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2016年3月16日 (水)

濱中淳子『「超」進学校 開成・灘の卒業生』

27692562_1濱中淳子『「超」進学校 開成・灘の卒業生 ─その教育は仕事に活きるか』(ちくま新書)を編集部の松本良次さんよりお送りいただきました。松本さんは以前に『日本の雇用と中高年』を担当していただいた方です。

http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480068798/

さてしかし、このタイトルだけ見たら、なんだかいかにも売らんかなのいささか際物めいた本という印象を受ける方もいるかも知れませんが、さにあらず。

著者の濱中淳子さんは、『検証・学歴の効用』で労働関係図書優秀賞も受賞されている立派な教育社会学者です。

「受験の勝者が実力ある者とは限らない」「頭でっかちは打たれ弱い」あるいは「一三歳からすでに選別ははじまっている」「難関大学、優良大企業へのパスポート」…難関中高の卒業生について、よくも悪くも両極端な物言い、さまざまな印象がある。イメージだけで語られがちだったそれらを、アンケートをもとに、具体的な数字や事例で統計分析。超進学校の出身者は、どんな職業に就き、どれくらいの年収を得ているか。中学高校での経験は、卒業後にどれほど活かされているか。中高時代はどのように生活し、何に悩んだかなど、彼らの実像に迫り、そこから日本社会と教育の実相を逆照射する!

世間のイメージを実証で突き崩すという、まことに社会学者の本領を発揮する研究であるとともに、テーマがテーマであるだけにおそらく多くの人がついつい気になって手に取ってしまうような本でもあるという作りですな。

プロローグ 「超進学校卒業生」という人材
第1章 超進学校卒業生たちの仕事―全体像と多様性
第2章 リーダーとしての可能性―卒業生たちのソーシャルスキル分析
第3章 超進学校卒業生の葛藤―課される試練
第4章 開成卒業生と灘卒業生は何が違うのか
エピローグ 超進学校卒業生にみる日本の課題

ただまあ、こういう「超進学校」出身者と大学に入ってから初めて出合うことになった、それまではずっと公立学校を通してきた一地方公立高校出身者の視点からすると、「そう言われているほど違わないじゃん」というかつての印象を改めて重ね書きするような内容であったことも確かです。いやもちろん、レベルはだいぶ違うかも知れないけれど、質的な違いは感じない。

じゃあ質的な断層はどこにあるかというとたとえばクラスの半分が不良系だった公立中学校の雰囲気との間にあるんですね、経験的には。

それはともかく、最近灘だ開成だ麻布だ御三家だといった本が売れ線狙いで続々出ている中で、両校の校長を通じて卒業生に大規模調査を行ってそのデータでもって論じている本書は、やはり群を抜いているというべきでしょう。カバーにでかでかとご本人の顔写真が載っていますが、濱中さん凄い人です。

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