労働者の責により労働に従事しない場合 40 使用者の責に帰すべき事由により休業を余儀なくされた場合 40 業務に就いたものの、歩合給が極端に低くなった場合 41 自動車運転者についての特別な扱い 42 5 歩合給と最低賃金 43 6 社会保険の扱い 44 第3章 歩合給制と経営合理性 47 1 経営にとって望ましい賃金構造 48 2 人件費の変動費化が経営にもたらす影響 48 3 損益分岐点に係るモデルケース 51 4 労働時間の変動が賃金に与えるインパクト 54 5 付加価値の創造と賃金 56 6 労働時間の変化と固定給制、歩合給制 58 第4章 賃金とモチベーション、ルール支配行動 61 1 仕事における満足と不満足:「動機づけ・衛生理論」 62 2 衛生要因としての歩合給、固定給 63 3 行動の原則:行動分析学の考え方 65 4 ルール支配行動 67 5 歩合給制はルール支配行動を起こす 67 6 人事評価制度はルール支配行動を起こすか 69 7 もう一つのルール支配行動「長時間労働」 71 8 行動は必ずしも「意志」によらない 72 9 長時間労働がもたらす健康問題とコストアップ 73 10 長時間労働をどのようにして防ぐか 76 11 業務効率を人事評価の対象とすること 77 12 労働時間のマイクロマネジメント 78 13 定額残業代方式の採用 80 14 みなし労働時間制の採用 82 15 歩合給制の採用 85 第5章 歩合給制の実務考察 87 1 歩合給制で保つべき原則 88 戦略性 88 明確性 88 規範性 89 公平性 90 安定性 93 2 歩合給制の構成パターン 93 オール歩合給制 94 固定給+歩合給:歩合給主体型 94 固定給+歩合給:固定給主体型 96 3 歩合給の設定方法 98 その賃金は歩合給といえるか 98 歩合給の設定例 99 4 出来高払制の保障給 106 保障給は歩合給である 107 月額固定の保障給 107 保障給が固定給と判断された例 110 保障給の設定がない場合 111 保障給の規定方法 112 5 歩合給制と労働時間管理、定額残業代の問題 115 歩合給制と定額残業代 115 歩合給の一定割合を割増賃金として支給する方法について 117 転機となった最高裁判決とそれ以降の裁判例 120 修正定額残業代方式の歩合給制 125 6 自動車運転者に適用される特別なルール 125 保障給に関する通達 126 累進歩合制度の禁止 127 累進歩合制に関する裁判例 130 第6章 歩合給制と労働条件の不利益変更 131 1 歩合給制と労働条件の不利益変更 132 2 労働条件不利益変更の法理 133 3 歩合給制と就業規則・賃金規定 135 4 賃金制度をコントロール可能な状態にしておく 136 5 歩合給制に関連した労働条件不利益変更の裁判例 138 第一小型ハイヤー事件 138 第四銀行事件 140 新富自動車事件 141 大阪京阪タクシー事件 145 6 賃金制度(歩合給制)の不利益変更の留意点 147 スケジュールに基づき実施する 147 就業規則を通した変更とする 148 説明と情報提供を適切に行う 149 不利益の程度の限界 149 代償措置を検討する 150 7 激変緩和措置について 150 旧賃金制度による計算額の一定割合を確保する方法 150 新旧賃金制度の差額を一定割合補てんする方法 155 第7章 歩合給・出来高制のすすめ 157 1 産業構造と職務内容の変化 158 2 従来型雇用形態の限界 160 3 フリーランスと歩合給社員の違い 163 4 オール歩合給制のワークスタイルの前提 164 5 時間請負型の歩合給制 164 6 業務の標準時間が設定できる職種への歩合給制適用の可能性 166 7 オール歩合制に付随するその他の労働条件 167 労働時間制 168 年次有給休暇の賃金 169 保障給 169 8 歩合給制と評価 170 9 プロフェッショナルとしてリスペクトすること 171 資料編 173
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