地域限定をデフォルトに@『Works』
リクルートの『Works』134号をお送りいただきました。今号の特集は「転勤のゆくえ」です。
http://www.works-i.com/publication/works/
中身は次の通りですが、
はじめに:「転勤」の「これまで」と「これから」
第1章 これまで 転勤という施策の歴史、目的と効果を振り返る
●なぜ、企業には従業員を「転勤」させる権利があるのか/山中健児氏(弁護士)
●なぜ、日本企業に転勤が必要なのか/平野光俊氏(神戸大学経営学研究科 教授)
●転勤の目的と効果。企業のリアルとは
・幅を広げ、高い職責をこなすことによる人材育成効果/富士通
・顧客・場所を変えて組織の活性度を上げる/アステラス製薬
COLUMN1 転勤可能者の上乗せ賃金「転勤プレミアム」はいくらが適切か
●1500人調査で見えてきた個人にとっての「転勤」
そして、今 転勤という仕組みに、時代が変化を求めている
第2章 これから 未来に機能する転勤の仕組みをつくるには
●有識者が考える 転勤の未来像を描くために議論すべきこと
・費用対効果を検証し、転勤を限定的かつ透明な仕組みにせよ
/武石恵美子氏(法政大学キャリアデザイン学部 教授)
・転勤を試金石に、人事思想や人事権のあり方を見つめ直すべき
/佐藤博樹氏(中央大学大学院戦略経営研究科〈ビジネススクール〉 教授)
・転勤は原則廃止に。地域限定社員を標準とする仕組みへの移行を目指すべき
/大久保幸夫(リクルートワークス研究所 所長)
COLUMN2 外資系の転勤の施策は日本企業とどう違うのか
●企業が動く 転勤を見つめ直す、意味と効果
地方限定型導入で「転勤しない主力社員」を生み出す/野村證券
自己判断で転勤回避できる措置で、キャリア自律を促す/キリン
COLUMN3 地方銀行64 行による「地銀人材バンク」の挑戦
まとめ:「転勤はアリ」という基本前提を崩せるか/石原直子(本誌編集長)
この中でやはり一番明確に「転勤は原則廃止に」と打ち出している大久保幸夫さんの議論を紹介しておきましょう。
http://www.works-i.com/pdf/w134_1toku.pdf
曰く:
転勤は、正社員の夫と専業主婦の妻という“標準世帯”を前提にしたもの。多様な人材を組織に受け入れ、その人たちに最大の力を発揮させるダイバーシティ&インクルージョンの時代にはもう必要ありません
地域限定社員を雇用のスタンダードにする
そもそも、雇用とは“ローカル”なもの。基本的には、その地域における経済活動に必要な人材は、その地域で育てていく。そして、教育を受けた人は、投資をしてもらった恩恵を、地域の企業で働くことによって返していくというのが、本来の姿です
そしてその原則に対するむしろ例外として、
ある人が、余人をもって代え難い人材だというなら、年齢を問わずエグゼクティブとして抜擢し、ふさわしい報酬と職責を与えて、世界中のどこにでも送り出せばいい。本人が希望し、その能力が備わっている人には、ビジネスリーダーとして、どんどん仕事を任せるべきです
そして原則はあくまでも、
歴史的にどれだけ企業側の転勤させる権利が認められてきたとしても、これからは、本人が望むのでない限り、企業の一存で転勤させることが許されない方向に向かうべきだと考えます
これを受けて、編集長の石原さんも最後にこう締めています。
個人のキャリア自律を唱えながら「辞令1本で全国どこへでも」を維持したいというのは、やはり矛盾なのだ。この矛盾に、正面から向き合うべき時が、今なのではないだろうか。
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