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2016年3月10日 (木)

ケアエコノミーこそ成長への道

Itucさて、育児や介護をめぐる議論がかまびすしい昨今ですが、そういうときに是非じっくりと読むべき(正しい意味での)経済的観点からの報告書が、国際労連(ITUC)から出されました。題して「ケアエコノミーに投資せよ」(Investing in the Care Economy)。

本体は

http://www.ituc-csi.org/IMG/pdf/care_economy_en.pdf

プレスリリースは

http://www.ituc-csi.org/investing-in-the-care-economy-a?lang=en

にありますが、連合さんがわざわざ日本語の要約を作ってくれているので、それを見ましょう。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/kokusai/siryou/data/ituc2016report/care_economy_ja.pdf

まずもって、世界の労働運動が立脚する基盤はれっきとしたケインジアン経済学です。どっかの得体の知れないもどき経済学じゃありません。

公的投資を増やすことは、雇用と経済成長を刺激し、近年の緊縮政策より効果的に不況から脱する手段を提供する。・・・・

失業率の高い、あるいは失業の蔓延している時期に行う公的投資は、ケインズのマクロ経済理論に由来する。議論の中心となるのは、失業や不完全雇用は経済の有効需要が欠如しているためであり、需要の欠如は、商品の市場がないことによる民間投資を抑制する。そのため、政府はこの格差を埋め、雇用を促進し経済回復を助長するためには、経済に直接的投資をすべきである。このような投資は完全雇用を含めた資源を確保するだけではなく、生産性を高め、成長率を上げていくことも必要である。

公的投資は投資が行われる活動(例えば、住宅建築あるいは保育サービスの提供など)に直接雇用を創出するだろう。しかし、必要な原料や初期投資のためのサービス産業の仕事も創出する(間接雇用効果)ので、他部門にも波及し相乗効果を生むだろう。さらに、これらの仕事により創出された雇用の拡大は、世帯収入を拡大するので、食品、衣料、住宅、ケアサービス、娯楽などの世帯消費につながる商品やサービス全体に新しい需要を生む(雇用誘発効果)。

つまり、政府投資により需要を経済に入れ込むことは、直接的間接的に雇用を生み、需要全体に景気拡大の効果を与える。このように公的投資をすることは、需要を拡大し、経済を不況から立て直す手助けになる。

このような戦略の利点は、時期を得た初期投資がその価値以上に社会に利益を生み出すので、公共財政赤字の拡大や初期段階の借り入れを正当化することができるということである。支払わなければならなかったはずの失業保険や社会保障も縮減さえるので公費の節約となるだろう。新しく雇用された人々は税金を支払うので、長期的に見れば、投資の利益(リターン)となるだろう。例えば、橋やケアサービスへの投資では、その利益(リターン)は、運行時間の短縮や、さらに健康な生産年齢人口の増加によりもたらされる。

しかし、国際労連は旧来のケインジアン風の道路や橋などの物理的インフラよりも、教育、ケア(育児介護)、ヘルスサービスなどの社会的インフラを重視します。

通常、公的投資戦略を採択した政府は道路や橋など物理的インフラに投資する。社会全体の富を高め、長期的に利益をもたらすからである。本報告では、社会インフラ(基盤)への投資による利益として、よりジェンダー平等であるが類似したものを示し、特にケア産業に着目している。教育や保育への投資も社会全体に同じような利益をもたらす。このような投資は、さらに高い教育やより良い保育を受けた子ども達がより生産的で幸せな大人へと成長することで徐々に利益を生んでいく。社会インフラ(基盤)への投資としてケア産業へ投資するのも同じ理由である。

本報告において、社会インフラ(基盤)への投資により男女への雇用効果に関する実証研究結果やケーススタディによる論理的議論を提示している。低成長で失業率の高い失業の蔓延した時期に公的投資をする必要性を述べている。物理的インフラ同様にケア・インフラへの投資の重要性を強調し、研究結果を示す事例が相次いでいる状況を鑑み、建設産業およびケア産業への公的投資を増やすことで雇用へのプラスの影響が見込まれている7ヶ国(オーストラリア、デンマーク、独、イタリア、日本、英国、米国)の分析から新しい実証的事実を提示している。

