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2016年2月 3日 (水)

権丈善一『ちょっと気になる社会保障』

214133あれ?この表紙の絵は何だ?へのへのもへじ、の右上にあるのはへめへめしこじ?はぁ?

と、表紙からして「ちょっと気になる」本をいただきました。おなじみ権丈善一さんの『ちょっと気になる社会保障』(勁草書房)。

http://www.keisoshobo.co.jp/book/b214133.html

若者は高齢者に搾取されている? 賦課方式から積立方式への抜本改革が必要? 制度解説に終始したり、いたずらに世代間対立をあおる社会保障論議に意味はない。社会保障制度とは、そもそもどんな論理で設計されていて、状況にあわせ今後どのように変えていくべきか。「社会保障というシステム」の根本からわかりやすく学び、教えるための入門書。

今まで本ブログでもその都度紹介してきた権丈節を、よりもっと一般向けに、てことはつまり、社会保障がよくわかってない、というかむしろ、世にはびこるインチキ論者にたらし込まれて社会保障を誤解しちまってる善男善女のみなさまに、力の限りわかりやすく説明してあげようと書いた本、ということになりますね。

目次は下にコピペしておきますが、とりあえず本屋さんで見つけたら、「はじめに──社会保障なんか信用ならん!?」を読んで抱腹絶倒して下さい。

社会保障って、なんだか気になるんだよね。ちょっと知りたいと思うんだけど、なに読めばいいんだろ。政府の資料もいろいろあるみたいだな。でも、なんか胡散臭いしなぁ。となれば、テレビで見たことのある人の本やよく売れてそうな本を読めばiiのかな。なるほど、これはおもしろいぞ、政府っていつも国民を騙そうとしているわけか。うんうん、そうかそうか・・・・・世の中はやっぱり陰謀で動いているんだよなぁ。・・・

そういう、「意識高い」っていうか、意識だけ高くって知識の乏しい(思いて学ばざれば・・・って奴ですな)「若いお兄さん」向けに、日頃の権丈節を少し抑えて分かりやすさ最優先で書いてます。

権丈節はいささか玄人向け的なところがあって、ひねりをもう一ひねりしちゃうので、分かってる人は読んでニヤリとするけれど、そのニヤリにもってくるまでが素人にはちょっと、というところがあるんですね。そこが、この本は、(それでもひねりすぎの箇所は結構ありますが)素人さん向けのやさしいひねりになっていて、素直に読める本になってると思います。

たとえば、年金は保険だよ、って話も、こう素直にひねってます。

・・・たとえば今、自動車保険に加入している人のところに証券会社のお兄さんがやってきて、あなたが支払っている自動車保険料を私に預けていただけましたら、もっと利回りよく運用しますよっと。そういう勧誘に乗って、普通自動車保険の保険料を株に回すでしょうか?「そうですか、私は自動車保険会社にダマされていたわけですね」と言って、それまで支払っていた自動車保険料を株の購入に回しても構いませんけど、自動車事故に遭ってしまったら、目も当てられないくらいの不幸でしょうね。

目次は以下の通り。「知識補給」はやや高度です。

はじめに──社会保障なんか信用ならん!?

第1章 少子高齢化と社会保障
 就業者1人当たり人口の安定性と努力目標

第2章 社会保障は何のため?
 分配面における貢献原則の必要原則への修正
 将来の生産物への請求権を与える年金
 Output is centralという考え方

第3章 社会保障は誰のため?
 係数感覚に欠ける善良な市民
 生活保護と社会保険
 為政者の保身と社会保障政策
 救貧機能と防貧機能

第4章 社会保険と税
 税による貧困救済の扶助原理
 社会保険誕生の意味
 公的年金保険と生活保護
 税と社会保険の財源調達力
 トレード・オフの関係にある制度の「普遍性」と「安定性」の価値

第5章 社会保険と民間保険
 リスクと不確実性
 制度設計における公平性への配慮

第6章 保険のリスク・ヘッジ機能
 年金は保険であることを忘れさせた原因

第7章 長生きリスクとは

第8章 年金が実質価値を保障しようとしていることを説明することの難しさ
 社会経済の不確実性

第9章 結局,民間保険,社会保険,税の違いとは
 抑制と効率化の違い

第10章 社会保障がはたす3つの機能
 生活安定・向上機能
 所得再分配機能
 経済安定化機能
 社会保障制度の持続可能性と社会保障の機能強化との間の政治変動

第11章 建設的な社会保障論議を阻んできた悪気のないストーリー
 心優しい人たちを惑わせた図──社会保障給付費の経費別割合の見方
 論者に政府を憎ませる根暗な考え方
 歴史を知り,制度を知るということ

第12章 もちろん留意すべき世代間の問題

第13章 社会保障規模の国際比較と財政
 将来の話は名目値では論じてはいけないという話

第14章 今進められている社会保障の改革とは?
 子育て支援策
 医療介護の一体改革
 年金改革

おわりに

知識補給
 100年安心バカ
 世銀と年金とワシントン・コンセンサス
 日本の年金を世界がうらやましがっている理由
 生活保護とブースターとしての年金
 日本の年金の負担と給付の構造
 投票者の合理的無知と資本主義的民主主義
 保険としての年金の賢い活用法
 保険方式と税方式─最低額が保障されない民主党最低保障年金?
 社会全体で助け支え合うということ
 高齢者の貧困救済と,いわゆる世代間格差との選択
 社会保障に関するふたつの国民会議とは?
 公的年金の財政検証,そして平成26年財政検証の意味
 バカ発見器?のひとつ─スプレッドへの理解


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コメント

特に第3~5、9~10章は私としてはよ~く読んでいただきたい。(来期の受講生へ告ぐ!)
そして多くの方々を惑わし当惑させる部分は、はまちゃん先生ご指摘通り「知識補給」です。
そしてここにこの本の各章と私たちが今生きているリアル社会の時間軸を利用した接点を見つけることができ得れば、お安い買い物であったと時間とコストの費用便益上も納得できるでしょう。
というか、初めての方は「権丈さんってどんなひと?」ってやや危険性もあり得るようなニヤリ・エッセイです。

あらゆるところに頻繁にお邪魔してお詫び申し上げます。

権丈さんの新刊「ちょっと気になる社会保障」を読まれるにあたり、本ブログ常連様方々は別といたしまして、小生の関係する若者及び初心者の方々には社会保障に対する知的誘いとともに、読者の感性にもある種の「平等性」があったほうがよいと思っておりましたら、ありました!
池田信夫氏著「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本の自由』を読んだら」をお勧めします。
ご本人が「アゴラ」にて本日自らパブリシティされておりますので絶好かと存じます。
氏へのご批判方が絶対多数とのブロガーの皆様には「おまえバカか」と罵られそうですが、それはそれで理もあれば、より権丈さんの意図と心意気も感じられると存じます。一方診て沙汰するな!(診ての漢字使用は小生の属性により)。

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