『新しい労働社会』第10刷
本日、岩波書店より、拙著『新しい労働社会』の第10刷を発行するとの連絡をいただきました。
2009年の7月に刊行してから約7年弱ですが、この間、ずっと心ある人々に読み継がれてきたことを、著者として心より感謝申し上げます。 第1刷から中身はまったく変わっておりません。ひと言も変える必要なく、そのまま現在の状況下でもお読みいただけると思います。
たとえば、現在言われている労働時間規制の議論にしても、非正規の均等待遇の問題しても、この7年前の本で述べたことに付け加えることはほとんどないことを、むしろ、そこで強調したことをさらに繰り返し強調しなければならないことを、喜ぶというよりもむしろ悲しみたい思いもあります。
いや、新書本というのは本来そういうもの、むしろ10年、20年読み継がれるのが当たり前の本のはずですが、昨今そうとばかりも言えないような出たらそれで終わりの名ばかり新書本が溢れていますからね。
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このご本、アニメーターの知人に勧めたことがありますが、途中で投げ出されてしまいました。絵描き職人さんには少々辛かったかな。それでこう概説したら理解してもらえました。「水町先生の本は、喩えるならばバチカンがまとめたキリスト教の教義のオーソドックスな入門書で、濱口本は遠藤周作の『沈黙』だ。キリストの教えが九州に入ったらいつのまにかマリアが主役の宗教に読み替えられてしまって、その後密入国したポルトガルの宣教師がこの現実を前に絶望したそのときにようやくイエスが沈黙を破って語りかけてくる…それと同じドラマが、この本には書かれている」と。
投稿: くみかおる | 2016年3月31日 (木) 09時37分