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2016年1月 7日 (木)

『中国リベラリズムの政治空間』

22659_2石井知章さんよりその編著になる『中国リベラリズムの政治空間』(勉誠出版)をお送りいただきました。ありがとうございます。先日の『現代中国のリベラリズム思潮』(藤原書店)と同様、日本と中国の知識人による真摯な現代中国批判が展開されています。

http://bensei.jp/index.php?main_page=product_book_info&cPath=1&products_id=100548

社会主義中国で、いったいなぜリベラリズムなのか。一党独裁による言論統制下で、リベラリズムについて語る余地が、その政治空間のどこにあるのか

現執行政権に対して根源的(ラディカル)に「批判的」であるというだけの理由で、多くのリベラル派知識人たちが、党=国家側の一方的評価である「反体制派」として一括して分類されてきた。こうした没理性的分類法は、権力側の意思によって恣意的にフレームアップされたものであり、唯一の政治的価値を絶対化し、それ以外を排除しようとする意思を反映したものである。
いかにして自由や民主主義といった社会的規範性のともなう「普遍的価値」を創造し、それを中国独自の個別具体的な土壌に根付かせることができるのか。社会に自由と権利が十分に保障され、憲政民主が実行可能となり、各市民が平等に尊重されつつ、公平な分配を獲得できる制度のもとで、自由で平等な市民のための政治共同体を築けるかどうかが問われている。

目次は下の通りですが、冒頭の座談会でかつて中央政治局常務委員の王岐山ひきいる国家体制改革委員会の元メンバーで国務院発行の雑誌『中国改革』社長を長く務めたという李偉東さんがこう語っているのには思わず息を呑みました。

・・・1989年の天安門事件以降、リベラル派知識人の多くは、思想と感情、さらには理論面でも、徐々に「革命」に近づいています。彼らはリベラル派の「右派」で、近年増加しています。彼らは、1989年以降の中国では「改革」は既に死んでしまった、80年代のような改革は、中国ではもはやあり得ないと考えています。天安門事件から26年が過ぎ、政治改革は大きく後退してしまいました。

「改革は既に死んだ、近づいているのは革命だ」というのが彼らのスローガンです。

さらに、こうも語っています。

・・・今年の旧正月、私は北京に帰省してさまざまな分野の知識人と交流しました。そして、現状は「毛沢東式の新たな全体主義」だという分析が、ほぼ共通認識になっていると実感しました。著名な法律家と話した時も、習近平は「プチ毛沢東」だという結論でした。これも、リベラル派知識人たちの間では、ほぼ共通認識になっています。ただ、分かってはいるけれども、書くことはできず、書いても発表することはできません。

うわぁ、なんだかアンシャンレジーム末期という感じですね。

【座談会】
中国のリベラリズムから中国政治を展望する 李偉東・石井知章・緒形康・鈴木賢・及川淳子

【総論】
中国政治における支配の正当性をめぐって 緒形康

【第1部 現代中国の政治状況】
二十一世紀におけるグローバル化のジレンマ:原因と活路―『21世紀の資本』の書評を兼ねて 秦暉(翻訳:劉春暉)

社会の転換と政治文化 徐友漁(翻訳:及川淳子)

「民意」のゆくえと政府のアカウンタビリティ―東アジアの現状より 梶谷懐

中国の労働NGOの開発―選択的な体制内化 王侃(翻訳:大内洸太)

【第2部 現代中国の言説空間】
雑誌『炎黄春秋』に見る言論空間の政治力学 及川淳子

環境NGOと中国社会―行動する「非政府系」知識人の系譜 吉岡桂子

日中関係三論―東京大学での講演 栄剣(翻訳:古畑康雄)

艾未未2015―体制は醜悪に模倣する 牧陽一

【第3部 法治と人権を巡る闘い】
中国司法改革の困難と解決策 賀衛方(翻訳:本田親史)

中国における「法治」―葛藤する人権派弁護士と市民社会の行方 阿古智子

ウイグル人の反中レジスタンス勢力とトルコ、シリア、アフガニスタン 水谷尚子

習近平時代の労使関係―「体制内」労働組合と「体制外」労働NGOとの間 石井知章

【第4部 中国リベラリズムの未来】
中国の憲政民主への道―中央集権から連邦主義へ 王建勛(翻訳:緒形康)

中国新権威主義批判 張博樹(翻訳:中村達雄)

【あとがきに代えて】
現代中国社会とリベラリズムのゆくえ 石井知章

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