安定の知識社会学的なおしごと
「コパさんアートブック」さんが、ツイートで拙著『働く女子の運命』に端的な短評をされています。
https://twitter.com/co8_/status/688015490934042625
濱口桂一郎「働く女子の運命」同じように男尊女卑であった欧米と比べてもひどいありさまの日本の職場のジェンダーギャップ。法規だけなら劣らないほど整備されたのに実情変わらぬそのわけを、あまりに特殊な雇用の歴史をもって照らし出す、安定の知識社会学的なおしごと。よいです。
https://twitter.com/co8_/status/688017808895152129
年功序列、生活給、終身雇用、男女雇用機会均等法など、雇用慣行が生み出されていく道中はまるでまっすぐではなく、経団連や労組の利害と、意図せぬ結果と、理論の曲解がうずまいている。そうした渦中にキラリと光る言質を議事録などから細かく集めていく能力が高いひと。
そう、この本は、全体のストーリー、筋道自体はそれほど独自性があるわけではないのですが、その素材として拾い集めてきた一つ一つはいささかトリビア的なエピソードの集積は、一冊にまとめると結構の迫力なんじゃないかと、個人的には思っています。
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な~んか私ばかりのコメントって妙に恐縮しまして、しかし邪魔な奴だなあと思われることもいとわずに発信させていただきます。
世界の国、欧米に絞っても然り、ましてやアジア各地域、そして日本然り、こと所得にかかわる問題は大方ジェンダー問題に帰着しますでしょ。日本独特といえばやはり同じ海洋国家としての英国とは東アジア独特の哲学も影響しているのかと思いますし、我々はいまだにその影響下にあるように思われます。したがってある時代に熱狂的にマルクス思想を受け入れた「実績」もそれへの一時的な懐疑心で説明できるように思われ、それは日本独特にアカデミズム界でも未だ細々ながら受け継がれております。政治もそうですね。今日資本主義体制で相当の勢力を維持する共産党が存在し続け、今また注目を浴びるような風土があるのですから、「働く女子の運命」含めジェンダー問題とはイデオローグに解決能力はなく、なんとかポンコツでも各セクターの協働で時代にファインチューンしながら解決に向かっていくしかないかもしれません。フランスのような国では別ですが日本は同じ島国の大経済学者アルフレッド・マーシャルの「自然は飛躍しない」なる古典ダーウィニズムに親和するような、ちょっとイライラする文化風土のように感じてしまいます。これ自体が社会厚生の阻害要因なのですが、少子化により尻に火がつきましたので、その現象として保守政党が経済界と労組を分配問題でけん引する役割を担う政治学的に面白いこととなっております。政治学者もアカデミックに反応できてないですね。日本ってアカデミズムは輸入品ですから、それも「素」がないとキャッチアップできないのです。今は、はまちゃん先生のようにセクター別専門家のミクロ提言が精いっぱいというところです。
いつも勝手暴言でスンマセン。
投稿: kohchan | 2016年1月16日 (土) 09時22分