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2016年3月25日 (金)

今野晴貴『求人詐欺』

5138efwnwbl_sx331_bo1204203200_ 今野晴貴さんから新著『求人詐欺 内定後の落とし穴』(幻冬舎)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.gentosha.co.jp/book/b9623.html

日本の求人票は、どれも嘘かもしれない――。最近のPOSSEに寄せられる相談でもっとも際立っている問題、それが「求人詐欺」だ。背景には人手不足がある。いま、団塊の世代がリタイアし、少子化も進み、確実に企業の人手は不足している。そこで「嘘の高待遇」を打ち出して若者を採用し、使い潰して次を狙う、そんな事態が進行しているのだ。 内定後に起こるため、大学の教職員も、就職サイトの担当者も、行政も、まだ把握できていないこの問題。対策を待っていては、自分が潰される! そうなる前に、求人詐欺の実態、見分け方、対処法を伝授する。求人詐欺が横行しやすい業界研究付。人生をムダに遠回りしないための必読書。

目次は次の通りですが、前半はえぐい事例をこれでもかと並べ立て、後半はどう対処すべきかを実践的に論じています。

1 求人詐欺 典型的な6つのケース
2 こんな求人票がアブない
3 求人詐欺の見抜き方
4 求人詐欺の対処法
5 オワハラに負けるな
6 なぜこの業界は、労働者騙しが横行しやすいのか
7 日本の労働市場に求められる新ルール

最後の「日本の労働市場に求められる新ルール」は、ほぼそのまま下で紹介した『POSSE』30号の巻頭に載っています。内容的にも、理論的に踏みいった議論を展開していますので、それに関わって求人詐欺現象の雇用システム論的な議論にも繋がっていきます。

本書では余りそこまで議論が広がっていませんが、求人詐欺という現象は、同じく今野さんが取り上げたブラック企業現象と同じく、やはり日本型雇用システムが維持されながら崩れていくことを利用した現象であるという点に特徴があると思われます。

そもそも、職業安定法などが想定している労働市場というのは、まさにその内容が明確化されたジョブを単位にして求人と求職がマッチするという世界ですが、そのジョブが希薄な日本では、「入社」とは何でもやりますからちゃんと面倒を見てねというメンバーシップ設定契約なのであり、求人票の細かなことをあれやこれやと言いつのること自体が、社会的文法に反する愚かな行動なのですね。

もちろんそれが愚かなのは、そんな細かなことをぐちゃぐちゃ言わなくても、会社側が社員のメンバーシップを尊重し、企業別組合もそれを見張ってくれるという世界であることが前提で、それが崩れてくると、法の本来の精神に立ち返って、求人票に書いてあったことと違うではないかと言いつのる必要が出てくるわけです。

ところが、一方に日本型雇用システムの遺産を悪用して求人詐欺を行う悪徳企業がとりわけ新興サービス産業において続々出てきても、他方ではやはり従来型の日本型雇用をちゃんと維持している会社もあるわけで、そういうところからすると、まさに数年前にブラック企業現象について言われたように、「そんな求人と入ってからの仕事が違うのは当たり前じゃないか、ぐちゃぐちゃ言わずにやってれば良いんだ」という(かつてはそれなりに正しい面もあった)批判を今日の悪質な求人詐欺への抗議にもそのままぶつけてしまうということになるわけです。

いろんな問題の構造は共通しているのですね。

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コメント

このエントリでのはまちゃん先生のコメントは初めて(笑)私のみでしょうがしっくりきました(笑)。
ど~も本ブログの新参者としてコメント含め移行期にあるであろう(しなければならないであろう)日本式雇用(いわゆるメンバーシップ)を漸進的?にジョブ型と並行させながら持続可能な社会を再構築しようという壮大なご提案に対するそれを是とする(たまに反発も経済されておもしろのですが)綺羅星のごとく映る「本ブログをちゃんと読んでいればわかるだろ」式コメントにはいささかゲンナリしていたのですが、今回は胸にストンと落ちました(笑)。
特に所得依存者(労働者といえなよろしいでしょうか)はその人自身の出発点の雇用環境から今、未来へと時間のフローを着実に生活できることがその問題指摘と到達点提言なのでしょうが、どうもストック、いわば部分(特殊)均衡のような話に流れたりとしているような感じがしまして、たとえば実生活での耐久財購入(住宅ローン等々)に大きくますます依存する信用創造なる近代貨幣社会にしっかりと組みこまれている多数の生活者と経済はその併用時期にはどうなんの?って疑問でしたもので、ブラックをひとつの現象と記された箇所を見つけた瞬間にわたくしの誤解も解けたような?でもまだだなあと有意義な土曜早朝でした。
ちなみに豪快な著名先生は「ブラックに企業をつけるな。みとめたことになるではないか!」という趣旨のご発言をされ、だよねとも。

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