集団的労働関係法の時代@『法律時報』3月号
『法律時報』3月号が「集団的労働関係法の時代」を特集しています。
http://www.nippyo.co.jp/magazine/maga_houjiho.html
非正規労働者・非雇用就業者の拡大により労働組合法を軸とした規制枠組みが機能不全に陥る中、より広い視野で集団的労働関係法を捉え直し、限界を打破するための新たな構造と機能を探る。
「集団的労働関係法の時代」認識……野田 進
労働組合法のこれまでとこれからの課題――「労働者」の集団的な利益代表の観点から……竹内(奥野)寿
集団的労働関係法における権利・義務主体論の再検討……富永晃一
団体交渉・労働協約の機能と新たな法的役割――非正規労働者および非雇用就業者をめぐる解釈問題の検討を通じて……桑村裕美子
従業員代表制設計の検討課題……神吉知郁子
労働組合の変容と不当労働行為制度――労働契約的把握及び裁判所化からの脱却……緒方桂子
労働委員会制度の実情と課題……山下 昇
主として若手研究者による意欲的な論考が並んでいますが、その中でも特に必読なのは、竹内(奥野)寿さんの論文です。戦後確立してきた複数組合平等主義に対して、労組法の立法時の経緯も踏まえて、なかなか言いにくい議論を果敢に展開しています。
現行の判例では、労働組合の団交権はもっぱらその組合員のためのものだということになってしまっていますが、それで良いのだろうかという問題意識です。これは、実は今現下の課題である非正規労働者の処遇問題を集団的労使関係を使って取り組んでいこうとする時にまず最初にぶち当たる問題でもあるわけですね。
この問題をあくまでも労働組合という切り口から論じる竹内(奥野)論文に対して、もう一方の切り口が神吉さんの論じている従業員代表制です。この二つは、形式論理でもって一方は憲法28条で他方は憲法27条だなどとうそぶいていれば済む話ではなく、まさに目の前の問題をどの武器でどの様に切り込むかという密接不可分の関係にあるわけです。
他の論文も含めて、この号の特集は学習指定文献ですな。
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