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2016年3月 4日 (金)

セバスチャン・ルシュヴァリエ『日本資本主義の大転換』

0610870セバスチャン・ルシュヴァリエ著・新川敏光監訳『日本資本主義の大転換』(岩波書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/06/2/0610870.html

かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と称賛され,世界各国の注目を集めた日本経済の凋落はなぜ生じたのか.1980年代以降の日本経済の歩みを新たな枠組みで分析.「改革の遅れが原因」とする通俗的な見方を排して,一連の改革の失敗や問題点を指摘しながら,日本経済が現在どのような道を歩んでいるのかを明らかにする.フランス人研究者による新しい日本経済論!

フランス人による日本経済分析というと、今から30年~20年前に流行したレギュラシオン学派が思い出されますが、その頃のポストフォーディズムの熱狂の憑き物が落ち、失われた20年が過ぎた今、改めてこの30年間の日本の来し方を冷静に考える上で、こういう欧風制度学派のまなざしは役に立ちます。

まえがき

序章 なぜフランス人経済学者は日本の資本主義に興味をもったのか,そしてそれが日本にとってなぜ重要なのか

第1章 資本主義の多様性と資本主義の未来への日本からの教訓

第2章 J企業モデルの終焉?

第3章 日本の資本主義は今なお調整的なのか

第4章 現代日本の社会的和解の特質

第5章 新自由主義世界の教育システムとは

第6章 シリコンバレー・モデルが日本にとって唯一の道か

第7章 日本資本主義はグローバリゼーションに順応すべきか

終章 資本主義と新自由主義――日本からの教訓

監訳者あとがき

雇用システムに関わる論点としては、とりわけ第4章の最後のところで、平等社会から非平等社会への移行の本質として、「労働市場の再断片化」という概念を提案しています。

・・・労働市場の断片化が構造的にもたらされたにせよ、歴史的に見れば、それは戦後の亀裂に沿って強化されてきたといえる。今日議論されている日本の不平等は、1990年代に生み出されたものではなく、むしろずっと古く、終戦直後に形成された雇用制度、そしてそれに伴う不平等に関するもう一つの論争にまでさかのぼる。問題は、日本の賃金労働関係は、雇用保障創出のために断片化を必要とするのか、あるいは一時的に特定の種類の労働者を不安定な状況にさらすとしても、本質的には包摂的な制度であるのかと言うことである。本書の考えでは、断片化は、戦後の社会的和解にとって不可欠なものであった。したがって、日本の雇用システムは、三種の神器(・・・・)よりも、安定と不安定の均衡による労働市場の異なる断片の接合として定義される。このような均衡と妥協こそ、直接あるいは間接に新自由主義的な政策によって挑戦を受けているのである。危機ではなく、これらの政策こそが亀裂の真の源泉である。

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コメント

原文はフランス語ですか?こんな訳、私が担当編集ならおもいっきり雷を落とすところです。

>労働市場の断片化が構造的にもたらされたにせよ、歴史的に見れば、それは戦後の亀裂に沿って強化されてきたといえる

もっと磨ける。「日本においても労働市場の断片化が構造変化の一環として表れてきたのは事実だが、歴史的視野で眺めるならば、この断片化現象は戦後の亀裂をこそ母胎としていると思われる」 

それから「断片化」が何をイメージしたものなのか今一つイメージできません。パートとかアルバイトとか契約社員とか派遣社員とかOLとかの身分的雇用オプションが日本ではもともとやたら多いとこの著者は言いたいのでしょうか。「戦後の亀裂」も、イメージはできるけれどもっとうまい訳語を当てたほうがいいのではないでしょうか。

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