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2016年4月29日 (金)

性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方@自由民主党

自由民主党政務調査会性的指向・性自認に関する特命委員会が一昨日公表した「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」が話題になっているようですが、このLGBTの問題は最近労働法の世界でも結構話題になってきており、この「考え方」の中でもかなりの分量をとって雇用・労働環境の項目についても記述がなされておりますので、見ておきましょう。

http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/132172_1.pdf

<雇用・労働環境>

9. 従業員の多様な性的指向および性自認を積極的に受容する取り組みを行っている企業等が存在することを踏まえ、そうした事例を収集し広く情報提供を行うことにより、当事者が就職の際参照できるようにするとともに、他事業者の取り組み検討の参考に供し、後押しをすること。また職場における自主的な取り組みを促すため、ガイドラインの策定等の施策の検討を積極的に進めること。

10. 公正な採用選考についての事業主に対する啓発・指導において、性的指向や性自認に関する内容も含めることにより、当事者が不当な取り扱いを受けることを防止すること。

11. 解雇や退職強要に関し、労働契約法第 16 条において「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されていることを踏まえ、単に性的指向や性自認のみを理由とする解雇、あるいは服装等を理由とする解雇が同規定に該当し得ることに留意し、事業主に対する必要な啓発・指導を徹底すること。

12. 職場における性的指向や性自認に関するいじめ・嫌がらせ等に関し、男女雇用機会均等法第 11条及び同条に基づく「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」おいて、性的指向・性自認に関するいじめ・嫌がらせ等であっても同条および同指針におけるセクシュアルハラスメントに該当するという解釈をすみやかに通達等の手段により明確化にすること。同指針については、必要な手続きを経た上で、遅滞なく上記趣旨が明示的に記載されるよう改正を行うこと。

13. 性的指向・性的自認に関する事柄を背景としたパワーハラスメントを防止するため、「パワーハラスメント対策導入マニュアル」等に関連する記述を追加すること。

14. 都道府県労働局における総合労働相談コーナーや個別労働紛争解決制度において、性的指向や性自認に関する相談・紛争への対応も行っていることについて、一層の周知を図ること。

15. 上記 9.~14.の各点に関し、パンフレットや Web サイト等を活用して総合的に周知に努めること。また労働基準監督署、都道府県労働局、ハローワーク等の職員や相談員について、性的指向・性自認に関する研修を充実させ、事業主や労働者に対する相談や指導が適切に行われる体制を整えること。

16. 国家公務員および地方公務員においても、国家公務員法第 27 条や地方公務員法第 13 条の趣旨を踏まえ、職員の任用等において性的指向や性自認に関する不当な差別なく適切に行われるよう、必要に応じて措置を講ずること。また男女雇用機会均等法第11条や人事院規則10-10第4条に基づき、性的指向や性自認に関するセクシュアルハラスメントの防止に関する措置を講じること。各府省の人事担当者向けの勉強会の開催や、内閣人事局が実施する研修等において性的指向・性自認に関する内容を追加すること等により、各府省職員の理解の促進を図ること。自治体においても同様の取り組みを促すこと。

これを読んでいって、一点「あれ?」と感じたところがあります。

「性的指向・性自認に関するいじめ・嫌がらせ等であっても同条および同指針におけるセクシュアルハラスメントに該当する」というところです。

ハラスメントにもいろいろありますが、セクハラことセクシュアルハラスメントというのは、セックス(性別、ジェンダー)に関わりのあるハラスメントという意味ではなく、セクシュアルな(性的な)行為や環境を強制するようなハラスメントという意味で、普通の日本語で言えば、「えっちな」とか「すけべな」とか「いやらしい」とか、まあそういうたぐいの系列のハラスメントを指す言葉だったはずだと思うのですが、そうだとすると、この認識はどうなんだろうかと思われるわけです。

「性的指向・性自認に関するいじめ・嫌がらせ等」ってのは、つまり「この変態オカマ野郎」みたいな罵倒でしょうが、これって、あえていえば「女のくせに偉そうな口きくんじゃねえ」みたいな性別に関わるハラスメント(ジェンダーハラスメントということもある)に近いたぐいのものであって、その相手に対する性的な行為や環境を含意しているわけではないので、セクハラの一種だというのは大変違和感があります。

それとも世の中ではそれが違和感なく通用しているんでしょうか。

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コメント

というよりも、同じ政党内特命委で先般エントリの「単純労働者受け入れ」とこの「性的指向・性自認の多様なあり方を容認するわが党の基本的な考え方」はどのような整合性を持つのでしょうか?
「とりあえずride on timeな基本編であって、議員含め個別の応用編はいろいろ、社会もいろいろ。この鷹揚さこそわが党の伝統であるのであ~る」とすでに聞こえますが(笑)。今やリサーチ型代表制民主主義である限り大政党の”これ”は国民意識レベルと相似すると考えられ、するとそんなに無理しなくてもいいのに。ですから多数を形成する”世の中”も今は違和感はないのですよね。”今”だけを切り取ればですよ。

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