出口治明・島澤諭『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』
出口治明・島澤諭『自分の半径5mから日本の未来と働き方を考えてみよう会議』(SB新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.sbcr.jp/products/4797384055.html
SB新書と言ってもカレーじゃなくって、ソフトバンクのSBなんですね。
出口さんはますます怒濤の如く本を出されていますが、本書はどちらかというと割と軽めの本ですね。
先送りできない日本とあなたの働き方!課題先進国ニッポンとあなたの未来
◆もう先送りできない!
適切な問題解決のその先に、個人も国も成長がある!
少子高齢化、財政再建など課題が山積する現在の状況から日本は適切な道を選び、歩んでいけるのか?
今や「数字・ファクト・ロジック」を駆使して自分の頭で考え、判断することが何より大切な時代になった。
こうした混迷の時代でも、自分の半径5mの世界から変えていくことが結局は早く世界を変えることにつながる。
あなたの今後の人生や仕事を下支えする力を養う!
◆日本でしか通用しない価値は意味がなくなる!
◆少子化、老老介護、孤独死、待機児童問題など
数多くの難題を抱え、「課題先進国」となってしまった日本――。
歴史は自分の立ち位置を測る格好のモノサシだが、日本はいま世界でどんなポジショニングにあるのか、
そしていま日本、さらには東京の競争力をあげることがなぜ大事なのか、
ボーダーレスの本当の意味を知ることになる子、孫世代はどうやって働き、生きていくべきなのか――不透明な時代の先を見通す
◆適切な問題解決のその先に、個人も国も成長がある!
「この世界をどう理解し、どこを変えたいと思い、自分に何が出来るか考え、行動ることが、人間が生きる意味であり、仕事をする理由でもある」(出口氏)
ということで、目次は次の通りですが、
第1章 「数字・ファクト・ロジック」で考える
第2章 労働生産性を上げるためには
第3章 エイジフリーで働くということ
第4章 日本再生のカギを握る「教育」
第5章 少子高齢化の先にある未来
第6章 客観的な目で見る格差社会とナショナリズム
第7章 ポピュリズムに惑わされないリーダーを育てる
特別コラム 日本人がアジアで活躍する バイタリティ溢れる和僑
ここではやはり、このやりとりを第一に挙げておきましょう。こういう当たり前のセンスが欠如したまま、サービス業の生産性向上とか言ってると、全然逆方向に迷走するという話です。
出口 なぜ日本は一人あたりGDPの順位が29位と低いのか?それは労働者の生産性が低いからです。・・・
島澤 労働生産性で言うと、製造業の生産性が高く、サービス業(非製造業)が低いとよく言われますが、サービスの質に対する目が日本では厳しい傾向にあります。シンガポールのレストランに入って食事をしたときの話ですが、テーブルの上はまぁ我慢できるのですが、テーブルの下はきれいでないというか、ゴミが散乱したままですし、大きなゴキブリも隠れていました(笑)。もちろん、高級レストランではありませんので、値段相応のサービスの質なのだろうと思います。日本みたいに安い居酒屋でもこぎれいなお店は外国では見当たりません。
日本のサービスは質が高いですが、問題はだからといってそれが料金に含まれているわけではないことです。そのため、「質は高いけれど、お金はあんまり取らない」となり、生産性が低くなっているのです。・・・
出口 よく「ブラック企業」として取り上げられる企業は、そのほとんどがサービス業です。労働生産性が低いので賃金も上がらず、利殖する人が後を絶たないのも、儲かるような生産性の高い働き方ができていないからです。・・・
島澤 値段が安いのは、消費者からすればありがたい。しかし、諸外国から見れば本当はもっとお金を取れるはずなんです。昨今は「おもてなし」という言葉が流行っていまして、盛んにもてはやす風潮もありますが、あれもよくないと思います。極端な話、金の取れない「おもてなし」は自己満足以外の何者でもないですし、それを従業員に見合った対価もなしに強制するのはおかしいでしょう。
私は本ブログで、「スマイル0円が諸悪の根源」と言ってきましたが、そろそろ「お・も・て・な・しが諸悪の根源」と言い換えた方が良いかもしれませんね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-107c.html
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はまちゃん先生の本ブログでも「お・も・て・な・し」が個人的なつきあいと同じレベルで(これは日本の美徳としてよいのでが)労働契約を越える”あるべき日本の心”とでもいいたげな賛美を使用者側も我々消費者側も求め容認している極みにあのオリンピック招致の有様を模して「あのお揃いのブレザー着て恥ずかしいと思わなかったのかな?あの人たち」と言う趣旨のコメントをいたした覚えがございます。些末ながら、国際的な場で手を使い「お・も・て・な・し」のポーズはよく問題にならなかったものだなあとヒヤリとしましたが、あまり日本では話題にしませんでしたね。やはり「ご奉公」って変な言い回しですが日本人の”ジェネティクス”だなあと思わずにはおれません(笑)。
いまでも「○○に○○年よりお世話になっています・・・」と私からすると「えっ?」と思うご発言を何の疑問も抱かず若い研究者でもするくらいの歴史進行度ですから生物学史上も特異でこれはこれで研究に値するかもしれません(笑)。どなたかどうぞ(笑)。
出口さんは最近とばしておられますねえ。いつもとても参考になります。
投稿: kohchan | 2016年2月12日 (金) 14時28分