我々の分析では、建設産業でもケア産業でも投資により雇用は大幅に生み出されている。仮にGDPの2%をケア産業に投資し、そして産業転換せず、あるいは他の産業に労働力供給せずに投資を増加できるのであれば、国によるが2.4%~6.1%といった範囲で雇用の増加が生じる。つまり、米国で1300万近く、日本で350万、ドイツで200万近く、英国で150万、イタリアで100万、オーストラリアで60万、デンマークで12万近くの新たな雇用が創出されることになる。

結果として、女性の雇用率は3.3%から8.2%(男性は1.4%から4.0%)に増加し、正確な数字は各国の特性によるが雇用における男女間格差が減少する(最大で米国の50%、最少で日本とイタリアの10%)。建設産業で同じレベルの投資を行えば、新しい雇用は創出するが(ケア産業への投資の)半分程度で、雇用における男女間格差は減少するどころか上昇する。

加えて、保育と社会的ケアの双方で新しい雇用を創出し投資を行うことは現代社会に立ちはだかる経済社会的主課題をいくつか解消するだろう。例えば、生産性の低さ、ケア不足、人口統計上の変化、有償・無償の労働における長引く男女間格差。

我々の調査結果は、雇用拡大を模索する政府は公的投資を増やすべきであること、現在のものよりもケア・インフラに投資すべきだろうと主張が強いということを示している。ケア産業への投資は、大幅に雇用を創出することに加え、ケア不足に対処し男女間格差を減少させる。このような政策は不況から脱出し景気を盛り上げるだけでなく、より包摂的な開発モデルを創出する。

だから、保育所や介護施設への公共投資は、デフレ脱却にもいいし、世の中の福利向上にも役立つので、一番いい経済政策だよ、というわけですね。

どっかの「りふれは」は目の敵にするかも知れませんけど。

http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20160310#p1

共産党が保育園問題で声高だけど、経済学の初歩的な知識によれば、待機児童問題の根源は、価格規制にある(補助金が実現する低価格維持→恒常的超過需要)。価格規制をやめれば待機児童問題の解消が大幅に前進する。だがそれを拒むのは保育労組などの既得権団体。共産党もそれらの既得権団体のコア。

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コメント

考えてみればアダム・スミスが経済学という新ジャンルを開拓したきっかけは、富の本質は金銀でも農作物でもなく、労働の質と量だって喝破したことなんですよね。

あくまでも日本にあてはめた場合は歴史的に家族にそして企業に依って成り立たせてきた福祉による経済サブシステムの社会化による強化が・・・との注釈がよりこの提言を日本人にとってリアルに感じられるものとなると思われます。そして雇用創出により今よりもその財源主体が防貧機能を受け持つ「社会保険」となり、スティグマ等にさらされやすい「税」は救貧に、それもスティグマを防ぐには納税を義務ではなく権利に移行させることも同時進行されるとずいぶん景色は違ってくるのではと思われますね。
ちょうど保育ツイートが国会でも取り上げられておりますが、発信技術の細分化が呼び込んだミクロの産物であるならば、チャンスですからあとはそれをマクロ解決する方補論に期待したいところですが、政治は所詮は投票極大化こそ最大の目的ですのでその労組等も独立して立ち位置を考え直さないとより厳しい立場に追い込まれるのではと思われます。帰結としては「誰がこんな社会を望み創ったの?」と気づく人々がどのくらい出てくれるかのよい意味でのデモクラシーの進化か?あるいはそれに期待せず情報開示を根拠にした賢者や識者への委託か?なのでしょうか。
ここまでいくと結局は本ブログで数多語られてきた「底なし沼のような諸問題」すべてが浮き上がってくる気がいたします。メンバーシップ・ジョブ然り、LGなる大学教育然り、定常然り、これまでも然りこれからも然り。

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