水町勇一郎『労働法 第6版』
いまや時の話題の「同一労働同一賃金」の代表的論者となった趣のある水町勇一郎さんですが、その教科書もきっちり2年ごとに改訂を繰り返し、早くも第6版となりました。
http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641144873
労働法の背景にある歴史や社会等の基盤を踏まえて労働法の理論と動態を明快に描く。多数の事例を通じての解説,裁判例の詳細な紹介・分析や理論的考察で,初学者から法曹をめざす人,実務家,研究者まで,幅広いニーズに応える。判例・立法の動向を反映した最新版。
というわけで、実は第5版と変わっていないのですが、今や多くの人が関心を持って見詰めていると思われるその話題についてのコラムを引用しておきましょう。317ページの「正規・非正規労働者間の処遇格差の公序違反性(私見)」です。
正規・非正規労働者間の処遇格差については、パートタイム労働者、有期契約労働者、派遣労働者、業務委託労働者など非正規労働者全体を視野に入れ、かつ、賃金のみならずその処遇(労働条件)全体を対象としながら、非正規労働者に対する合理的理由のない不利益取扱いを違法とする法原則を構築する方向で格差問題の漸進的解決を図っていくべきである。この原則の運用に当たっては、①個々の給付の目的・性質ごとに個別に「合理的理由」の有無を判断すること、②その判断において、労使間で正規労働者と非正規労働者間の利益を調整するための誠実な話し合い・取り組みが行われたかを考慮する解釈をトルコとがポイントになる。・・・・・
正規。非正規の均等問題と集団的労使関係を絡ませるという方向性は、菅野『労働法』とも共通し、適切な考え方だと思います。
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