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新ジョブ・カード制度@WEB労政時報

WEB労政時報のHRwatcherに「新ジョブ・カード制度」を寄稿しました。

https://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=521

昨年9月に成立した青少年雇用促進法は、実は勤労青少年福祉法と職業能力開発促進法の二つの法律の改正法でした。このうち前者については事実上全面改正で、本連載でも何回か取り上げてきたところです(「若者雇用法」作成中〔2014年12月26日〕、労働法教育の努力義務〔2015年3月27日〕、青少年雇用促進法の指針〔2015年10月9日〕)。内容的にも、情報提供義務、求人不受理、労働法教育など話題になるようなトピックが多く、注目を集めています。これに対し、もう一つの改正された法である職業能力開発促進法については、いささか地味なためか、あまり議論の対象になっていないようです。しかし、内容的にはいくつか注目すべき点もあり、少し前の経緯からまとめておきたいと思います。・・・>

と、今回の法改正の内容、新ジョブ・カード制度推進基本計画などについて説明しております。

なんですが、最後のところで、思わずこういう感想を述べております、

・・・こうした政策はもう10年以上にわたって進められてきているわけですが、その割りに日本の労働市場は一向にジョブ型に向かって進化しているようにも見えません。雇用システムと労働市場の在り方は複雑に絡み合い、ジョブ・カード制度一つで企業の人事労務管理制度が変わるようなものではないというのが現実なのでしょう。企業の中枢は依然としてメンバーシップ型の感覚を濃厚に維持したままで、ジョブ型を前提にした公的制度ばかりを手厚く完備してみても、それは労働市場の周辺でしか機能しないという状態が依然として続くのでしょうか。

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コメント

ブログいつも楽しみに拝見させていただいております!小職は、日頃より濱口教授と類似の問題意識をもつ実務家です(現在は某外資系法律事務所の人事部長です)。さて、日系大企業の「ジョブ型」への雇用形態へのシフトの可能性について、それが「いつ&どのようにして」なしうるのかという点に関し、いくつかポイントがあると思っています。1つは、やはり法制度改革。日本の雇用慣行や大企業の職能給&年功昇進制度の強固な運用実態を見るかぎり、最賃法と労基法賃金パーツを統合した、米国同様の「均等賃金法」(Equal pay act, 1963)のような強制力ある法律(労働刑法)が制定されない限りはジョブ型への移行は相当困難かと思われます。2つめは1点目と重なりますが、均等賃金法でいう「均等」の定義、つまり「職務価値」の評価に求められる3要素①インプット(知識・スキル)、②スループット(責任や負荷)、③アウトプット(仕事の影響・貢献度)も同様に同法内に明記すべきかと思います。職務価値の算定方法が各企業の任意(恣意)に任せられた場合、表面的には「ジョブ」(職務給)になっても実態は「能力給」(属人給)のまま何も変わらないということもありえます。そういうことで、手厳しいコメントになりますが「新ジョブ・カード」では、この難しいゲームの「ワイルドカード」にはなりえないかと…。

投稿: 海上周也 | 2016年4月11日 (月) 22時17分

実務最前線のお話は説得力ありますね。
しかも日本文化も織り込み済みであります。
外堀をじわじわと埋めていく斎一説的な役割をもつ進化説と、ガバッとひっくり返す激変説的な進化説がここでも生物学的に表現されているように見えてその筋の輩としては面白いですねえ。

ステレオタイプで茶化すなとご批判もございましょうが、海上周也さんのコメントを読むにつけアプリオリ的なやっぱりニッポンチャチャチャ現象(私造語ですのであしからず)といいますか、「あちら様もやられておりますよ。あなた様もお早くどうぞ」「えっ!急ぎお願いします」が始まり、しかしその帰結がこれまた海上さんのご指摘と同じく相当きつい縛りがないと勝手都合解釈な「日本式変異性ガラパゴス雇用契約シンドローム」なるインフル(これも私造語ですので)流行が、これまたそれを得手とするコンサルのお出ましでそもそもそっちのけのスミスさんもビックリ交換市場が出現しそうですね。カウンターパートこそこの場合は労組なのでしょうが、そこがまた…ネオリベ時代発症から早30年以上たっても病を患い中みたいでですねえ。日本にエスプリ文化がないことは承知の上で、しかし本気のコメントです。本ブログもコメントもいつも勉強になります。

投稿: kohchan | 2016年4月12日 (火) 07時43分

かつてジョブ・カード構想が打ち出された時、私自身はまだ労働法や雇用政策について全然無知でしたが、直感的に「ジョブ・カードに記載されている情報でしか評価されないような労働者を生み出してしまう」という反発を覚えたことを鮮明に覚えています。

その後、労働法を勉強し、濱口さんの議論に啓発されて、そもそも日本型雇用のもとで360度評価されるような労働者は少数派であり、さまざまな弊害を抱え、そのシステム自体が崩壊しつつあるという認識を得ましたが、ジョブ・カード単独で状況が変わることはないだろうという実感もあります。

ジョブ型雇用が普及するには、ジョブの仕事のパフォーマンスや能力が適切に評価されるという労働者側の信頼が得られる枠組み、もっと言えば労働者が帰属意識を持てる共同体的な実態が必要であるように感じます。

日本型雇用システムが崩壊しつつある現在、そのような共同体的な実態の形成は喫緊の課題でしょう。労組の延長上か、政府主導か、商業ベースでか、どのような形で生まれるのか予想はつきませんが、今後拡充されるべき職業教育が大きな役割をはたすべきであろうと強く思います。

投稿: 通りすがり2号 | 2016年4月12日 (火) 19時38分

そもそもジョブ・カードのおかげで就職できた人はいるのでしょうか? 

私の数多い転職経験でも、ジョブ・カードを作ったことは一度もありません。これからも恐らくないでしょう。

投稿: 国道134号鎌倉 | 2016年4月12日 (火) 23時34分

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