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2016年2月 3日 (水)

中対オルグ60年

中対オルグといっても、よほどの労働専門家でなければ分かる人はほとんどいないでしょう。労働組合の中の人でも多分圧倒的多数は何のことか分からないか、なんか聞いたことがある気がする・・・という程度では。

しかし、今から60年前の1956年、高野路線から太田・岩井路線に転じた総評が打ち出した、中小企業の未組織労働者を、総評直轄で大々的に組織していくという運動は、当時は大変大きなインパクトがあったのです。

しかし、それからちょうど20年後、1976年に総評が出版した『オルグ』という本を読むと、なぜ総評の中対オルグがだめになったのか、そしてそれに代わってその反対側にいたゼンセン同盟がまさに未組織中小企業の組織化を着実に進めていったのかが、ある意味よくわかります。

この本の主体を占める地方オルグたちの座談会にこういう下りがあります。

・・・ぼくは、水野さんがいった中で、ゼンセン同盟には、一つの対抗意識を持って興味をそそられたのです。ゼンセン同盟は役員も入れて、専従が280名おるそうですね。そのうちの100名は日常業務や運営、組織を動かす人間に使う。あとの180名を全員、組織拡大オルグに集中します。それは今のゼンセン同盟が55万、・・・宇佐見・山田体制は、5年間に2倍、100万単産にするというキャッチフレーズを出し、ファッションや小売流通などに全部オルグを再教育して配置していくという重点的な動かし方をしますね。

・・・総評の側でいくと、われわれオルグの所は、今や手一杯ですね。戦線は拡大する。人数は増えない。むしろ定員数減らされる。そうすると、今までやってきた守備範囲のところを守るのにきゅうきゅうとしていて、新しいところを組織化する、ここを集中的に取り組むというように機動的にオルグを配置していくという運営面は、今総評にないですね。そこのところは決定的にこれから僕は遅れると思うのです。・・・

まさにその40年後の目で見ると、その予言通りになっています。その原因もオルグたちは分かっている。いや、本書のはじめの方に文章を寄せている、中対オルグを作った側の太田薫氏自身もよくわかっている。

曰く:

中小企業対策のオルグができてから20年になる。現在、地方オルグという名前がついているオルグはいるわけだが、実際にその運動が行われているとは私には思えない。・・・

・・・総評の運動がないという。その最大の原因は地方オルグのほとんどが県評、地区労で社会党代行のような仕事をやらされ、地方オルグ本来の仕事をやっていないからだ。・・・

ここまでちゃんと分かっていながら、そこを何とかすることができなかったのですね。

本書に出て来る言葉で一番痛切なのは、岡村省三氏の文章の最後に出てくる「総評の臨時工、地評の社外工」という言葉でしょう。ゼンセンのオルグは、まさに無限定正社員であるわけですが。

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