『日本の雇用と中高年』に力作amazonレビュー
一昨年刊行の『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)に対して、海上周也さんによる長大で突っ込んだamazonレビューがアップされています。
「Hamachan」の名で知られる労働政策研究者、濱口桂一郎氏。わが国の雇用労働問題が象徴的かつ端的に現れる「中高年」というテーマに焦点をあてることで、本書は「若者と中高年の雇用問題」「日本型雇用と高齢者政策」「定年」「年齢差別禁止」等の中高年に関連するトピックスを縦横無尽に論じています。
その中で、わたくしのスタンスについてこういう評価をしていただいていることには、感動いたしました。
・・・そこで、日本の現状をわかりやすい言葉で説明するためには、いったんわが国の雇用システムの「外」(アウェイ)に立ち、日本の社会経済の歴史的事実も踏まえて冷静かつ愛着をもって記述していく必要があります。ただ、そこで自分自身の立ち位置を完全にアウェイにしてしまうと「日本は特殊でガラパゴス、だからダメだ」という単純な現状批判(日本を非とし、世界を是とする姿勢)におちいってしまいます。
おそらく濱口氏の著作が大勢の読者から支持されている最大の理由は、元厚労省官僚かつ研究者という正統派のキャリア経験から滲み出るキレ味のよい分析力に加えて、日本人インサイダーとしての「愛のムチ」がほどよくブレンドされている点にあると思います。だからこそ、どの本を読んでも良識的な「語り」に安心して身を任せることができるのです。ただ、ときには厳しいスパイスの効いた警句をちらりと挿入するあたりなどは一種の職人芸を見ているかのようです。・・・
« 欧米の労働組合は中国への市場経済国認定に反対 | トップページ | 『新しい労働社会』第10刷 »
しかし、レビュータイトルが「「同一労働同一賃金」を議論する前に、本書を熟読しましょう!」となっているが、「~の前に、~を熟読しましょう」と言ってみたところで、ふだんから読書する層というのは限られるし、その《読書する層》の中でもだいたいが、いくら強調してみたところで(このブログでおなじみの)池田さん程度の本で満足というかわかったつもりになってしまう人たちであるというのが、おそらく実情なわけでして…
投稿: 原口 | 2016年5月26日 (木) 13時02分