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2016年2月23日 (火)

一億総活躍国民会議の資料から

本日夕方開かれた一億総活躍国民会議の資料が既にアップされています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai5/gijisidai.html

ここには多くの委員による資料が載っていますが、とりわけ水町勇一郎さんの提出資料が、ここ数週間ほど話題をさらっている同一労働同一賃金についての議論の行方をほぼ明確な形で示しています。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai5/siryou2.pdf

「日本での導入・実現可能性」という項の言葉を拾っていきますと、

◯ 欧州は職務給、日本は職能給(職務+キャリア展開)なので、日本への同一労働同一賃金原則の導入は難しいという議論がある。

◯ しかし、欧州でも、労働の質、勤続年数、キャリアコースなどの違いは同原則の例外として考慮に入れられている。このように、欧州でも同一労働に対し常に同一の賃金を支払うことが義務づけられているわけではなく、賃金制度の設計・運用において多様な事情が考慮に入れられている。

◯ これらの点を考慮に入れれば、日本でも同一労働同一賃金原則の導入は可能と考えられる。

◯ 「客観的な理由(合理的な理由)」の中身については、最終的には裁判所で判断され、社会的に蓄積・定着していくことが考えられる。もっとも、裁判所の判断は、事案に応じた事後的判断であり、その蓄積・定着には時間がかかる。

⇒法律の整備を行うとともに、欧州の例などを参考にしつつ、「合理的な理由」の中身について、政府として指針(ガイドライン)を示すことが有用ではないか。

と書かれており、これがこの安倍総理の発言のもとになっているようです。

http://www.kantei.go.jp/jp/97_abe/actions/201602/23ichioku.html

第一に、同一労働同一賃金の実現です。多様で柔軟な働き方の選択を広げるためには、非正規雇用で働く方の待遇改善は待ったなしの重要課題であります。

 本日は榊原会長からも大変心強い御発言がございましたが、同時に我が国の雇用慣行についても御意見がございました。また三村会頭からも御意見がございましたが、そうした我が国の雇用慣行には十分に留意しつつ、同時に躊躇なく法改正の準備を進めます。あわせて、どのような賃金差が正当でないと認められるかについては、政府としても、早期にガイドラインを制定し、事例を示してまいります。

 このため、法律家などからなる専門的検討の場を立ち上げ、欧州での法律の運用実態の把握等を進めてまいります。厚生労働省と内閣官房で協力して準備を進めていただきたいと思います。

 できない理由はいくらでも挙げることはできます。大切なことは、どうやったら実現できるかであり、ここに、意識を集中いただきたいと思います。

この安倍総理の言葉の中でもう一つ気になったのはこれですが、

第二に、高齢者就業の促進です。働きたいと願う高齢者の皆さんの希望を叶えるためにも、人口が減少する中で我が国の成長力を確保していくためにも、重要です。

 企業の自発的な動きが広がるよう、65歳までの定年延長や65歳以降の雇用継続を行う企業等に対する抜本的な支援・環境整備策のパッケージを『ニッポン一億総活躍プラン』の策定に向けて、政府を挙げて検討いただくよう、お願いします。経済界におかれては、再就職の受入れについても、御協力をお願いいたします。

「65歳までの定年延長や65歳以降の雇用継続」とあります。これも企業サイドからしたらえっとびっくりするトピックでしょう。

資料を見ていくと、これのもとになったのは樋口美雄さんの資料のようです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai5/siryou7.pdf

○ 一方、60歳代前半の就業率は6割程度まで高まっていることから、次の対応として、65歳までの定年引き上げや65歳以降の雇用継続を行う企業を支援し、実態を変えていくことによって、将来的に定年を引き上げる環境整備を図るべき。

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コメント

水町勇一郎さんの提出資料に基づき、はまちゃん先生が要約された文言を読むに限り、医師の専門性のより細分化されていくチーム医療の効果を高めるためにも、ともに働くコ・メディカル部門も医療機関での所属科ごとに専門に特化する卒後教育をすすめる医療従事者の労働契約は、今後よりこれまでの不完備契約から、より事前に完備契約に近い形態に変化で、同一労働〃一賃金のモデルにできる可能性はあります。
といってもそれはまだ高度医療機関に限りで、今期待される「かかりつけ医制」に求められる地域のプライマリ・ケアを担う小規模医療機関は、医師もコ・メディカルもとくに不足が問題化している看護師職は不完備契約に近く賃金と労働の合理性は経験年数とあとは存在地の潜在看護師との需給関係に依存(左右)されるでしょうね。やはりその潜在看護師の動向がカギを握るとすると、社会保障としての現物給付(保育・初等教育時期の育児と家事労働等)を含む再分配可処分所得をリアルに話し合われることを期待せずにはいられません。以前よりの私の持論ですが、同一労働同一賃金に再分配可処分所得への突破口は医療労働にありと思っており、看護学専攻学生を日頃より洗脳しておりますので、唯一危惧は、会議委員が「総活躍」なる言葉に囚われ、政治に都合のよい総花議論を制してくれることです。

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